市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

田母神俊雄の都知事選得票60万票が示す「歴史の真実と知識」の欠如
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    〜安倍晋三、田母神らの動きは、国連憲章の敵国条項にある「戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動」そのもの
     
     先の東京都知事選で、戦前戦中の「忠君愛国」「中国・朝鮮蔑視史観と偏狭なナショナリズム」を賛美し「核兵器を持った軍隊」で「元気な日本」をつくろうという妄言(安倍晋三史観と同一)を繰り返してきた元航空幕僚長の田母神俊雄が60万票を集めました。このことを危惧する声をあちこちで聞きます。
     
    ヒットラーの「ものの考え方」を賛美し、米国のヘリテージ財団ら軍産複合体の意向を受けて尖閣問題に火をつけた週一知事・石原慎太郎を選出してきた都民のことですから、驚くには値しません。
     また「欧米に関する基礎知識に比べて、東アジアについて若い世代がほとんど何もしらないという事実」(「歴史を学ぶということ」入江昭著、講談社現代新書、2005年)もあります。
     
     「愛国主義は悪党の最後の隠れ家」と言われます。安倍晋三、田母神俊雄、石原慎太郎らの悪党共が目指す「軍事国家」「強権国家」は、実は彼らが口先では忌み嫌う朝鮮民主主義人民共和国の現政権と「瓜二つ」です。
     それに気づかない有権者が多数いるということは、今がまさに「狂気の時代」(山口二郎、201347日「本音のコラム」東京新聞朝刊)だということでしょう。
     
     もちろん、田母神の一連の発言、「論文」が妄言に過ぎないことは、当初から増田都子さん(http://masudamiyako.com/)らが徹底的に暴いてこられました。
     とはいうものの、今や安倍機関(籾井勝人会長、長谷川三千子・百田尚樹経営委員ら)と揶揄されるNHKの影響力と比べると比較になりません。
     
     「ジャーナリズムの役割は本来、世の中に起きている森羅万象を的確に把握し、それをチェックして、国民が冷静な判断を下すための材料を提供することにあります。しかし戦争を迎える時代のメディアのありようを見ると、メディアの変節は国家の変節に直結するということがよくわかる。わずかな期間のうちに、国家の運命は狂わされてしまうのだ。メディアはそうした力があることを、私たちは思い知らなければならない」(「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)」NHK取材班編著、NHK出版、2011年)を籾井、長谷川、百田らの肝に銘じさせたいものです。
     
    ●学校教育が避けた「ポツダム宣言、日本国憲法、国連憲章、日米安保・地位協定、サンフランシスコ講和条約」をしっかり学ぶ意義
     
     ではどうするか?
     
    憲法に定める平和主義、基本的人権の尊重を忌み嫌い、排外主義を煽り立てることは、日本の孤立化、滅亡への道に他なりません。
     「真実の隠ぺい・歴史の偽造が明治以降の日本の国家の退廃を生み出した」(「司馬遼太郎の歴史観〜その「朝鮮観と明治栄光論」を問う」中塚明著、高文研)ことをしっかり受け止め、「歴史を美化せず、事実を知り認める勇気を持つ」(同)ことではじめて相手を知り、異なった意見や文化を理解することです。
     
    そこで、 
    第一に、「歴史の真実と知識」を学び、次の世代にしっかり伝えること、第二に、インターナショナル・コミュニティ(国家の枠組みを離れ、国境を越えて、個人や市民団体が直接間接に交流を重ねる国際社会)(「歴史を学ぶということ」入江昭著、前掲書)を築くこと、が重要だと思います。
     
    ここでは、第一の「歴史の真実と知識を学ぶこと」について考えてみましょう。
    昨年秋、ある地域の歴史愛好者のサークル員を対象に、憲法九条を守る立場から話をする機会がありました。最初に参加した方々に、以下の文書を読んだことはありますかと尋ねてみました。
    ポツダム宣言
    国連憲章
    ・日本国憲法前文、九条、九十八条及び九条に関する政府見解、判例
    サンフランシスコ講和条約
    日米安保条約地位協定
     
    ほとんどの方が、読んだことがないという反応でした。
    私も小中高で習った記憶はありませんし、「九条の会」などの活動をしなければ、
    無知なままだったでしょう。
     
    • ポツダム宣言は、戦前の日本を「無責任ナル軍國主義」が支配と糾弾
     
     ポツダム宣言によれば、戦前の日本は、「無分別ナル打算ニ依リ日本帝國ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍國主義的助言者」「無責任ナル軍國主義」「日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者」に支配される国であると糾弾されています。
     戦前の日本への回帰を公言する安倍や田母神らこそ、日本國國民を欺瞞する我儘で無分別な軍国主義者に他なりません。日本国民は再び彼ら悪党(=軍国主義者)に騙されてはなりません。
     
    ●抜本的な国連再構築に向けて
    〜国連憲章から集団的自衛権の削除と国家主権平等原則の確立
     
     また、国連憲章は、「武力の行使」は2つの例外を除いて、いかなるものも禁止しています。(憲章第2条4項)
     2つの例外とは、一つは「侵略に対して、国連が制裁を加える場合」、もう一つは「国連安保理が必要な措置を開始するまでの間、各国が独自に自衛権を発動する場合」(第51条)とされています。
     自衛権の中に、個別的自衛権と集団的自衛権がありますが、集団的自衛権の行使は、米・旧ソ連による同盟国などへの武力攻撃、内政干渉に使われてきました。
     そもそも、憲章第51条に集団的自衛権が挿入されたのは、国連安保理に縛られずに武力行使したい米ソの思惑によるものです。
     最上俊樹氏は「大国の拒否権」に顕著な1945年時点の中心的戦勝国が「指導」し、一定の特権を持つ仕組みが国家の主権平等の原則に反しているとして、抜本的な国連再構築を提唱しています(「これからどうする〜未来のつくり方」岩波書店編集部、2013年)。国連再構築にはもう一つ、第51条の「集団的自衛権」を削除することも不可欠です。
     
    ●気になる国連憲章の「敵国条項」
     
     ところで国連憲章には「旧敵国条項」があります。
    第53条(強制労働)
    1 安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。
    2 本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。
     
    第107〔敵国に関する行動
    この憲章のいかなる規定も、第二次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。
     
    つまり、第二次世界大戦中に日本のような「連合国の敵国」だった国が、戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できないということです。(ウィキペディア)
     
    この敵国条項はすでに死文化しているといいます。
    しかし、戦前の軍事国家回帰を目指す安倍、田母神らの動きは、「戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動」そのものです。
     
    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 19:00 | - | - | - | - |
    安倍首相の日本軍「慰安婦」(=性奴隷)問題「二枚舌」発言で、世界から孤立しかねない日本
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       前回のブログでは、「オリンピズムの根本原則」に照らして、安倍政権、東京都、JOCにはオリンピックを招致する資格もないし支持されるハズもないことを指摘しました。
       
       その後も、日本・東京が招致に値しないことを示す事実が明らかになり政治状況が進行するなどしています。
      一つは、猪瀬都知事が「体罰権を奪われた教師はピストルを持たないお巡りさんと同じですよ」と明言するなどの暴力容認主義者であること、
      二つ目は、安倍首相が、昨年から性懲りもなく「慰安婦の強制動員はなかった」「河野談話の誤解を解くべく新たな談話を出す必要がある」などと、「河野談話」(従軍「慰安婦」に対する軍の関与を認めて謝罪した1993年の談話)の見直しを言明していることについて、2007年に「強制性否定」発言を繰り返した時と同様、安倍首相の人権感覚、人間としての資質に重大な疑義を持たれ、日本が国際社会から孤立しかねない状況になりつつあること、です。(週刊金曜日第931号、2月15日号)

       本当に招致したいと思うなら、首相と都知事のクビを挿げ替え、過去の侵略戦争の未解決の課題に対して真摯な姿勢を示し、とりわけ東アジアの平和と非核のために先頭に立つことを表明することです。それができないなら直ちに招致活動を中止し、百億円単位の税金をドブに捨てることをやめさせねばなりません。

      ●政権を放り出した2007年と同じ状況?!

