市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

「復興」「防災」に名を借りた公共事業利権が跋扈 〜中央官僚、利権政治屋、経団連らの醜悪さ
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      8月10日に、民主・自民・公明の3党合意による「社会保障と税の一体改革関連法案」が可決されました。と言ってもこれで消費増税が決定された訳ではなく、付則18条には「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とされていますから、増税の実施はそのときの政権が判断するものです。
     まさにこれからが、消費増税を許さない闘いの正念場です。

     ところで、メディアの消費増税推進大キャンペーンの中で、増税分は社会保障にまわし、財政再建にも寄与すると思いこまされている人が多数だと思います。しかし、「税との一体改革」「若い世代を含めた国民の不安を解消し希望をもてる社会を」といいながら肝心の「社会保障制度」改革の全体像は示されず、所得税の最高税率や相続税増税も先送りされました。いつものように法人税減税で増税分がチャラになる可能性が大です。

     さらに、3党合意で加えられた付則「事前防災や減災などに質する分野に資金を重点的に配分する」が、消費増税分を防災に名を借りた大規模公共事業にばら撒くことを宣言しています。すでに自民党が「国土強靭化基本法案」で10年間で約200兆円の投入を想定し、公明党は「防災・減災ニューディール推進基本法案」で10年間で100兆円を投じるとしています。

     一方、財務省が7日に締め切った2013年度予算の概算要求の一般会計の総額は98兆円、特別会計で管理する復興経費を含めると102兆円にのぼります。13年度の復興経費は4.5兆円で、これに今までの11〜12年度に見積もった19兆円を加えると約23兆円にふくれあがります。

     中央官僚、利権政治屋、日本経団連らによる防災、復興に名を借りた公共事業利権の跋扈に要注意だと思っていたら、増税を財源とする東日本震災復興事業という名ですでに跋扈しているようです。

    ●NHKスペシャル「追跡!復興予算19兆円の行方」から


     12日の深夜、NHKスペシャル「追跡!復興予算19兆円の行方」(再放送)をみました。
    この番組は、「「復興は進んでいない。お金は一体どこに使われているのか。」今、被災地から切実な悲鳴があがっている。大震災後、被災地復興のためつぎ込まれる巨額の“復興予算”。 増税を前提につぎ込まれることになった“復興予算”はいったいどのように流れ、使われているのか。 番組は“巨額のマネー”の行方を追い、その実態を徹底検証する」(NHK、HP)というものです。
     
     500を超える事業の内、被災地以外に投じられる事業は205事業で約2兆円、経産省予算1.2兆円の内、立地補助金3千億円の対象は510件、内被災3県は30件、この中に岐阜県のコンタクトレンズ製造ライン増設費があるのは、売り上げがのびれば被災地で販売店などの雇用がすすみ経済効果を生み出すからという理由。それ以外に、反捕鯨団体対策費23億円、国立競技場補修費3億円、沖縄県国頭村防波堤工事、青少年交流事業(H19年〜23年の5年間行われてきた外務省管轄事業で、予算は72億円/年で1万人が対象。2日間の震災地訪問を除けばあとは京都、大阪など観光地をめぐり。)、刑務所の教育費用(出所後、ガレキ処理作業の可能性があることが根拠)などなど。
    画面で経産省官僚らがシャーシャーとした表情で語る経済効果・地域振興を無視した「屁理屈」を聞くと、こんな連中が税金の使い道を牛耳っているのだと知って驚愕させられます。

     その一方で、被災地の商店街復興や医療機関再建などは予算不足で手に回らないなど復興が進んでいない実態があります。被災地復興と称した以上、まず被災地域に直接投資するのが当然だと思うのですが、ここでもバブル型開発で使われた「迂回的なまちづくり」がまかり通っています。

