市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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沖縄基地問題をめぐるメディアの醜態
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    「最低でも県外」と主張していた鳩山首相が、米軍普天間基地を名護市辺野古周辺に移設するとした「政府対処方針」を28日に閣議決定した。これを受けて、30日に社民党は連立離脱を決めた。

    「政府対処方針」は、日米同盟を「引き続き日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び反映にとっても不可欠」「21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるように、幅広い分野における安全保障協力を推進し、深化させていかねばならない」とした上で、「同時に沖縄県を含む地元の負担を軽減していくことが重要」とした。

    5月17日、「アメリカがダメだというんだ。オバマさんも最初から辺野古だったから」と鳩山首相は福島社民党首に打ち明けたという。(「毎日」5月31日)

    沖縄県民の意思(辺野古移設賛成6%・世論調査)は無視された。29日朝刊で「毎日」は政治部長・小菅洋人氏の米政府の顔色を伺った一文を「安保をもてあそんだ罪」という見出しで一面に掲載した。

     この間、5月25日の緊急報告集会「基地はいらない!どこにも どうする普天間基地!?」(県ネット主催)、30日の「とけ・九条の会」4周年記念行事で同志社大学教授の浅野健一さんの講演「メディアと人権、戦争責任」があった。

     25日の集会では、著名な建築家でもある真喜志好一さんが、辺野古周辺の米軍の基地計画は1966年にすでに存在し、同じ計画が97年に出されたこと、辺野古計画にある桟橋(軍港)や戦闘機装弾場は普天間基地にないものであり、辺野古計画が「移設」ではなく基地を新設し強化するものであることを指摘された。
     海兵隊は攻撃開始から数週間後に上陸するという最後の上陸部隊であり、米本土にいても何の不都合もない。地政学、抑止力とは縁遠い存在だ。
     真喜志さんは、政府の迷走により沖縄は一つになっていること、「沖縄を返せ」という歌が復活していると語り、「琉球独立」という旗も掲げられ自然発生的に行われた集会の様子などをスライドで紹介した。

     30日の講演で浅野健一さんは、前政権の守屋とラムズフェルトによる辺野古計画は、新政権でチャラにして当然とし、ジャーナリズムの責任は、\鐐茵Ε侫.轡坤爐鮖澆瓩襪海函↓⊃邑△鮗蕕襦△箸いΑ崔亮運佑了纏」であるとし、CIA系に絡みとられた様相のメディを厳しく批判した。

    【参考】5月30日、とけ・九条の会 同志社大学教授・浅野健一さん作成講演資料から(抜粋)

    1 鳩山政権と沖縄差別

     鳩山由紀夫首相は5月28日夜、臨時閣議を開き、この日午前に発表した日米共同声明を確認し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古周辺に移設するとした政府方針を閣議決定。これに先立ち、社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相が閣議決定への署名を拒んだため、首相は福 島氏を罷免。福島氏の後任は置かず、平野博文官房長官に兼務させた。

    社民党の福島瑞穂党首が28日に党本部で開いた記者会見の要旨は次の通り。

    [ 連立政権で頑張ってきたが、社民党は沖縄を裏切ることはできない。(昨年)12月3日、私はこの内閣が(沖縄県名護市の)辺野古に(米軍普天間飛行場の移設で)基地を造ると決定した場合、重大な決意をしなければならないと述べた。日米共同声明と閣議決定にまさに辺野古と書き込んでおり、署名できない。
    この問題には三つの大義がある。「もう基地を造るな」と異議を申し立てている沖縄の人たちとの連帯。二つ目は国民と政府との信頼関係。(首相が)「最低でも県外」という約束をほごにするなら政府と国民との信頼は破壊される。三つ目は日米関係。地元の賛成なく反対の中で強行することは日米関係も破壊する。
    鳩山総理は「辺野古の海を埋め立てるのは自然への冒涜(ぼうとく)だ」と言った。私を罷免することは沖縄を切り捨て国民を裏切ることだ。激しく失望している。沖縄の負担を増やす政治に加担できない。私は約束した政治をしっかりやり、新しい時代を切り開いていきたい。沖縄問題の真の解決のため邁進(まいしん)していきたい。 ]

    福島氏は29日、TBSの番組で、「私を罷免することは、社民党を切り捨てること。党として重大な決意をしなければならないということはあるのではないか」と述べた。
    福島氏は、同県名護市辺野古への移設を明記した閣議決定への署名を拒否した理由について、「(閣僚を)続けたいとの思いも、もちろんあったが、新たな基地を建設することに加担をしてはいけないと思った」と説明。鳩山由紀夫首相からの説得に「言葉に責任をもつ政治をやりたい」と答えたことを明かした。連立離脱については30日の全国幹事長会議で最終決定する。