       ところで、安倍首相は「集団的自衛権行使を認める必要がある。米国の船が襲われ日本の船が助けなければその瞬間に日米同盟は終わりだ」などと話し、米政権への従属を主張してきました。
       しかし、「慰安婦」問題をめぐる安倍の発言により、「民主主義・人権という共通の価値観を持たない国、女性の人権を踏みにじるような国を助ける必要はない」と米世論が考えたら、米政権は有事でも日本を助けないだろうと指摘されています。(前掲書)
       安倍政権は、唯一頼りとしている米政権からも見捨てられる可能性があります。

       吉見義明氏は、軍「慰安婦」問題とは、―性に対する性暴力と、他民族差別と、I呂靴い發里紡个垢觝絞未重なって起きた問題だ、と指摘しています。
      (「日本軍「慰安婦」制度とは何か」、岩波ブックレット)
      昨年7月、ソウルでクリントン国務長官(当時)は「慰安婦」という呼び方は誤っており、「日本軍によって売春を強要されたのだから『性奴隷』と正しく呼ぶべきだ」と発言したそうです。

       2007年1月、米下院で「従軍慰安婦反対決議案」(日本軍が女性たちを「性奴隷制」に強制した事実を明白に承認し、謝罪することを日本政府に勧告する決議)採択の動きが起こったことに対し、同年3月1日、安倍が「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」と語ったことで、翌2日の「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」が一斉に「安倍首相が従軍慰安婦を否定した」と報じたことから、世界中のメディアが注目し、米下院の大勢が採択にまわりました。上杉隆は「官邸崩壊〜安倍政権迷走の一年」(新潮社)で、米国政府は安倍発言の問題性を、それまでの「歴史認識」ではなく、「人権感覚」にあるのではと改め、安倍政権への姿勢を変更した、としています。

       2007年の経験に懲りない「二枚舌」の安倍に対し、今年になって「ニューヨーク・タイムス」社説は「安倍氏のこうした恥ずべき衝動は、北朝鮮の核兵器計画のような問題に対する周辺地域での協力を脅かしかねない」、「ワシントン・ポスト」社説も「こんな過去を否定するような態度は、手痛いしっぺ返しを招くだろう」とし、「エコノミスト」、「シュピーゲル」、「ロサンゼルス・タイムス」などの有力メディアも批判を展開しているようです。

       どうも安倍が前回政権を放り出した2007年と似た状況になりつつあるようです。
       
      【参考】「朝鮮における日本の植民地支配、いわゆる「慰安婦」問題についての位置づけ」抜粋(2011年、政務調査活動の監査請求に対する川本作成文書から)

      1.政府の姿勢
      日本政府は、宮沢首相(1992年1月)、河野官房長官談話(93年8月)、村山首相談話(95年8月)、橋本首相(96年6月)、小渕首相と金大中大統領の日韓共同宣言(98年10月)などにより、日本の植民地支配と侵略により多大な損害と苦痛を与えた事実を認めている。

       「慰安婦」問題については、宮沢首相が謝罪し、93年の河野談話(政府の公式見解)は、調査の結果として、「慰安婦」の存在を認め、心からお詫びと反省し、「このような歴史の真実を回避することなく、むしろ歴史の教訓として直視し、歴史研究、歴史教育を通じて、永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」とした。

       しかし、政府は1965年の日韓基本条約で解決済とし、「政府として賠償はできない」としている。
       一方、安倍元首相らは、「河野談話」を否定し、「謝罪」は不要で「慰安婦」の存在も否定した。
       そして学校の教科書から、植民地支配、「慰安婦」の記述が削除され、一部の教科書においては、日本の過去の侵略戦争を美化する記述となっている。
       
      このように、とりわけ「慰安婦」問題については、誠意ある謝罪と賠償がなされていないのが現状である。

      2.国際社会の姿勢
       国連を含む国際社会は、「慰安婦」問題を重大な人権問題と位置づけ、謝罪、賠償、教育の徹底を求めている。

       国連報告(1993年)、アメリカ下院決議(2007年)、カナダ下院決議(2007年)、オランダ下院決議(2007年)、欧州議会(2007年)、オーストラリア上院決議(2007年)などである。

       2008年、国連・自由権規約委員会は、日本政府に立法等の措置によって、「慰安婦」被害者への公式謝罪、生存被害者への国家による補償、責任者処罰、教科書への記載、被害者を傷つける発言への適切な対応などを求める最終見解を公表した。
       
       このように「慰安婦」問題は、重大な人権問題として早急に解決すべき問題と位置付けられている。

      3.国内の動き

       地方自治法第99条で、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と規定している。

       この規定に基づき、2008年より、各地の地方議会で日本政府に「慰安婦」問題の公式の謝罪と国家賠償をもとめる決議や意見書が採択されている。
       千葉県においても船橋市議会で採択されている。

      4.県行政とのかかわり
       
       「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の第5条では、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」と、人権教育及び人権啓発に問題に関する地方公共団体の責務を明記している。

       一方、千葉県は、人権に関する総合的・計画的な取組を推進するための「千葉県人権施策基本指針」に基づき、県民、企業、関係団体など社会の構成員すべての参画と協働により、すべての人の人権が尊重される社会を実現できるよう、全庁をあげて取り組むとしている。
       国際化が進行し東アジア諸国との交流が活発化する中、「指針」の「国際理解の促進と共生思想の啓発推進」「学校教育における国際理解教育の推進」は不可欠である。

       「慰安婦」問題、その背景にある植民地支配の問題は、県政とは人権問題(教育・啓発を含む)として大きな関わりがあり、今回の視察の目的の一つは県政の人権施策推進にかかる調査研究活動である。

      Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 21:18 | - | - | - | - |
      道楽三昧の非常勤知事らの跋扈と、「脱成長主義の社会」へ向けた地域社会像
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          昨日朝、TVのニュース速報では、「11月12日、内閣府が発表した7─9月期実質GDPは前期比マイナス0.9%、年率換算マイナス3.5%の大幅悪化となった」ことを報じていました。
         輸出が5%減、個人消費0.5%減、企業の設備投資3.2%減が要因ということですが、今後10−12月も、米軍産複合体の掌で踊った石原慎太郎の「尖閣発言」が発端となったいわゆる日中間の「慎太郎不況」の影響が顕在化するため、「マイナス成長」から脱け出すことは困難とみられています。

