市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

中東核戦争の危機と「北東アジア非核兵器地帯」構想
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     21日、イラン南部のブシェール原発(加圧水型軽水炉、出力100kw)への核燃料の搬入が始まり、10〜11月にも発電を開始するという。同原発に使う核燃料はロシアから提供され、使用済み燃料もロシアに返還することで合意しているという。(「毎日」22日朝刊)
     一方、イランの核開発計画を強く警戒し、先制攻撃の危険性が指摘されるイスラエルの動向が気になる。81年のイラク原子炉空爆などイスラエルには前歴がある。

     ウラン核爆発を起こすには、ウラン235が90%以上という高濃縮ウランを数十グラム単位で必要とするが、国際原子力機関(IAEA)の5月末の報告では、イランは20%までの濃縮に一部で成功していることが判明したが、それ以上の高い濃縮は確認されていない。米政府はイランの核兵器開発は今後1〜2年が鍵となると見ているようだ。
     イランがIAEAの査察を拒否したりすれば、それをきっかけにイスラエルのイラン攻撃が始まり、中東全面戦争に突入するというシナリオを昨年12月米国のシンクタンクが検討した。200発の核を持つと推定されるイスラエルが核を使わないとも限らない。
    (『中東は非核への選択を迫る』赤木昭夫、「世界」10年8月号)

    イスラエルの核保有、それに対抗するイランの核開発、米国の支離滅裂な核拡散防止政策で、中東は核戦争の危機に直面している。危機の要因は「核の傘」である。核攻撃するぞという脅しは必然的に核開発計画を促す。核戦争の危機を避けるには、「非核の傘」の拡大しかない。
     
     8月6日、広島市長平和宣言は、被爆者が発してきたメッセージは、平和憲法の礎であり、世界の行く手を照らしているとし、日本政府が非核三原則の法制化と「核の傘」からの離脱を実現し、「核兵器ゼロ」の世界をつくりだし、人類の新たな一ページを2020年に可能にすることを求めた。

    また、8月9日、長崎市長平和宣言は、政府による「核密約」を非核三原則の形骸化として、そして核不拡散条約(NPT)未加盟の核保有国であるインドとの原子力協定の交渉をNPT体制の空洞化として厳しく批判した。その上で、非核三原則の法制化と核の傘に頼らない安全保障の実現のために日本と韓国、北朝鮮の非核化を目指す「北東アジア非核兵器地帯」構想を提案し、政府に国際社会で独自のリーダーシップを求めた。

     しかし、菅首相は記者会見で「核兵器をはじめ大量破壊兵器の拡散の現実もある。核抑止力はわが国にとって引き続き必要」とし、被爆国の首相としてあるまじき愚かさを露呈した。

     そもそも非核の傘による安全保障である非核兵器地帯(地域内の国家間で結ばれた条約によって、核兵器の開発や製造、取得などが禁止された地域のこと)は、すでにラテンアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア、アフリカ、中央アジアなど地球の半分を占めるという。(「核廃絶、オバマが世界を変えるわけじゃない。今こそ重要な市民の役割」湯浅一朗、ビッグイシュー10.8.1)

     憲法前文「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」、憲法九条「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」に照らせば、「非核の傘」の拡大、対話による核廃絶の道を追求することは自明のことだ。
    Posted by : 川本幸立 | 核開発 | 15:38 | - | - | - | - |
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