    首相はこの間、「抑止力」を強調。もともと憲法改悪論者で、米国追随派だったが、岡本行夫氏ら霞ヶ関官僚族にマインドコントロールされたに違いない。
     朝日新聞によると、首相は28日夜の会見で「県外に代替施設を見つけられないかという思いで(昨年末以来)探ったが、海兵隊全体を本土に移す選択肢は現実にはありえなかった」と、見通しの甘さを認めた。地元、連立与党よりも日米合意を優先させたことについては、「日米の信頼関係を維持することが最大の抑止力だ」と居直った。3月の韓国哨戒艦の沈没事件にわざわざ言及し、「東アジア全域の平和と安全の維持の観点から、慎重な熟慮を加えた結果だ」と説明した。
     
    沖縄県名護市の稲嶺進市長は28日、「市民に約束してきたことですし、信念を持って貫き通すのが私の役割です」とこれまでの姿勢を継続することを強調。鳩山首相との今後の交渉については「私は交渉の座に座らない」と強く否定した。仲井真弘多知事も「県外移設の実現に期待する県民の声が今でもますます高まっているなかで、このような合意は県民の大きな失望と怒りを招くものだ」と批判。「県や地元の了解を経ずに、このような移設案が決定されたことは誠に遺憾で、受け入れることは極めて厳しいと言わざるをえない」と語り、現状では辺野古移設を受け入れられないとの考えを改めて示した 

    日米同盟、すなわち日米軍事同盟を揚棄(aufheben)し、平和条約を結ぶ気もない。辺野古に新たな基地をつくれるはずがない。沖縄で抵抗闘争、独立運動も
    沖縄の議会、行政、メディアは「差別」されていると強調している。

    28日の基本政策閣僚委員会で示された、政府の沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題を巡る政府の対処方針の<2>は《日米安全保障条約は署名50周年を迎えたが、特に最近の北東アジアの安全保障情勢にかんがみれば、日米同盟は、引き続き日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び繁栄にとっても不可欠である。このような日米同盟を21世紀の新たな課題にふさわしいものとすることができるようには以下の通り》として、次のように述べた。《このため、日米両国政府は、普天間飛行場を早期に移設・返還するために代替の施設をキャンプシュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置することとし、必要な作業を進めていくとともに、日本国内において同盟の責任をより衝平に分担することが重要であるとの観点から、代替の施設に係る進展に従い、沖縄県外への訓練移転、環境面での措置、米軍と自衛隊との間の施設の共同使用等の具体的措置を速やかに採るべきこと等を内容とする日米安全保障協議委員会の共同発表を発出した》

    2 転換期のジャーナリズムの責任

     読売新聞は5月28日、【ソウル=仲川高志】で、《韓国政府関係者は28日、日米共同文書発表について「とにかく良かった。日米同盟は北東アジアの平和と安定に主要な役割を担っているから」と安堵(あんど)の表情を見せた。
     北朝鮮の核・ミサイル実験、金正日総書記の健康悪化、哨戒艦沈没事件など、朝鮮半島情勢を揺るがす事態が相次ぐ中、韓国政府は極めて強い関心を持って日米同盟の行方を見守っている。》などと報じた。日米同盟が憲法違反であるとの視点はゼロ。

       朝日新聞(【ソウル=箱田哲也】)によると、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)最高権力機関の国防委員会は28日、平壌で記者会見を開き、韓国の哨戒艦沈没事件は「傀儡(かいらい)当局(韓国)によるでっちあげだ」と否定した。北朝鮮外務省も同日、報道官名で「米国と南朝鮮(韓国)当局の自作劇」との談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
    国防委は「でっちあげ」だとする理由として、韓国の北朝鮮対策や外交政策の正当化、韓国保守勢力の結集、統一地方選を有利に運びたい思惑などから、韓国こそ哨戒艦沈没のような「事件」を必要としていたと指摘した。
     外務省報道官談話は主に米政府を批判。中間選挙を控え、強い姿勢を演出する必要があることや、米軍を国外に出そうとした日本の民主党を屈服させ、中国を難しい立場に追い込む狙いがあったなどと指摘した。