         さて、先月の知事辞任のニュースの折は、石原がこの責任を取ってやめたのかと思いましたが、あろうことか国政に進出するという「80の老害」話にあいた口がふさがりませんでした。
        憲法学者の水島朝穂氏は「今週の直言」で、次のように指摘しています。
        ―「4期目は都政に関心がなく、「週1度しか登庁しない知事」(一説には週2、3日登庁)として有名だった人物が、あるときは「東京オリンピック」に熱をあげて都民の税金をたくさん使い、あるときは経営不振の「新銀行東京」に1400億もの税金をつぎ込み、またあるときは米国の軍需産業をバックにした保守系財団で講演して「尖閣を買う」と叫んで日中関係を危機的状況に陥らせる原因を作り…、そしてついに突然の記者会見(10月25日)で「都知事を辞職して、新党を作る」と辞表を懐から出す。
         齢80の、とうに引退の年齢に達した石原慎太郎氏をメディアは新人扱いして持ち上げる。およそ政治家が口にできない汚い言葉を頻用する「演説」を、テレビは延々と垂れ流し、翌日の新聞は一面トップで報ずる(26日付各紙)。自分で始めたことをすべて途中で放り出し、「占領憲法の廃棄」を叫ぶ。」

         政策、歴史、文化などにまともな見識がなくても週一度の非常勤で誰でもできる知事職、しかも税金で道楽三昧、一方、主権者意識がとぼしい多くの有権者にとって選挙は「旦那選びの人気投票」程度の認識しかないとくれば、ジャーナリズム精神の乏しいメディアの露出頻度の高い芸人が選挙に手を挙げるようになる・・・、これも石原の「犯罪」の一つで、森田、橋下、東国原らがその例でしょうが、問題はこういう方々に一票を投じる有権者が多数いるという現実でしょう。

         中国にある日系企業2万3千社について、「本当に中国に必要なものだけを残して、不要な企業を入れかえる」ための企業調査を中国で始めているという話(週刊金曜日 2012.11.9)もあります。そのうち、日本の有権者の歴史認識も吟味されることになるでしょう。

        ●「脱成長主義の社会」へ向けた地域社会像の構想を
        〜佐伯啓思著「経済学の犯罪〜稀少性の経済から過剰性の経済へ」(講談社現代新書)から


         しかし、そもそも成長・効率性最優先のグローバル経済を放任したままで地域の未来はあるのでしょうか?

         ちょうど話題の書である佐伯啓思氏の「経済学の犯罪〜稀少性の経済から過剰性の経済へ」(講談社現代新書)を読み終えました。
        佐伯氏曰く、
        「経済の活性化は、消費者の欲望とそれを裏付ける貨幣(所得)に依存しているのであって、「欲望」と「貨幣」が活性化しなければ経済は常に供給過剰となる公算が高い」
        「成熟社会においては、潜在的な生産能力が生み出すものを吸収するだけの欲望が形成されない。それゆえ、この社会では生産能力の過剰性をいかに処理するかが問題となってくる」
        「「過剰性の経済」においては、「経済」についての考え方を改める必要がある。「効率性」や「競争」や「成長」の追求は今日のような「過剰性の経済」においては、適切な価値ではなくなる。求められているのは「効率性」と「成長」に代わる新たな価値にほかならないだろう。「稀少性の原理」から出発してはならないのだ」
        「もはやGDPを増大させ、成長させるというこれまでの経済第一主義の価値観は通用しなくなってきている」
        「ポスト工業社会では、人々の生活を豊かにし、社会的な意義を持ったものこそが「価値」あるものとなる。この高度な産業社会の段階においては、人々は、もはや物的な富の増加よりも、より質の高い生活環境や行政サービスの提供、人々の交わりなどに関心を向けるようになるだろうからである」とあります。

        そして、佐伯氏は日本がとるべき「第三の道」として
        ・公共的なシステムを整備すること。つまり「脱成長主義の社会」へ向けた社会像を構想し、その方向へ向けた「公共計画」を官民協調のもとで実現すること。
        ・「ネーション・エコノミー」を強化することにつきる。つまり、国内の生産基盤を安定させ、雇用を確保し、内需を拡大し、資源エネルギー・食糧の自給率を引き上げ、国際的な投機的金融に翻弄されないような金融構造を作ること。
        などを提案しています。 

        Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 19:39 | - | - | - | - |
        「脱・米従属」、そして東アジア共同体へ
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           ●日本の航空法に照らせば飛行禁止のオスプレイ

           7月に岩国に陸揚げされた12機の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、6日沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に配備されました。沖縄県民は10万余の県民大会を開き、県内の全自治体の議会が「配備反対」の決議をあげ、普天間飛行場の4つのゲートを封鎖するはじめての非暴力直接行動が行われました。普天間飛行場をはじめとする米軍基地閉鎖要求へと沖縄県民の闘いは新たな段階に入りつつあります。(「週刊金曜日」2012.10.5)

          今朝の「毎日新聞」は、オスプレイ配備完了を「運用ルール機能不全」「沖縄、違反と反発」「米次第 政府手詰まり」「ごう音 保育園にも」の見出しで報じています。

          9月の日米両政府合意の運用ルールでは、原則、地上500フィート(約150m)以上で飛行すること、ヘリモードでの飛行は米軍施設・区域内に限るなどとありますが、この不十分なルールですら最初から絵に描いた餅にすぎなかったようです。

           離着陸時はヘリモードで、上空で12秒かけて飛行モードに移行するオスプレイの構造上の欠陥として、オートローテーション機能(すべてのヘリコプターについている機能で、ヘリコプターが飛行中にエンジンが停止しても、機体が降下するときの空気の流れから揚力を得て安全に着陸する機能のこと)の欠如 、揚力不足などが指摘されています。
           ヘリモードから飛行モードに移行する12秒の間に高度は1600フィート(487m)下がることからヘリモードで1600フィート以下の高度で飛行しているオスプレイが全パワーを喪失した場合は大惨事を引き起こします。(「オスプレイ普天間配備の危険性」リムピース+非核市民宣言運動・ヨコスカ)

           「しんぶん赤旗」(6月24日)では、「日本の航空法では、『回転翼航空機は、全発動機が不作動である状態で、自動回転飛行により安全に進入し着陸することができるものでなければならない』と規定(同法施行規則付属書第1)。この基準に当てはまらない航空機は『耐空証明』(飛行の安全証明)を受けられないため『航空の用に供してはならない』とされています(第11条)。自動回転によって安全に着陸できないオスプレイのような回転翼機は飛行を禁止されるということです。
           ところが、日米安保条約に基づき米軍特権を保障している日米地位協定の下で、航空法の特例法によって米軍機は航空法第11条の適用を除外されています。このためオスプレイは自動回転能力が欠けているのに飛行が禁止されません。」と指摘しています。

          ●米軍の治外法権を認めた日米行政協定、日米地位協定、岡崎・ラスク交換公文


           「日米同盟」について、守屋武昌元防衛事務次官は、「『同盟関係』と言うが、実際は米国が重要な案件を『一方的に決めているだけ』」と話したといいます。
          孫崎享氏は「戦後史の正体」(創元社)で、日米行政協定第二条、現在の「日米地位協定」第二条、「岡崎・ラスク交換公文」で、「米軍が治外法権をもち、日本国内で基地を自由使用する」ことが保障されていると指摘しています。

          ●米は日米同盟で日本防衛の義務を負っているのか?
          国民を生命の危険にさらしてまでのメリットが日米同盟にあるのか?