     番組では、その根拠として、東日本大震災復興基本法(2011年6月24日)第一条(目的)で「活力ある日本の再生を図ることを目的」を掲げていることが指摘されました。
    同法第3条(国の責務)では、「東日本震災復興基本方針」を定め、これに基づき、東日本大震災からの復興に必要な別に法律で定める措置その他の措置を講ずる責務を有するとあります。
    そこで、「東日本震災復興基本方針」(2011年7月29日、東日本震災復興対策本部)をみると、「3.実施する施策」の3番目に「東日本震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策」とあります。
    消費増税付則の「事前防災や減災などに質する分野に資金を重点的に配分する」、復興基本法の「活力ある日本の再生を図る」という一文を「それとなく」挿入する「知恵」には驚かされます。

    ●「迂回的なまちづくり」ではなく市民参加の「直接的なまちづくり」に投資を

     バブル型開発で使われた「迂回型のまちづくり」とは何か?これについて中山徹氏は「ようするに最終目的が市民生活の向上であっても、それを直接まちづくりの対象とせず、別の目的(巨大開発など)を達成し、それが玉突きで次々と目的を達成し、最後に市民生活の向上に寄与する」というまちづくりと規定しています。(「巨大開発の虚像と実像〜【検証】大阪のプロジェクト」)
    結果として、「迂回的なまちづくり」により、採算を度外視した事業が推進され、自治体の財政危機が深刻化する一方、開発企業の利益は保障され、地場産業の衰退は進行しました。

    ではどうすればよいのか?
    中山徹氏は、前掲著でバブル型開発を止めることができるのは「市民と地元企業だけ」とした上で、まちづくりの「4つの原則」を挙げています。

    1.迂回的なまちづくりから直接的なまちづくりへ
    2.地域(歴史的、自然的条件)に根差したまちづくり
    3.市民参加型のまちづくり
    4.まちづくりに関する権限を本庁から地域へ

    これは、復興事業にもあてはまります。
    税金の使途のチェックが使命のハズの議会が機能不全状態にある中、主権者市民と地域振興を真剣に考える地元企業が実践するしかないようです。

    Posted by : 川本幸立 | 税金問題 | 23:19 | - | - | - | - |
    消費増税法成立で結束した民(=自民党野田派)自公、大手メディア、日本経団連、中央官僚の4者〜日本国憲法など眼中になく、多国籍企業と1%(エリート)が得をする社会づくり
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        ロンドンの「国家権力対抗世界大運動会」にばか騒ぎしているすきに、ついに10日、消費増税法が民主(=自民党野田派)・自民・公明の大連立と密室の談合で成立してしまいました。現在の5%から2014年4月に8%、2015年10月に10%へと2段階で引き上げられ、「消費税2ケタ時代」への突入です。選手たちの人生をかけたメダル争いに熱狂している間に地域、自分と子孫の生活基盤が根本から崩されかねない事態に私たちは直面しています。

      大手メディアは露骨な消費増税キャンペーンを推進してきたくせに、今になって「重荷次々暮らし直撃」「年収500万円の家庭、年30万円の負担増」「不安感 消費に冷や水」などの見出しをのせています。(「毎日新聞」8月11日朝刊)

       国会論戦の中で、3党合意の法案の付則18条2項「事前防災や減災などに質する分野に資金を重点的に配分する」が、消費増税分を防災に名を借りた大規模公共事業にばら撒くことを宣言していること、自民党が「国土強靭化基本法案」で10年間で約200兆円の投入を想定し、公明党は「防災・減災ニューディール推進基本法案」で10年間で100兆円を投じるとしていることが追及されていました。

       一方、「税との一体改革」といいながら肝心の「社会保障制度」改革の全体像は示されず、所得税の最高税率や相続税増税も先送りされました。原子力複合体へのバラマキは変わらず、リニアやダム、高速道路など公共事業利権は維持されたままです。
       このままでは消費税還付金のタダどりでホクホクの日本経団連らが主張する法人税の減税や公共事業利権で消費増税分はチャラになりそうです。

