市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

<< あとを絶たない教育職員による性的虐待・セクハラ事件
背景にある当事者無視の学校、教育委員会の閉鎖的体質
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地域振興効果がみられない木更津市、君津市の統計データ >>
千葉県が正すべき喫緊の課題は、
仝幹部と議会多数を占める自民党の馴れ合い
60年間、まともな地域経済波及効果の検証も行わず推し進めてきた中央依存(=中央利権と結びついた)の地域開発
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     新年おめでとうございます。


    元旦、普段話す時間の無い義父と久しぶりに話をしました。聞きたかったシベリア抑留生活のことです。父親が当時日本で貴重な無煙炭の炭鉱を経営していた樺太で生まれた義父は、1945年樺太で軍隊に招集され、その9月1日樺太の真岡でソ連の捕虜となり、ソ連の空襲・艦砲射撃による犠牲者の処理作業に2週間従事した後、ウラジオストックに送られ、そこからシベリア鉄道で半日ほどのアムール川上流にある収容所に送られたそうです。 

    捕虜の数は約500人、隣にはソ連国内で捕らえられた女性の囚人の収容施設があったそうです。その中にはパンを一切れ盗んだという罪でシベリア送りになった人もいたそうです。義父は幸運にもちょうど2年後の1947年9月1日、病傷人の付き添いとして最初の帰還船で京都・舞鶴に戻ることができました。2年間の捕虜生活の最初の1年間はつらい森林作業で、2年目はアムール川の魚の捕獲の責任者を命じられ、その捕獲量が多かったので表彰されたそうです。
    こうした過去の戦争体験者が年老いて少なくなる中、体験を記録に残し語り継ぐことは喫緊の課題だと思います。

    ところで、この「戦争体験の引継ぎ」について、昨年8月19日の「毎日新聞」朝刊の「文化欄」は、「戦争の『当事者意識』欠如を指摘」という見出しで、伊東裕史氏の「戦後論」(平凡社)を紹介しています。

    伊東氏は次にように語っています。
    「戦争の『当事者意識』とは、自分たちが戦争をしたという感覚のことです。同時代の日本人も、また後の世代にも、その意識が欠けていると思います」
    「ほとんどすべての日本人が町会や隣組単位で戦争をしたという事実は、誰も否定できません。ところが戦後の日本人は、軍部にだまされたと言い、政治指導者の責任を追及する中で、戦争への等身大へのかかわりを隠してきたのです」
    「自分たちが戦争をした事実をごまかしているから、議論を生産的に積み重ねられず、右派は正当化ばかり、左派は批判ばかり。戦争体験を引き継ぐといっても、受け手の心に届かない議論になっています」
    「膨大な国の借金にしても、自分たちがお金を借りて使っているという自覚が国民にあるかどうかは怪しい。政治家や官僚に責任を押しつけ、国民が自らのかかわりを棚上げしてはいないか、と考えてみることも必要だと思います」

    このことと関連して、最近読んだ本に伊勢崎賢治さんの「国際貢献のウソ」(ちくまプリマー新書)があります。
    その中で伊勢崎さんは、「世界平和のための憲法九条」を標榜している人々の本音が、「九条を使って世界を平和にする」のではなく、「自衛隊を外に出さないために九条を護る」ことであるのであれば、それでは国際紛争の現実から目をそらしているのではないかと指摘しています。ここでも「右」と「左」の対立に関係なく、世界平和に資する「当事者」足りうるのかどうかが問われています。

    さて、昨年の県議活動は、40億円県庁不正経理問題、公社等外郭団体の不正経理問題、60億円第三セクター破綻問題、09年度決算審査で忙しい1年間でした。

    決算審査では、過去60年間の千葉県の開発、つまり1950年からの京葉臨海開発、1980年代の「千葉新産業三角構想」の拠点開発(上総、幕張、成田)がもたらしたものの再検討を試みました。これらの開発は地域振興の名目で行われてきましたが、県はその「成果」について、「統計データ」を下にきちんと分析を行った様子はありません。

    もっとも、京葉臨海開発については、1975年に県企業庁が地域・経済波及効果について2つの報告書をまとめましたが、あまりの波及効果の低さに一般には公表しなかったようです。
    3つの拠点開発と高速道路ネットワークからなる28年前の「新産業三角構想」は、昨年度に策定された県総合計画でも継承されました。
    今までの県民税金の投入額670億円の圏央道は建設費に見合った便益は限りなくゼロに近いもので事業遂行の根拠はありません。総事業費700億円の北千葉道路事業は都心から成田空港へのアクセス強化を目的としていますが、完成時期の目途も無く、神奈川県が作成した調査報告書ではアクセス向上効果がほとんどないとされています。
    驚くべきことに県として事業効果について調査分析した形跡がまったくありません。

    2つの道路だけで総額2千億円に達すると思われますが、これらを既存市街地改善事業や住宅リフォーム事業、老朽化した教育施設の改修などに投入すれば、地元の中小企業が潤うことにもなりお金も地域で循環します。中央の道路利権に貢献する高速道路事業は地域振興や県の財政健全化の観点からも中止すべきです。

    しかし、なぜこうした中央の利権事業にストップがかからず推進されていくのか?
    その背景には、
     仝幹部と議会多数を占める自民党の馴れ合い
    ◆60年間、まともな地域経済波及効果の検証も行わず推し進めてきた中央依存(=中央利権と結びついた)の地域開発があります。

    そしてこのことが、40億円県庁不正経理問題、公社等外郭団体の不正経理問題、60億円第三セクター破綻問題、地域の疲弊と密接に結びついています。千葉県の民主党は圏央道推進を掲げました。「コンクリートから人へ」は撤回されたようです。

    今年4月は統一地方選挙です。
    今年も、千葉県の公共事業や県議会の実態を県民の皆さんに情報発信する所存です。
    当事者、主権者としてご判断いただきたいと思います。

    Posted by : 川本幸立 | 県行政 | 20:33 | - | - | - | - |
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