          では、国民の生命を危険にさらし米軍に治外法権をみとめ好き放題ふるまわれても「日米同盟」は日本国民にとってメリットがあるのでしょうか?
          建築家で沖縄平和市民連絡会運営委員の真喜志好一氏は、尖閣防衛や抑止力は単なる方便に過ぎず、米軍は日本を守るものではないとし、戦争をする場合、ミサイル攻撃、空爆のあとにオスプレイを使用する海兵隊が戦場に入ることになるため、海兵隊は米本土にいても一向に差支えない、沖縄に米軍・海兵隊がいる理由は日本政府の「思いやり予算」(2012年度約1800億円)があるからにほかならない、と指摘します。
          (「週刊金曜日」2012.10.5)

          ところで、米政府が「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用範囲である」ことを認めたとして、日本が武力攻撃を受けた場合、米も介入するかのような議論があります。
          孫崎享氏の指摘に従い整理してみましょう。

          「日米安保条約第5条
           1 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
          2 前記の武力攻撃及びその結果として執った全ての措置は、国際連合憲章第51条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。」

          第5条は、米国は「自国の憲法上の規定に従って行動する」と書いており、武力攻撃に対して軍事介入するには連邦議会の承認がもとめられます。つまり「第5条の対象であること」が直ちに「武力行使を受けた場合、軍事介入すること」にはなりません。

          一方、2005年10月にライス国務長官・ラムズフェルド国防長官と町村外務大臣・大野防衛庁長官の間で交わされた「日米同盟 未来のための変革と再編」では、「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する。」とあり、尖閣のような島嶼部への対応は日本が自ら防衛するものとあります。そして、日本が防衛できず中国が管轄した場合、第5条1項の「日本国の施政の下」から外れることから第5条の対象外となります。

          以上を総合すると、
              「日米同盟」で米国は法的に日本の防衛義務を負ってはいない。あくまでも「自国の憲法の規定に従って行動する」と規定されているに過ぎない。
              また尖閣のような島嶼部の防衛は日本が独自に防衛することとされている。
              日本の施政の下にない竹島や北方領土は最初から安保条約第5条の対象から外れている。
          ということになります。

          国民の生命を危険にさらしてまで守るほどのメリットを日米同盟に見出し得ません。米の「核の傘」については別の機会に考えたいと思います。

          ●東アジア共同体を目指す

          対米従属を対等な日米関係に改める動きとともに、長期的な視点で目指すべきは東アジア共同体です。
           10月3日の「毎日新聞」朝刊「記者の目」のブリュッセル支局の斉藤義彦氏の「欧州から見た領土問題 日中韓は共同体作り目指せ」に共感しました。
          「遠く欧州連合(EU)の本拠地ブリュッセルから見ると、日中韓の対立は歯がゆく思える。EUは互いに殺し合ってきた歴史を越え、債務危機を機に統合を深めている。100年かかってもいい。日中韓は共同体をめざすべきだ。それ以外、安定し繁栄した東アジアの将来はない」
          「欧州で債務危機があっても無責任な論者が主張するような『EU/ユーロの崩壊』が起こらないのは、統合がどれほど平和と繁栄に貢献するか、欧州の政治家が深く認識しているからだ」
          「日本では総選挙が近づき、対中・対韓強硬派が勢いを増している。だが強硬派に長期展望はあるのか。対症療法でなく、100年先の日中韓の平和と安定を語る政治家に私なら投票する」

           それにしても野田、安倍、石原、橋下らが跋扈するようではどうにもなりません。もっとも彼らが悪いというよりは、こういう人物をかつぐ有権者が多くいることが一番の課題です。

          Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 20:01 | - | - | - | - |
          二枚舌の安倍晋三・自民新総裁誕生でより深刻化する「『政冷経冷』の危機」
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              かつてキッシンジャーは「日本人は論理的ではなく、長期的視野もなく、彼らと関係を持つのは難しい。日本人は単調で、頭が鈍く、自分が関心を払うに値する連中ではない。ソニーのセールスマンのようなものだ」と嘆いていたと言います。(「日米同盟の正体」孫崎享、講談社現代新書)

             5年前に「下痢との闘い」に敗れ、政権を放り出した安倍晋三が自民党新総裁に返り咲きました。総裁選で安倍は、「日中間に領土問題は存在しない。我々は尖閣や領海をしっかり守っていく意志を示していく」「河野談話の誤解を解くべく新たな談話を出す必要がある。首相在任中に靖国に参拝できなかったことは痛恨の極み」「集団的自衛権行使を認める必要がある。米国の船が襲われ日本の船が助けなければその瞬間に日米同盟は終わりだ」などと主張しています。

             安倍は、かつて首相在任中の2006年10月、衆議院本会議で「先の大戦をめぐる政府の認識は、1995年8月15日、および2005年8月15日の首相談話などにより示されている通りであります。かつて植民地支配と侵略によって、とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたというものであります」「いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、河野官房長官談話を受け継いでおります」と発言しています。

             ところが、2007年1月、米下院で従軍慰安婦反対決議案採択の動きが起こったことに対し、同年3月1日、安倍が「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」と語ったことで、翌2日の「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」が一斉に「安倍首相が従軍慰安婦を否定した」と報じたことから、世界中のメディアが注目し、米下院の大勢が採択にまわりました。上杉隆は「官邸崩壊〜安倍政権迷走の一年」(新潮社)で、米国政府は安倍発言の問題性を、それまでの「歴史認識」ではなく、「人権感覚」にあるのではと改め、安倍政権への姿勢を変更した、としています。

             今、日中国交正常化40周年記念式典の中止や日中経済協会の訪中団の派遣中止、中国有数の国際見本市「西部国際博覧会」(昨年の契約総額約15兆円)への出展を日系企業60社以上が断念、中国便キャンセル5万席などの「『政冷経冷』の危機」が進行しています。

             日中のより一層の緊密な経済関係を築くべき時に、小さな無人島の領土問題をめぐる争いは、偏狭なナショナリズムを煽るだけで日中、東アジア地域に何の利益ももたらさないのは明らかです。それ故、日中両国間で尖閣諸島の領有権を事実上「棚上げ」してきました。