    日本の企業メディアとNHKは、鳩山首相を批判するが、朝日、毎日を含め東京のマスゴミこそが、日米軍事同盟に何の疑問も持たず、在日米軍記事を不変のものと見てきた。権力を懐疑的に見て、監視するというジャーナリズム機能を全く果たしていない。朝日の船橋洋一・主筆の日米安全面肯定はCIA工作員と疑うほどだ。朝日の那覇の記者は「首相を止められなかった社民党も同罪だ」と書いた。ふざけるな。朝日こそ同罪なのだ。
    テレビでは社民党の安保政策を非難する田原総一郎らのCIA系のコメンテーター、評論家がほとんど。28日夜のNHK解説委員は「北朝鮮情勢、中国の軍備増強など北東アジアの緊張を考えると米軍基地は重要、不可欠」と強調していた。

    日本のナショナリストはなぜ米国に敗戦後65年も軍事占領されていることを問題にしないのか。
    米中の戦略会議が開催中だった。米中の経済関係は強化する一方で、朝鮮は中国の影響下にある。日朝の正常化によって緊張は緩和できる。
    国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議は28日、核廃絶への具体的措置を含む64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書を全会一致で採択、閉幕した。「核なき世界」の実現を目的に掲げ、「核兵器禁止条約」構想にも言及した。 NPTの記事はいつも小さい。
    在日米軍があることで東アジアの緊張は高まっている。米軍のアフガン、イラク強制占領こそが世界の不安定要因。「ただで基地が維持できるから日本にいる」と西山太吉氏。

    沖縄の新聞は東京のマスコミを「第三の壁」と規定していた。2010年1月27日の琉球新報。
    [犲縛瓩旅塋 普天間移設と鳩山政権――第3部 模索 
    ■10■辺野古固執の大手メディア
     米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐっては、辺野古案を「唯一実行可能な案」と譲らない米側に加え、鳩山内閣内にも昨年末まで露骨に日米案推進を主張してはばからない閣僚もいた。だが、この閣内外の県内移設圧力のほかにも、「第3の壁」とも言うべき、もう一つ別の狎力瓩いた。全国紙など在京大手メディアだ。
     「プロの運動家を除いたら、実際に集まった人数はそんなに多くないんでしょ」。昨年11月9日に宜野湾市で開かれた普天間飛行場の県内移設に反対する県民大会の翌日、外務省担当の大手メディア記者が本紙記者に尋ねた。沖縄の反基地運動の大半は、地元の一般市民ではなくプロの運動家によるもの―との先入観を如実に表した質問だった。
     普天間移設問題をめぐり大手メディアの報道には「日米間のトゲ」や「同盟の危機」との表現が目立つ。在沖米軍基地の必要性については「地政学的な観点」や「中国や北朝鮮の脅威に対応する抑止力」と冷戦時代から手あかがついた表現が繰り返される。
     「社民斬りだ、社民斬り。連立に残りたいなら黙ってろよ」。社民党が「県内移設を決定すれば連立離脱も辞さない」との姿勢を示したことから鳩山内閣が混乱し、普天間移設問題への方針が大きく揺れ動いた昨年12月初旬。ある大手メディア記者は「ブレる」政権にいら立ちをぶつけるようにつぶやいた。
     大手メディアでは、普天間基地問題の取材は政治部記者が担う。長きにわたる自民党政権下での報道姿勢の影響もあってか、政治記者の問題意識の中心は政府内の派閥、勢力関係の分析に重きを置く「政局報道」の色彩が強い。その視点から見れば、県内移設に抵抗する社民は、連立政権の和を乱す厄介者と映ったようだ。
     「普天間移設問題に関しては朝日新聞と産経新聞の社説のトーンがあまり変わらない。これは郵政民営化議論の時以来、珍しい現象だ」。1月に都内で開催された日米安保体制に関するシンポジウムの壇上、大手紙の編集幹部は、現在の東京の言論状況を解説した。報道の「横並び」状況を自ら認めた発言だったが、同席した同業他社からもその発言に疑問や危機感を示す発言はほとんどなかった。その上で、自らの言説の正当性を強調するかのように、日本を取り巻く安全保障環境が軍事力を拡大する中国や核開発を進める北朝鮮の存在から予断を許さない状況だと指摘し、日米同盟、在日米軍基地の重要性を強調した。
     そして米軍基地の縮小を求める沖縄の議論について「沖縄は、今後10年もたてばアジアは平和になると思っている。僕らの考えている空間と違うところにあるようだ」と説き、会場からは冷笑も漏れた。
    (「呪縛の行方」取材班)
    (月―水掲載) ]

    10年6月1日ブログ
    Posted by : 川本幸立 | 米軍基地問題 | 00:00 | - | - | - | - |
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