市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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〜議会改革の動きに鈍感な自民会派
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〜北千葉道路、圏央道の必要性、利根川の堤防強化 >>
県議会最終日に提案された73億円の補正予算に反対する
〜中央レベルの道路利権(圏央道、北千葉道路、外環道路)の要請で組まれた補正予算ではないか?!
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    17日に12月県議会が閉会したが、その最終日に政府が11月26日に決定した「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」の補正予算に基づく県補正予算案が追加提案された。総額73億円余りを、実質1時間足らずの検討・審議で通せというものだ。

    埼玉県議会では12月1日に議会に提案されているというから、千葉県当局の県議会(=県民)軽視は甚だしいことになる。

    さて、73億円の中身だが、指定された事業が「緊急経済対策、地域活性化、社会資本整備」に相応しいかということになる。県が要望した事業の中から、政府が取捨選択して実施事業を指定し予算づけしてきたもの。確かに、舗装道路補修や交通安全施策、教育施設の改修、冷暖房設備の設置などあるが、それらはごく一部に過ぎない。

    今回の補正の特徴として、
    6割にあたる46億円が「繰越明許費」(来年度に持ち越し)であること。
    8割にあたる60億円が土木費で、内、圏央道に22億円(今年度計64億円)、北千葉道路1億円(同70億円)、外環道路2億円(同28億円)であること。
    E斂敞颪任歪廠躬業負担金27億円以外のすべてに「繰越明許費」を設定したこと。
    が挙げられる。


    3つの高速道路事業に緊急性や明確な事業根拠がないことを私は県議会の質疑で明らかにしてきた。北千葉道路事業に至ってはいつ開通できるか見通しが立っていない。中央レベルの道路利権の要請で組まれた補正予算の色彩が強い。福祉的要素が強く、地域の中小の業者が直接関わることのできる既存施設改善事業(住宅リフォームなど)が、直ちに取り組め、投資したお金が地域で循環し安心して生活できるまちづくりという点からも最も相応しいと思うが、県は国に提案すらしていない。

    最終日は、09年度決算認定に反対の討論を行った。昨年度策定された総合計画について、1950年代からの京葉臨海開発、1980年代からの千葉新産業三角構想に対して「地域経済の疲弊」の観点から批判した。

    ●2009年度決算の認定に反対の討論(12月17日)

    市民ネット・社民・無所属の川本幸立です。
    2009年度決算を認定することに反対の立場から4項目に絞り討論します。

    まず、公社等外郭団体の改革が不徹底だということです。

    今年1月の第三セクター(株)かずさアカデミアパークの県民損失60億円にのぼる経営破たん、公社等外郭団体の不正経理問題からも、県幹部OBの「天下り」が経営改善どころか、1年〜2年の腰掛人事に過ぎずむしろ改革の阻害要因になっていることが誰の目からみても明らかになりました。常勤役員総数の中での県職員・OBの割合はここ数年4割前後と変わらず、県自ら掲げる公社等の自立経営を目指す「改革」が進んではいません。 県と外郭団体は多くの場合、事業を発注、受注する関係にあり、受注先に天下りポストが確保されていることについて、官製談合の疑いがもたれてもおかしくはありません。
    退職後の再就職はプライベートなものであり、県は退職者に再就職先を紹介すること自体を見直すべきであり、県OBの公社等の天下り、渡りを全面的に廃止すべきです。

    2番目に公共事業についてです。3点ほど指摘します。

    第一に、北千葉道路事業の21年度の支出は69億9千万円、この事業はいつ開通するかも不明でその効果も定かではありません。喫緊の事業ではないにもかかわらず財政状況が厳しい中、他の事業より優先される根拠はありません。

    第二に、09年度の直轄事業負担金は、東京外郭環状道路が約33億5千万円、首都圏中央連絡自動車道が56億1千万円などですが、事業実施の根拠となる首都圏中央高速道路などの国土交通省が算定した費用便益比B/Cは走行時間短縮便益の過大評価などずさん極まりないものであり、政府が事業中止の基準として支援したB/C1.0未満に該当する疑いが強いものです。

    第三に、国レベルでは事業仕分けが注目されていますが、公共事業を評価する委員会がその任務を果たしてはいません。
    昨年11月に開催された第21回の『国庫補助事業評価監視委員会』では、国道409号線、茂原一宮道路残事業などの費用便益計算について、走行時間短縮便益の過大評価の疑いが濃厚ですが、その検証を行っていません。事業継続の判断そのものに信頼性がありません。
    また、千葉県公共事業評価委員会第28回農林委員会では一般農道整備事業の事後評価が行われ、3Aの評価を下しています。しかし、農道そのものについてその目的に合致した評価は行われてはいません。