             ちょうど右翼思想家の佐藤優氏が、「毎日新聞」9月26日朝刊の「異論反論」で、「領土問題は存在しない」とする政府主張と明らかに齟齬をきたす外交文書として、2000年6月に発効した「日中漁業協定」の第6条(b)と、当時の小渕恵三外相が中国大使にあてた書簡が、尖閣諸島を実効支配している日本政府が自国のEEZ(排他的経済水域、領海12カイリを除く沿岸から200カイリの水域)における施政権の一部を中国に対して放棄する意向を示していること、こうした外交的に大きな譲歩をしていることが、領土問題をめぐる係争の存在を認めていることが明らかであるとし、日本が「領土問題は存在しない」という実態から乖離した強弁をやめ、係争を認めた上で「問題が解決するまで、尖閣諸島への中国国民の上陸、尖閣諸島周辺領海への立ち入りを自粛する」という合意を中国からとりつけ、武力衝突回避のために全力を尽くすべきだ、と主張しています。

             しかし、安倍は「日中間に領土問題は存在しない」と主張し、米との集団的自衛権の行使で対応するつもりのようです。これでは中国との「『政冷経冷』の危機」がより深刻化することは間違いありません。
            では米政府は尖閣問題で日米安保に基づき集団的自衛権を行使するつもりがあるのでしょうか。元外務省国際情報局長で元防衛大学校教授の孫崎享氏は安保条約第5条、米国憲法に照らして「中国が尖閣諸島を攻撃し管轄した時には、安保条約の対象から離れる。日中の武力紛争で米国が巻き込まれる可能性が出れば米国は身を引く」とみています。(「日本の国境問題」ちくま新書)

             孫崎氏は安倍新総裁の誕生について次のように語っています。
            「前に首相を務めた時のまま、世界情勢の認識がかわっていない印象だ。当時と比べ米国は中国を重視するようになり、中国経済における日本のウエートも低下している。総裁選後の会見で『米国との関係を強化すれば、領土問題は切り抜けられる』という考えが感じられたが、情勢判断を間違っている。現状において改憲や集団的自衛権の行使など、武力的なものを強めることは非常に危険」(毎日新聞9月27日朝刊)

             これでは、自民党が総選挙で多数を占めた場合、日中関係のみならず世界から日本が孤立しかねません。
            Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 23:09 | - | - | - | - |
            尖閣「国有化」問題にみられる政府・政治屋・メディアらの深刻な課題
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                日本政府による尖閣諸島の国有化で日中関係が深刻化しています。 
              この問題で政府や政治屋、メディア、外務省官僚らの対応で私が驚いたことは次のことです。

              1.領土主権、歴史問題が絡む故に当然予想された中国側の反発に対して、日本政府は何か有効な対応策があるのだろうと思いきや、何も考えていなかったこと。そもそも、一つ間違えば武力紛争につながる領土問題を経済政策などを含めた国家戦略の中で、どう位置付けるかという深い分析が存在するようには見えない。

              (私は、経済関係を犠牲にしたり、在留日本人を危険にさらしてまで、この時期に「国有化」する意図がわからない。強いて挙げれば、日中関係を緊張させることによって、利益を享受する勢力がいるということだろう。
              火付け役の石原慎太郎の「都が購入」発言は、米国のヘリテージ財団に招かれた講演で出たものだ。1973年設立のヘリテージ財団は、レーガンのタカ派政策や、ブッシュの「対テロ戦争」の理論化の中で、.潺汽ぅ詼姫劼凌篆福↓国防費の拡大と削減反対、イラン攻撃実施、っ羚颪龍式劼紡个垢觀找と軍事力による対抗、などを提言してきた。日本でも民主・自民の防衛族議員が集まる「安全保障議員協議会」などと共催で「日米安全保障戦略会議」を開催するなど、防衛費に群がる利権構造と密接な関係がある。(「「尖閣火付け役」の背後にいる米国の反中派」「週刊金曜日」2012.8.31)
               自民・民主の防衛族や石原慎太郎ら「愛国心」を唱える日本の「右派」勢力は、こうした米国内で利権確保のため中国との対決を望む軍産複合体の掌で踊っているようだ。「右派」勢力こそ、日本国憲法・前文に定める「政治道徳の法則」に反する「売国民」勢力と言えるのではないか!)

              2.中国側の主張である、
              72年の国交正常化時、78年の平和友好条約締結時の「棚上げ」合意に反する、
              日清戦争末期にかすめとった、
              カイロ宣言、ポツダム宣言などの国際法に基づき台湾とともに中国に戻った。日本政府の行為は第二次世界大戦以降の世界秩序に対する挑戦であり、反ファシズムの戦争の成果を否定しようとしている、
              ぅ汽鵐侫薀鵐轡好格刃他鯡鵑錬欧弔寮觚世般世蕕に矛盾する
              に関する報道が少なく、またこれらに対する自らの詳細な見解も示されない。ただ「固有の領土」論に終始し、中国側の動機を「地下資源や国内秩序(=ナショナリズムを煽る)、軍の台頭」などとしかとらえていない。

              3.日本国憲法(とりわけ、前文の「政治道徳の法則」)などは頭の片隅にもなく、ひたすら「国家的な使命」を自らリードする姿勢が露骨である。その背景にみられるのが「日米同盟」に依存し、とりわけ東アジア外交政策を放棄した姿勢である。この姿勢は同じ敗戦国でポツダム合意で領土を奪われたドイツの「新しいドイツ人は断固たるヨーロッパ人たるべきである。そうすることによってのみ、ドイツは世界に平和を保障される」(「アデナウアー回顧録」)の対極にあるように思える。

              (「ジャーナリズムの役割は本来、世の中に起きている森羅万象を的確に把握し、それをチェックして、国民が冷静な判断を下すための材料を提供することになる。しかし、戦争を迎える時代のメディアの在りようを見ると、メディアの変節は国家の変節に直結するということがよくわかる」(「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)」NHK取材班)と指摘された過去の中国侵略戦争時にメディア自身の統制によって、「世論」の熱狂を作り上げた状況と似通っている)


               さて、今月の18日は、1931年の旧日本軍の関東軍による中国侵略の本格化(=「満州事変」)から81年となりました。
              近現代日本史が専門の成田龍一氏は「満州事変以降、アジア太平洋戦争への道を引き返すことは不可能だったと考える。事変拡大の要因として、新聞メディアがこれをあおったという指摘がなされる。その通りであるが、もう一つかぎになったのは一般の人々の動向だ。不況が長引いて出口が見えずに、鬱屈感がまん延していた。その打開策として『満州』進出を待望していた。新聞は読者のそうした志向に応じた側面もあった」と述べています。(「毎日新聞」9月16日朝刊)

               このアジア太平洋戦争で日本が連合国側に正式に降伏したのは重光外相、梅津参謀総長が東京湾のミズーリ艦上で降伏文書に署名した1945年9月2日です。私たちは8月15日を「終戦記念日」と教え込まれた関係からか、昭和天皇のラジオ放送は知っていても、「ポツダム宣言の条項を誠実に履行する」という無条件降伏文書の中の「ポツダム宣言」の中身をほとんど知りません。
               
