市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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こんな議員特権は即廃止を!
世界に例のない「地方議員年金制度」 >>
議員年金をめぐり既得権(=議員特権)に固執する自民党・民主党
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    議員特権の一つと言われてきた地方議員年金(都道府県議会、市議会、町村議会の3区分)の廃止の方針を総務省が示しました。しかし廃止後の取り扱い次第で、60年で1.3兆円もの公費投入が必要となるといわれます。

    県議の場合、毎月の議員報酬の13%の掛け金、期末手当の2%の特別掛け金が徴収され、それに県が公費から負担金を出します。公費負担率は都道府県で約42%です。

    退職年金の受給資格は「議員在職12年以上」、受給開始年齢は65歳で、その後亡くなるまで年金を受給できます。平均年金額は都道府県195万円(月約16万円)。遺族年金もあり退職年金の2分の一相当額が遺族に支給されます。

    都道府県議員の共済会の収支は、09年度予算ベースで収入51億円(自治体負担金20億円、掛け金26億円、特別掛け金2億円など)、支出56億円(退職年金39億円、遺族年金16億円、退職一時金1億円など)、つまり5億円の赤字で、年度末の積立金は100億円です。単純計算するとあと20年程度は持ちそうですが、その間の自治体負担金総額は約400億円となります。

    一方、市町村議員の収支は、09年度予算ベースで146億円の赤字で、年度末積立金は242億円とあとがなく、11〜31年までの財源不足額は合計約3400億円と試算されます。

    総務省が地方議会議員年金の廃止の方針を示しましたが、問題は既得権「保障」のため、1兆円を超える税金投入を前提としていることです。
    一昨年に総務省が示した案では、廃止に伴う一時金の支給水準が掛け金の64%でしたが、議員の強い要求に応えて80%に上昇しました。

    ● 県議会各会派の議員年金の既得権と県民負担に対する姿勢

    この総務省の方針に対して県議会議長に各会派が意見を提出しました。
    自民党、民主党、私が所属する「市社無」会派の意見を以下に表にして示します。

    「市社無」会派の意見は、
     ’兒澆鉾爾Ω費負担は極力抑えること。
    ◆々駝韻陵解を得ることが先決であること。
    を前提としたものです。

    しかし、他の会派は既得権保護に熱心なあまり、膨大な県民負担については関心が乏しいようです。表には掲載しませんでしたが、全会派が「制度廃止に伴って地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう配慮すること」に賛同しています。自分の頭で地方の財政状況を少しでも考える姿勢があれば、年金廃止に伴い公金投入はやめる、高額な議員報酬も見直すことが不可欠だという結論になると思いますが・・・。

    廃止後の給付の取扱い

    総務省対応方針

    自民

    民主

    市社無

    廃止時に現職の議員

    廃止時に年金受給資格を満たしている者(12年以上)

    掛け金総額の80%以上の一時金の給付を受けるか、そのまま廃止前の法律の例により、年金を受け取る

    ×

    廃止時に年金受給資格を満たしていない者(12年未満)

    掛け金総額の80%の一時金の給付を受ける。

    ×

    既に議員を退職している者

    廃止前の法律の例により、年金を受ける。

    この4月の引退者に対し、上記の現職議員と同じ対応とする。

    ×

    退職年金が一定額を超える者に対する給付の引き下げ

    200万円を超える者に給付する退職年金は、超える額の10%を引き下げる

    保留

    総務省対応方針以上に強化すべき

    高額所得者に対する支給停止措置の強化

    年金と所得金額の合計額が600万円を超える者には、超える額の1/2に相当する額の支給を停止するとともに最低補償額(現行190.4万円)を廃止する。                                                                                                                                                                

     

    国会議員と同じ700万円とする。

    総務省対応方針以上に強化すべき

    遺族年金の取り扱い

    廃止前の法律の例により、年金を受ける。

    給付廃止




    ● 廃止に当たっては公費の新規投入は認めないことを原則とすべき

    表の「市社無」の回答は、会派の4人の合意内容です。
    以下に、私の考えを記します。

    私は議員年金制度は、一般国民の公的年金制度と比較すると特権的であり、そして住民にさらなる議員コスト負担を強要するという点でも、憲法14条(法の下の平等)に照らして直ちに廃止すべきと考えます。当然、議員年金廃止にあたって、公費の新規投入は認められません。

    本来の議員年金制度のあり方は、議員活動の専業化に伴う従来業務に基づく報酬や公的年金受給額の減額分への補完的機能と位置づけるべきものです。このことは「議員の地位」にかかわることですので、別途考えてみたいと思います。

    以上より、年金廃止にあたって、次の2点を基本とすべきと考えます。

     ’金制度廃止後の給付の基準は、残余資金の範囲内での一時金の支給のみとすること。
    ◆/靴燭頁金制度の創設という話もあるが、現状では、高額な議員報酬ということからその必要はない。自らの特権的立場を放棄し、国民皆年金制度の充実にこそ取り組むことが住民に奉仕すべき議員の基本姿勢であるべきだ。

    *参考文献:「中央議会・地方議会議員年金制度」(渡部記安著・(株)朝陽会)

    Posted by : 川本幸立 | 議員特権 | 06:39 | - | - | - | - |
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