      私は地域の「九条の会」のニュースでも、消費税が「社会的弱者が辛うじて得ていた生活費までも吸い上げ、社会全体で生み出した富を多国籍企業やそこに連なる富裕層に集中させていくシステム」(斉藤貴男「消費税のカラクリ」講談社現代新書)に他ならないこと、格差・貧困の深刻化と景気悪化、日本の経済・雇用を支える中小企業の倒産、財政再建どころか国・地方の借金財政がさらに巨大化すること、を指摘してきました。

       実は、「応能負担」こそが法の下の平等や生存権の保障を定めた日本国憲法の精神に合致し、大企業や高額所得者の税負担を軽くしている不公平税制を是正するだけで、消費増税しなくても税収は確保できます。
       
      ●「ペテンと詐欺」の自民党野田派政権を称賛する大阪市長・橋本徹、その橋下・「維新の会」を持ち上げる大手メディアという構図

       ところで、増税一辺倒の財務省と、命より「カネ」の経団連に忠実であることに「政治生命をかけた」という野田首相は、記者会見の冒頭で09年の衆議院選の民主党マニフェストに消費増税を明記していなかったことを「深く国民におわびしたい」と陳謝したそうです。前回総選挙で国民が拒否した自民・公明と「連立」し、約束もしていない消費増税を実現しようとし、その理由が原発再稼働と同じく「国民のため」というのだから野田首相は「ペテン師」「詐欺師」そのものです。

       この自民党「野田派」政権を、大阪市の橋下市長が10日、「野田首相はすごい。税を上げて、社会保障の議論もしていく。確実に『決める政治』をしている」と評価したそうです。

       この橋下を盛んに大手メディアが持ち上げています。たとえば今朝の「毎日新聞」朝刊でも、2面「動き出す『大阪都構想』」「維新塾に地方議員68人〜衆院選 全国に『即戦力』」
      と頻繁に登場させています。
       橋下が関経連の期待に応えて大型公共事業の推進、道州制の導入、憲法改悪、核武装、徴兵制などを主張するなど1%の側に軸足を置き、輿論(パブリック・オピニオン=意見)ではなく世論(ポピュラー・センチメンツ=空気のような感性的なもの)に影響がある限り橋下はメディアに利用されるでしょう。

       そもそも橋下はサラ金の代理人弁護士時代、悪徳業者とのつながりが指摘されるなど「正義感とは無縁の弁護士」で(一ノ宮美成他「橋下『大阪改革』の正体」講談社)、お笑い芸人の紳助に瞬間芸を学び、その延長で首長をしているように見えます。

       ある弁護士は、
      「橋下弁護士は、メディアや世間でもてはやされているように庶民的でもなければ、弁護士仲間に親しまれているような人でもなく、その正反対にいる人物。一言で言えば幼稚ですわ。それをメディアがまるで大阪の救世主かのようにちやほやするため、少しでも批判すると、知事本人もキレるし、世間のパッシングに遭う。それで誰もが口を閉ざすしかなくなる。今の大阪は、橋下知事とメディアが共演して恐怖政治がつくられている」(市民オンブズマン活動の弁護士)と語ります。(前掲書)

      ●大手メディアは、1%に軸足を置き金儲け、利権を手にする

       そういえば、森達也氏が先日NHKBSで、メディアとジャ-ナリズムは違うこと、メディアは事業性=金儲けを優先するが、ジャーナリズムは「体をはる」ことが求められる、という意味のことを語っていました。
       橋下を持ち上げる、消費増税を推進する、原発再稼働容認の背景にはジャーナリズム精神を失った金儲け主義に走る大手メディアの姿が浮かび上がります。

      Posted by : 川本幸立 | 税金問題 | 23:58 | - | - | - | - |
      消費増税と原発再稼働にノ―!〰6月9日発行 「とけ・9条の会」 第38号より〰
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        120628-1  120628-2  120628-3  120628-4
        Posted by : 川本幸立 | 税金問題 | 23:39 | - | - | - | - |
        経団連の米倉弘昌会長らの品の無さ
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            2月19日のブログで、明治期の日本の資本主義経済の急速な発展の原動力の一つが農民からの収奪によって確保した財政を生産施設・設備に投資し、それを無償かほとんど無償に近い金額で有力者に払い下げたことにあると記しました。
           この中で、農民からの収奪の仕組み(安定した税源の確保)が「地租改正」です。当時、地租の減租運動として千葉でどんな運動があったのか?現日本国憲法の民主主義(国民主権)思想を形成した自由民権運動とのつながりは?という疑問が浮かびます。