               尖閣諸島の領有権や漁船問題を考える場合、中国側主張の真偽を考える上でも、
                  ポツダム宣言における規定はどうなっているのか?
                  棚上げ合意は存在するのか?
                  漁業協定の内容はどうか?
                  サンフランシスコ平和条約とポツダム宣言、カイロ宣言に矛盾は存在するか?
                  日中双方の「固有の領土論」はどちらが正しいのか?
                  領土問題で「固有の領土」と国際法はどちらが優先するか?
                  日米同盟に依存して未来はあるか?
                  尖閣諸島周辺に本当に莫大な地下資源があるのか?
                  21世紀、「領土問題」は無条件にすべてに優先する課題か?
              など、一人一人が主権者市民として考えてみる必要があるでしょう。

              今後、このブログなどを通じて私の見解を発表していきたいと思います。

              Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 17:21 | - | - | - | - |
              東アジアの平和な共同体づくりに視点をすえて尖閣、竹島を考える
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                 尖閣、竹島をめぐり政府間の対立の深刻化が危惧されています。
                経済文化を含め市民交流も国境を越えグローバル化する中、それぞれの政府、政治家(「政局屋」ではない)や市民、ジャーナリズム(視聴率アップや購読者数増などの事業性を優先する「煽り立てメディア」ではない)の「品格」が問われているように思います。そういえば、NHKの朝ドラの「カーネーション」で、「人は品格と誇りを持って、はじめて希望が持てる」というセリフがありましたが・・・。

                どうすればよいのか?

                19日に尖閣の魚釣島に日本の地方議員ら10人が上陸したことについて、新崎盛暉・沖縄大教授は、「日本と香港など中国側が互いに尖閣諸島に上陸し、挑発し合っても何も意味もない。上陸した人間たちの自己満足で、地元としては迷惑な限りだ」「(日本政府は)『領土問題は存在しない』と主張しているが、それだけでは何も解決しない。互いに強硬な姿勢を取り合えば戦争になるだけで、政府は中国側と冷静な話し合いの場を持つべきだ」と話しています。(「毎日新聞」8月20日朝刊)

                経済、文化交流が国境を越えた今日明日直ちに解決する課題ではなく、少なくとも十数年単位、あるいは数十年単位で取り組む覚悟が求められるのでしょう。

                その点で、昨晩のBS朝日「いま世界は」はなかなか聴きごたえがありました。領土問題という政治課題と経済政策を切り離す、それぞれの国民が自国のみならず他国政府の主張の根拠をまず知ること、EUと同様に東アジアの共同体構想を持つこと、アジアの懸案の領土問題を解決するために第三者機関を設けること、などが「提起」されていました。

                これに私が付け加えるとすると、
                    国境を越えた市民・NPO交流をより活発にし、政府間の対立を戦争に発展させないために連帯して取り組むこと。
                    各国・市民の日本政府に対する不信(そもそも日本国民の多くが無知であることが課題)の根底にある過去の「侵略と植民地支配」の責任を清算すること。
                の2点です。

                前者については、私が県議時代に取り組んだ「日韓の平和と市民自治のためのネットワーク運動」を継続、発展させたいものだと思います。

                ●東郷和彦氏の3つの提言

                後者については、外務省条約局長などを務めた東郷和彦氏の月刊誌「世界」9月号の「『村山談話』再考〜名誉ある歴史認識の構築のために」が注目されます。

                東郷氏は、B級戦犯として刑死した学徒兵の遺書の「日本は負けたのである。全世界の憤怒と非難の真只中に負けたのである。日本がこれまであえてしてきた数限りない無理非道を考える時、彼らの怒るのは全く当然なのである。今私は世界全人類の気晴らしの一つとして死んでいくのである。これで世界人類の気持ちが少しでも静まればよい。それは将来の日本人の幸福の種を遺すことなのである」「苦情を言うなら、敗戦と解っていながらこの戦を起こした軍部に持っていくより仕方ない。しかしまた、更に考えを致せば、満州事変以来の軍部の行動を許してきた全日本国民にその遠い責任があることを知らねばならない」(『新版きけわだつみのこえ』)などを紹介しつつ、「和解」に向けて日本が考えるべき現実的な方向性として以下の3点を提言しています。

                    「道徳的観点」から教育問題の一層究明
                    2011年夏韓国側より提起されている慰安婦の問題などの新たな視点(道徳的観点など)での究明
                    「侵略と植民地支配」について、政策を導いた指導者と一般国民の間での責任の重みの線引きについての究明。

                大いに検討に値すると思います。

                Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 11:21 | - | - | - | - |
                日本政府及びメディアは過去の植民地主義の清算から 〜尖閣諸島、竹島、沖縄を考える
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                   尖閣諸島、竹島で日韓関係、日中関係が揺れ動いています。

                  韓国が実効支配する竹島の領有権問題について、17日、日本政府は国際司法裁判所(JCJ)への共同提訴を韓国に呼びかけましたが、韓国外交通商省は「領土紛争自体が存在しない」として拒否をしました。
                  野田首相は李明博大統領あての親書の中で、「国際法にのっとり、冷静、公正かつ平和的に紛争を解決するための提案を行う」「日韓関係の大局に立って、韓国側が慎重な対応をするよう求める」としたのは妥当だと思います。
                  ところで、日本が実効支配する尖閣諸島について、JCJへの共同提訴を行う姿勢を政府は持っているのでしょうか。

                  但し、この問題の背景には、終戦から67年経過するにもかかわらず未だ従軍慰安婦問題をはじめとする過去(1800年代後半〜)の植民地主義に基づく侵略戦争・行為に対して清算できていない歴代政権(とりわけ自民党)の無責任な対応があります。このことは沖縄基地問題(「沖縄独立」という声もではじめていますが)にも共通する課題です。

                   ちょうど、2年前の2010年8月24日の私のブログで「韓国強制併合100年を世界史的視野でとらえることの意義」と題して、1875年の江華島事件から1945年の「日本帝国」崩壊までの70年間とその後の65年間をまとめています。

                  ●韓国強制併合100年を世界史的視野でとらえることの意義(2010年8月24日ブログ)

                   8月22日は、日本政府によって1910年に韓国併合条約が強制的に締結されてちょうど100年にあたる。歴史家の中塚明氏は、「長い時間のモノサシと広い世界史的視野で「韓国併合」を考える」ことを唱える。近代の朝鮮侵略は1875年の江華島事件にはじまり、1945年の「日本帝国」崩壊までの70年でおわる。その後65年、植民地支配の清算はおわってはいない。日本政府は「併合条約」を適法で有効であったと主張している。
                   
                  1963年8月15日の厚生労働省の公式発表によれば、日中戦争の発端となった1937年7月7日の盧溝橋事件から45年8月15日までの日本人戦没者数は、310万人。40年当時の日本の人口は約7311万人なので、日本人の24人に一人が亡くなったことになる。
                  内訳は、軍人・軍属が230万人で、そのうち「外地」での死者が210万人。民間人は「外地」30万人に、空襲や原爆による「戦災死没者」が50万人。沖縄戦の犠牲者は、軍人、民間人ともなぜか「外地」にカウントされているという。
                   厚労省は死因別や負傷者数のデータは把握しておらず、故・藤原彰一橋大教授によると230万人軍人・軍属の死者中、約6割の140万前後が病死を含む広い意味での餓死者と試算されるという。(8月10日「毎日」朝刊の「発信箱」)