    3番目は.総合計画についてです。

    (1)昨年度、中長期的視点に立った県政全般に係る最上位の基本的かつ総合的な計画である千葉県総合計画「輝け!ちば元気プラン」が策定されました。この総合計画に沿って毎年、予算編成が行われるということですが、策定にあたり、1950年代からの京葉臨海開発、1983年の千葉新産業三角構想に基づく上総・幕張・成田などの拠点開発について、統計データの分析を踏まえた検証がおこなわれてはいません。
    その結果、これら60年間の中央依存の拠点開発がもたらした膨大な借金、生活基盤整備の遅れ、乱開発と自然破壊、地域経済の疲弊を直視することなく、過去の開発構想を無批判に引き継ぐものとなっています。

    (2)1950年代からの京葉臨海開発が千葉県に及ぼしたものは何か。過去、県企業庁など作成した詳細な調査報告書〜75年の「臨海地域開発の影響調査」、「臨海地域製造業の波及効果分析報告書」など〜によれば、雇用への波及度、県税・市町村税への寄与度で臨海開発は低く、県民所得への寄与度も県外通勤者関連の半分しかないこと、臨海部工業の原材料の調達先も製品搬出先も大半が県外であったこと、1965年から1971年までの7年間では、臨海部企業が自治体に収めた税金(固定資産税・事業税)よりも、自治体が臨海部企業関連の事業に支出した額の方が多かったことが指摘されています。
    このことから、臨海部工業が、千葉県外に本社を置く生産現場であること、生産そのものが県内産業と結び付いていないこと、多くが装置型産業で構成され、雇用力は大変小さいこと、この3点を地域振興を図る場合の重要な教訓として学ばねばならなかったのです。

    (3)千葉新産業三角構想において、この教訓は生かされませんでした。かずさ地域はかずさアカデミアパーク構想、アクアラインの開通で地域が活性化しているかどうか。木更津・君津両市の工業統計、商業統計(事務所数・従業員数・商品販売額)、固定資産税、土地価格、木更津市内の土地区画整理事業の進捗状況などの分析から、かずさ構想やアクアラインによる地域活性化の波及効果はみられないばかりかストロー効果や半島性の解消策により疲弊している現状が容易に把握できます。
    地域振興、拠点開発のあり方、環状道路や道路ネットワーク論の根拠も含めて根本から見直すべきです。

    4番目は教育施策についてです。

    (1)経済協力開発機構(OECD)の09年度のデータによると、日本の対GDP比の教育支出は28カ国中ワースト2位、すべての公的支出に占める教育費の割合は27カ国中最下位です。OECD諸国の中で、教育支出の少なさできわだっている日本の中において、千葉県は在学者一人当たりの教育支出は少なく、一学級あたりの児童数・生徒数は多いにもかかわらず、その改善は不十分です。圏央道や北千葉道路、かずさ構想につぎ込むお金があるならこうした教育、福祉に優先的に投入されねばなりません。

    (2)正規雇用教員は09年5月1日の時点で約3万5千人、非正規教員は3千3百人で非正規教員の占める割合は8.7%です。正規職員を確保することを怠っています。

    (3)全国学力・学習状況調査結果で示された千葉県の課題つまり「学力の格差」と向き合ってはいません。いわゆる全国学力テスト結果は千葉県は全国平均レベルというものの、学習塾に通っている児童生徒の割合が全国平均より5ポイントも高いことを割り引かねばなりません。全国トップの秋田県の「個に応じた指導」「家庭学習の充実」「開かれた学校づくり」は、H19年度の千葉県検証改善委員会の報告書が指摘した3つの学校改善支援プランと共通するものです。このH19年度の委員会報告書は「学校と市町村のおかれている経済的状況と、生徒の学力には明確な関連が見られる」と結論付けましたが、県教委は委員会の意見を県教委分析にほとんど反映しませんでした。「学力の格差」の解消に向けて、行財政面での支援を手厚くすべきです。

    (4)こうした深刻な諸課題を解決するために教育委員会会議があります。昨年度、教育委員会会議は17回開かれたということですが、教育庁提案の議案がすべて一切修正されずそのまま採択され、委員が提案した議案はありません。その一方、教育支出、非正規職員、学級崩壊、学力テスト結果、施設老朽化について会議ではまったく議論されないか表面的な議論におわっています。
    レイマンコントロールという使命をもった教育委員会会議は、その使命を果たしていません。

    以上を指摘し、2009年度決算を認定することに反対の討論をおわります。

    Posted by : 川本幸立 | ◆)2010年12月定例 | 15:17 | - | - | - | - |
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