          「房総の自由民権」(佐久間耕治著、崙書房、92年)によると、
          自由党員数(明治17年5月の自由党員名簿):千葉は183名で府県別で全国5位(1位は秋田の428名)
          国会開設の請願書参加者数:千葉が32015人で全国2位(一位は48392名の高知)
          民権結社数:千葉が57社で全国7位(一位は高知の127社)
          です。
          さらに、君塚省三ら夷隅郡の自由党員による減租運動があったこと、当時(1884(明治17)年3月)、千葉県令が内務卿山縣有朋に提出した上申書内容からも夷隅郡だけの取り組みではなかったことが指摘されています。巻末の年表には、「1884年3月、自由党春期大会に君塚省三、石田直吉、三上文太郎ら参加。君塚省三、夷隅郡4000余名の署名をもって減租請願。新地租条例制定。」とあります。
          余談ですが「民権自由論」の植木枝盛は再三千葉を遊説し、1882年12月28日には土気町善勝寺で聴衆250余人を前に演説、また立憲改進党の田中正造も足尾鉱毒問題を取り組み始めた頃の1893年11月に長狭地方を遊説したとのことです。

          ● 法人税減税は国際競争と無関係の利権

          19日のブログでは、原発事故対応で国民に賠償負担を要求する電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)の傲慢な姿勢も批判しましたが、経団連の米倉会長の品(=哲学)の無さも相当なもののようです。
          社民党党首の福島瑞穂さんの「迷走政権との闘い」(アスキー新書、2011年5月)で、福島さんと対談した湯浅誠氏が次のように語っています。

          福島「そして『法人税がこのままでは企業は海外に行ってしまう。法人税を下げなければ』となぜかなるんですよね。法人税を下げても、内部留保にすると言っている企業も多い。そういう状況で、法人税減税を進めたことには大きな疑問を感じます。
          湯浅「法人税減税の財源を確保するために、企業の租税特別措置(ナフサ免税)に手をつけようという話が出たときのことです。そうしたら、経団連の米倉弘昌会長が『そんなんだったら、もう法人税は下げなくていい』と言い出したわけですよ。つまり租税特別措置のうまみの方が大きいということなんでしょう。
          法人税減税という話がでるまでは『日本の法人税は高すぎるから、海外とイコールフッティング(競争条件の平等化)で、平等な競争条件を整えないといけない』とあれほど言っていたのに、租税特別措置見直しの話になった途端に、『そんなんだったらもういいよ』となるのはおかしい。結局、負担を軽くしてほしいだけで、イコールフッティングだとかは、すべて方便に過ぎないと言っているようなもんです。
          財界の言っていることは、ものすごくワガママというか、品がないというか・・・だって、普通に考えて、地元のお金持ちが『オレの所得税下げなかったら隣の町に逃げるけどいいのか』と言い出して、地元の人たちから尊敬されると思いますか。ありえないですよ。
          だけど、そういう言い方が企業については全部まかり通っています。みんなもなぜか『しょうがない。これ以上怒らしちゃいけない。われわれは捨てられてしまう』とびびってひれ伏している。完全な主従関係ですよね。
          偉そうなことを言う企業に対しては、『あなたたち、今まで誰のおかげで商売してこれたのか。誰を相手に商売してきたのか』というふうに言っていいはずなのに、『そんなこと言う人は経済がわかっていない』と逆に怒られる」

          財界が要求している武器輸出三原則の見直しも、結局、大量殺戮で金儲けしたいということです。自由民権運動家の哲学と比べると財界トップの傲慢さと品の無さは目を覆うばかりです。

          Posted by : 川本幸立 | 税金問題 | 11:21 | - | - | - | - |
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