                   このわずか8年間での310万人の日本人死者と朝鮮侵略、韓国「併合」は密接につながっている。

                  22日に豊島公会堂で開かれた「韓国強制併合100年、日韓市民共同宣言日本大会」(主催:「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委員会)は、「植民地主義の清算と平和実現のための日韓市民共同宣言」を採択した。
                   この「宣言」の前文で、2001年に南アフリカのダーバンで国連が開催した「人種主義、人種差別、外国人排斥及び関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された「ダーバン宣言」に触れている。

                   「日韓市民共同宣言」の一部を以下に紹介する。
                  「「ダーバン宣言」は、初めて「奴隷制と奴隷取引」を「人道に対する罪」と規定した。植民地主義についても「非難され、その再発は防止されねばならない」ことを確認した。その上で、過去数百年にわたってアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの民族・民衆を苦しめた奴隷制と植民地支配の清算をおこなうことは歴史的課題であると宣言し、その実現に向けての行動計画を打ち出した。つまり「合法」であったか否かを論ずる以前に、植民地支配それ自体を人類に対する犯罪であると断じ、その被害がなお継続している現実を直視し、克服していくことを提起したのである。画期的な意義を有するこの宣言は、欧米諸国のみならず日本を含むすべての旧植民地国家に突きつけられている。
                   韓国強制併合100年を迎える今、植民地主義を清算し、東アジアの平和な未来を構築することは日本と韓国・朝鮮、東アジアの市民の共通の課題であり、そのために手を携えて共同していくときである」

                  ●8月10日の「日韓併合」100年「首相談話」の評価は?

                  8月10日、菅首相は「日韓併合」100年の「首相談話」を発表した。
                  この談話に関する「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」声明を韓国在住の岡田卓己氏からメールで受け取った。
                   声明の一部(要約)を以下に紹介する。(翻訳:岡田氏)
                   /直人日本総理が、10日韓日併合100年と関連した談話を発表した。一言で言えば、責任回避に過ぎない。
                  ◆〆2鵑涼模辰亡泙泙譴覆韻譴个覆蕕覆こ某瓦蓮△泙気100年前の強制併合過程に対する「不法性」とこれを前提とした条約の「無効性」にあった。しかし談話では、韓国の人々の「その意に反して行われた植民地支配」を言及するなどの様々な言語的修辞にもかかわらず、結局、不法と無効を宣言することに達しなかったし、これは結局、韓日強制併合が合法的になされたことだということを、再度強調したことに他ならない。
                   併せて、強制併合に対する不法性と条約の無効を認めないことにより、解放65年の間まだ解決されていない日本軍慰安婦問題など日帝過去事(史)問題に対する、根本的な解決の根拠を持つことができなくした。
                  ぁ|模辰了点を、8月15日や、8月22日、8月29日を差し置いて、あえて8月15日以前に発表したことは、言語的修辞にもかかわらず、韓日強制併合に対する日本政府の責任とは一定の距離感を置くという意で、謝罪や反省のその真意を疑わせることとなっている。
                  ァ〆2鵑涼模辰如▲汽魯螢麋鏗下毀簑蝓遺骨奉還問題、文化財返還問題などを一部言及したが、むしろこれは今回の談話がいかに中身がない談話なのかを、そのまま表わす結果にすぎない。

                  一方、首相談話に対する日本のメディアの反応はどうか。11日の「毎日」社説は、「談話発表にあたっては民主党や自民党の一部から反対・慎重論が出た。戦後問題の再燃を懸念してのものだ。しかし、談話は補償問題につながるような記述は避けた。現実的な対応として理解できる」「今回の首相談話を、未来に向けた日韓関係構築お出発点にしたい」と評価している。
                  「日本帝国」崩壊、南北分断と結びつける視点はなく、「ダーバン」宣言などは頭の片隅にもない。歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」というが、対話どころか最初から過去を切り捨てている。メディアに求められる見識が欠如している。

                  Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 18:30 | - | - | - | - |
                  メディアと野田政権による北朝鮮「人工衛星」をめぐるバカ騒ぎを考える
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                      東電福島第一原発事故とその報道を通じて、政府やメディアの愚かさを国民は身にしみて感じたハズですが、大塚英志・宮台真司共著の本(太田出版、2012年1月)の題名を借りれば、この程度ではびくともしない「愚民社会」(主権者という自覚に乏しい半面、恐怖を煽る政府やメディアの脅しに過剰に反応し右往左往する国民が相当数を占める社会)を私たちは作り上げてしまったようです。

                    ●    米韓の軍事演習やロケット打ち上げが容認され、北朝鮮の「人工衛星」が容認されないことに正当性はあるのか?

                     今政府、メディアは北朝鮮が言うところの「人工衛星」打ち上げを「長距離弾道ミサイル発射」だとして、北朝鮮の脅威を報じています。
                     
                     この問題の前提として理解すべきことは、
                    ・宇宙条約を平和利用する権利はすべての国家にあり、安全に配慮した上で、人工衛星打ち上げはすべての国家に認められている。
                    ・北朝鮮に対する過去2回の国連安保理決議(1718、1874)は、核実験に対してなされたものであり、決議では人工衛星打ち上げロケットの開発・生産・打ち上げを禁ずる条項はない。
                    ・北朝鮮の過去2回の核実験は、ミサイル演習を非難する決議及び安保理議長声明への対抗措置として実施されたこと。
                    ということです。
                     
                     未だ休戦状態にある朝鮮半島で、一方の当事者である米韓の軍事演習やロケット打ち上げが容認される一方、北朝鮮の「人工衛星」打ち上げのみを非難することは「二重基準」そのものであること、そして今回の打ち上げを国連声明や決議で非難すれば、北朝鮮は核実験で応酬する可能性があることを示唆しています。
                    (中原昇「日韓の北朝鮮批判は正当か 人工衛星「破壊命令」の愚」『週刊金曜日』2012年4月6日参照)

                    ●迎撃ミサイルシステムは1兆円の「無用の長物」

                     驚くべきことに田中直紀防衛相は3月30日に、日本の領海・領土に本体や部品が落下する可能性があるとして「破壊措置命令」を発令し、自衛隊は海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦と地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)の配備(イージス艦は東シナ海と日本海、PAC3は沖縄県内4ヵ所と首都圏3か所)を完了したそうです。(「毎日新聞」4月10日朝刊)
                     
                    PAC3などの迎撃ミサイルの課題は、顱縫團好肇襪涼討鬟團好肇襪之發鼠遒箸垢茲Δ覆發里婆臣罎硫椎柔は非常に疑わしい、髻頬が一命中してもさらに細かくなった破片で被害者がでる可能性がある、鵝法崋蕕襦彗仂櫃牢霖呂任△螳貳冥嗣韻任呂覆ぁ△覆匹任修發修皀潺汽ぅ觀涎皀轡好謄爐蓮孱叡円の無用の長物」でしかありません。
                    さらに、万が一破壊した場合、北朝鮮に日本の人工衛星を破壊する口実を与えかねません。
                     
