市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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6月県議会一般質問(6月4日)一般質問報告
〜アクアライン社会実験に50億円投入の価値はあるか
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      昨年度(09年8月〜10年3月)の東京湾アクアライン料金引下げ社会実験の中間報告(東京湾アクアライン料金引下げ社会実験協議会)が、先月27日に公表された。
     昨年度20億円を投入した社会実験だが、東京湾岸の渋滞緩和、観光はじめ経済効果はどうだったのか、実は、報告を繰り返し読めば読むほど、これらについて実証されていないことに気づく。
     交通量が増えたからといって喜べない。5月27日の会派主催の勉強会「アクアラインと地域振興」で講師の環境政策学者・安田八十五さん(関東学院大学経済学部教授)が指摘された通り、地域振興における道路の役割は「派生的需要」に過ぎず、「本源的需要」ではない。地域の魅力そのものが試されている。

    ●東京湾岸の道路渋滞が大きく緩和された実態は確認できない

    【川本】アクアライン社会実験で5月27日に配布された中間報告内容について伺います。
    社会実験を始めるにあたって当時の金子国交相は「物流による東京湾岸の道路渋滞解消に大きく役立つ」と評価しました。この評価が国の支援の根拠の一つであると私は理解していますが、今回の報告書では、平日において「小型車では日2030台、大型車は日1560台の合計3590台が湾岸ルートからアクアラインルートへ転換していると推定される」としています。しかし、その一方で、湾岸部の交通量は「ほぼ横ばいに推移」しているとあります。
    そこで、伺います。
    社会実験により、東京湾岸の道路渋滞が大きく緩和された実態があるのか?

    【橋場・県土整備部長】
    1 千葉県、国、関係自治体及び高速道路会社 からなる社会実験協議会が5月26日に公表した中間取りまとめでは、交通量データの分析や物流事業者へのアンケート調査などから、湾岸部からアクアラインへ1日当たり約3,000台以上の交通が転換していると 推定しており、この転換により湾岸部の交通量は、減少しているものと考えています。
    2 これに対し、湾岸部の交通量は1日当たり 約15万台と非常に多く、渋滞が大きく緩和された実態までは、確認できませんでした。
    3 今後も交通量データの蓄積を進め、湾岸部の交通状況について、分析してまいります。

    ●交通量は前年比50%増だが、南房総の入込客数は7%増、宿泊客数は2.2%微減

    【川本】次に、観光の効果について伺います。
    交通量の実績は前年比5割増加といいながら、南房総地域の主な観光5施設の観光入込客数は7%増に過ぎません。昨年10月は交通量46%増に対し客数は2%減、11月は41%増に対し20%減であり、今年2月は47%増に対し19%減です。また、観光施設アンケートでも来客数は5%以上増えたが8.7%、5%以上減ったが11.1%、1~5%程度増えたが21%、1~5%減ったが10.4%で、ほとんど変わらないが35.9%です。
    そこで伺います。
    このように、社会実験が南房総の観光に期待したほど結びついていないことをどう考えるのか?

    【森田知事】
    1 世界的な不況や新型インフルエンザなどの影響で、観光をめぐる状況が大変厳しい中、 アクアライン社会実験が始まった昨年8月 から今年4月までの、南房総地域の主要観光 施設における観光客数は、前年と比べ4パーセントの増加となっています。
    2 また、先日公表した社会実験の中間とりまとめでは、君津、安房地域の観光施設の約3割が「売上げが増加している」と回答するなど、地域経済への好影響を示す調査結果も 出ています。
    3 今後とも、アクアラインの値下げ効果を最大限に活かし、「おもてなしの心」に満ちた魅力ある観光地づくりや、効果的な観光プロモーションに積極的に取り組んでまいります。

    【川本】また、南房総地域の宿泊客総数の変化はどうか?

    【永妻・商工労働部長】
    1 全国的に宿泊客数が落ち込み、平成21年の県全体の宿泊客数は前年と比べ、7.8パーセントの減となっていますが、南房総地域においては2.2パーセントの微減にとどまっており、健闘しているものと考えています。
    2 県としては、宿泊・滞在推進のための戦略的なモニターツアーや計画策定、イベントなどに取り組む市町村等を支援する「宿泊・滞在型 観光推進事業」を、今年度に新たに設けたところであり、経済効果の高い宿泊客の増大や滞在時間の長期化の取組みを進めてまいります。

    ●大型車の分類調査で業種毎の社会実験の効果の把握を

    【川本】次に、社会実験評価のあり方について伺います。
    今回の報告書によれば、平日の大型車の72%の4240台が木更津金田と袖ヶ浦ICを利用していることから、大型車増の多くはトラックの増と推測されますが、大型車の車種別の調査をしてはいません。5月の平日の1日、朝7時〜夕方5時に実施した私たちの調査では大型車の2/3前後はトラック、タンクローリーであり、中でも全体の2割は産廃・残土を運搬する車両でした。
    そこで、伺う。
    社会実験がどの産業にメリットがあるのかを把握するために、大型車について、路線バス、観光バス、タンクローリー、運送トラック、産廃・残土運搬車などに分類して調査すべきと考えるがどうか?

    【県土整備部長】
    1 アクアラインの料金引下げ社会実験により、平日の大型車交通量が前年と比べ2倍に増加するなど「人」「もの」の動きが活発化しているところです。
    2 この影響を具体的に分析するため、業種毎の効果を把握することが重要であると考えています。
    3 その手法について社会実験協議会で検討してまいります。

    ●環境、経済効果についてもきちんとした評価を

    【川本】また、自動車交通量や渋滞の増加は、CO2の排出量をふやすことが懸念されますが、今回は地球温暖化の影響については評価していません。
    そこで伺います。
    環境面を含めて、社会実験による正負の効果をきちんと評価すべきと考えるがどうか?

    【県土整備部長】
    1 アクアラインの料金引下げ社会実験により、交通量や観光客が増加するとともに、物流の効率化や企業立地の優位性の向上など本県にとって多くの効果が現れています。
    2 一方で、アクアラインの渋滞による高速バスの遅延や東京湾フェリー利用者の減少などマイナスの影響も出ています。
    3 今後、実験結果の最終的なとりまとめにあたっては、プラス面だけでなく、マイナス面についても評価してまいります。

    【川本】アクアライン社会実験についてですが、
    中間報告書では、「東京湾岸の道路渋滞解消に大きく役立つ」とは言えず、観光効果もハッキリとしたものが不明であり、経済効果について触れられていない。報告書を読めば読むほど、社会実験の価値がこの報告書では実証されていない。
    そもそも地域振興への影響において道路は派生需要であり、本源的需要ではない。
    巨大なアウトレットが進出するというが、すでに各地にアウトレットがあり、一方が栄えると一方が疲弊する。郊外への進出は中心市街地の疲弊を一層加速させる。国策として実施を求めるというが、その前にこうした経済効果についても正と負の影響をしっかり検討し、その上で判断することを要望します。
    Posted by : 川本幸立 | ◆)2010年06月定例 | 15:07 | - | - | - | - |
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