                    ●日本は、朝鮮半島分断に対する責任を果たし、非核化を見据えた取組みを

                     さらに、日本政府はワシントンで開催される主要8カ国(G8)外相会議で緊急避難声明を出すなどの対応をするようで、外務省幹部は「G8で非難のメッセージを出せれば日本としてまずは役割を果たしたことになる」と話しているそうです。(「毎日新聞」4月8日朝刊)  
                     大騒ぎをしながらこの程度の認識です。(声明が出されれば、北朝鮮は過去の例にならえば核実験で応えてくる可能性がありますが、そこまで考えが及んでいない?ようです)

                     権力欲のみの野田民主党政権や外務官僚の策の無さには驚くばかりですか、朝鮮半島分断に関する日本の歴史的経緯・責任を少しはわきまえるべきでしょう。
                    そうした認識もなく、「毅然とした態度」を示すパフォーマンスで騒いでいるようです。そんなヒマとカネがあるなら、東京電力福島第一原発の放射能汚染対策、一次産業地域振興のありかたの抜本的な見直しなどに集中すべきです。

                     そもそも北朝鮮が日本の脅威にならないようにすることが肝心なことですが、そのためにはまず、過去の侵略戦争の責任(メディアも国民の無理解である)をしっかり理解した上で、朝鮮半島、東アジアの非核化を見据えながら、主導的な役割(まずは6カ国協議の枠組みの中で)を果たすべく行動するしか方法はないでしょう。

                     野田首相、田中防衛相やメディアには、恐怖をあおりたて国民を右往左往させるだけのバカ騒ぎは謹んでもらいたいものです。

                    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 20:25 | - | - | - | - |
                    韓国強制併合100年を世界史的視野でとらえることの意義
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                        8月22日は、日本政府によって1910年に韓国併合条約が強制的に締結されてちょうど100年にあたる。歴史家の中塚明氏は、「長い時間のモノサシと広い世界史的視野で「韓国併合」を考える」ことを唱える。近代の朝鮮侵略は1875年の江華島事件にはじまり、1945年の「日本帝国」崩壊までの70年でおわる。その後65年、植民地支配の清算はおわってはいない。日本政府は「併合条約」を適法で有効であったと主張している。
                       
                      1963年8月15日の厚生労働省の公式発表によれば、日中戦争の発端となった1937年7月7日の盧溝橋事件から45年8月15日までの日本人戦没者数は、310万人。40年当時の日本の人口は約7311万人なので、日本人の24人に一人が亡くなったことになる。
                      内訳は、軍人・軍属が230万人で、そのうち「外地」での死者が210万人。民間人は「外地」30万人に、空襲や原爆による「戦災死没者」が50万人。沖縄戦の犠牲者は、軍人、民間人ともなぜか「外地」にカウントされているという。
                       厚労省は死因別や負傷者数のデータは把握しておらず、故・藤原彰一橋大教授によると230万人軍人・軍属の死者中、約6割の140万前後が病死を含む広い意味での餓死者と試算されるという。(8月10日「毎日」朝刊の「発信箱」)

                       このわずか8年間での310万人の日本人死者と朝鮮侵略、韓国「併合」は密接につながっている。

                      22日に豊島公会堂で開かれた「韓国強制併合100年、日韓市民共同宣言日本大会」(主催:「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委員会)は、「植民地主義の清算と平和実現のための日韓市民共同宣言」を採択した。
                       この「宣言」の前文で、2001年に南アフリカのダーバンで国連が開催した「人種主義、人種差別、外国人排斥及び関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された「ダーバン宣言」(http://www.hurights.or.jp/wcar/J/govdecpoa.htm)に触れている。

                       「日韓市民共同宣言」の一部を以下に紹介する。
                      「「ダーバン宣言」は、初めて「奴隷制と奴隷取引」を「人道に対する罪」と規定した。植民地主義についても「非難され、その再発は防止されねばならない」ことを確認した。その上で、過去数百年にわたってアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの民族・民衆を苦しめた奴隷制と植民地支配の清算をおこなうことは歴史的課題であると宣言し、その実現に向けての行動計画を打ち出した。つまり「合法」であったか否かを論ずる以前に、植民地支配それ自体を人類に対する犯罪であると断じ、その被害がなお継続している現実を直視し、克服していくことを提起したのである。画期的な意義を有するこの宣言は、欧米諸国のみならず日本を含むすべての旧植民地国家に突きつけられている。
                       韓国強制併合100年を迎える今、植民地主義を清算し、東アジアの平和な未来を構築することは日本と韓国・朝鮮、東アジアの市民の共通の課題であり、そのために手を携えて共同していくときである」

                      ●8月10日の「日韓併合」100年「首相談話」の評価は?

                      8月10日、菅首相は「日韓併合」100年の「首相談話」を発表した。
                      この談話に関する「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」声明を韓国在住の岡田卓己氏からメールで受け取った。
                       声明の一部(要約)を以下に紹介する。(翻訳:岡田氏)
                       /直人日本総理が、10日韓日併合100年と関連した談話を発表した。一言で言えば、責任回避に過ぎない。
                      ◆〆2鵑涼模辰亡泙泙譴覆韻譴个覆蕕覆こ某瓦蓮△泙気100年前の強制併合過程に対する「不法性」とこれを前提とした条約の「無効性」にあった。しかし談話では、韓国の人々の「その意に反して行われた植民地支配」を言及するなどの様々な言語的修辞にもかかわらず、結局、不法と無効を宣言することに達しなかったし、これは結局、韓日強制併合が合法的になされたことだということを、再度強調したことに他ならない。
                       併せて、強制併合に対する不法性と条約の無効を認めないことにより、解放65年の間まだ解決されていない日本軍慰安婦問題など日帝過去事(史)問題に対する、根本的な解決の根拠を持つことができなくした。
                      ぁ|模辰了点を、8月15日や、8月22日、8月29日を差し置いて、あえて8月15日以前に発表したことは、言語的修辞にもかかわらず、韓日強制併合に対する日本政府の責任とは一定の距離感を置くという意で、謝罪や反省のその真意を疑わせることとなっている。
                      ァ〆2鵑涼模辰如▲汽魯螢麋鏗下毀簑蝓遺骨奉還問題、文化財返還問題などを一部言及したが、むしろこれは今回の談話がいかに中身がない談話なのかを、そのまま表わす結果にすぎない。

                      一方、首相談話に対する日本のメディアの反応はどうか。11日の「毎日」社説は、「談話発表にあたっては民主党や自民党の一部から反対・慎重論が出た。戦後問題の再燃を懸念してのものだ。しかし、談話は補償問題につながるような記述は避けた。現実的な対応として理解できる」「今回の首相談話を、未来に向けた日韓関係構築お出発点にしたい」と評価している。
                      「日本帝国」崩壊、南北分断と結びつける視点はなく、「ダーバン」宣言などは頭の片隅にもない。歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」というが、対話どころか最初から過去を切り捨てている。メディアに求められる見識が欠如している。
                      Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 15:36 | - | - | - | - |
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