市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

<< 6月県議会一般質問(6月4日)一般質問報告
〜アクアライン社会実験に50億円投入の価値はあるか
| main | 6月県議会一般質問(6月4日)報告
〜安房地域整備センター、安房農林振興センターの繰越手続き、虚偽報告問題 >>
6月県議会一般質問(6月4日)報告
〜浦安市立小学校の教諭による性虐待事件で、浦安市と県が責任の押し付け合い
0
      03年の4月〜7月、当時小学6年の知的障がいを持つ少女が教諭から性虐待を受けたとして、損害賠償を求めた控訴審で、3月24日、東京高裁は1審の千葉地裁判決が認めた被害にさらに3件被害を認定し、県、浦安市に330万円の支払いを命じる判決をだした。
    浦安市は判決が認定した性的虐待の事実を認めない姿勢のまま、3月29日に上告断念を発表し、県はそれを受けて3月30日に上告断念を発表した。

    ●5月18日の浦安市教委からのヒアリング

     この件について、5月18日午後、大野博美、小宮清子県議とともに、浦安市教育総務課の長野次長、鈴木学務課長と面談した。その折の質疑応答の大要は次のとおり。

    【川本】上告断念の理由と上告しないことを決めるまでの経緯について?
    【浦安市教委】3/25臨時の教育委員会会議を開催し、委員長より「判決を精査し、適切な対応策を示すよう」という指示があった。ただし、この指示内容は議事録には掲載されていない。(会議終了後の発言かもしれないとのこと)
    3/29前(何月何日かを特定しなかった!)までに委員長より、上告しない方向で検討するようとの指示が電話であった。 
    【川本】東京高裁判決が認定した被害事実を認めるのか?
    【浦安市教委】事件発覚当初、関係者からの聴取など市として十分な調査を実施しており、市としての落ち度はない。関係者からの聴取には被害者の両親も含まれる。県も独自に調査をして問題なしとの結論を下している。7月7日に被害報告が出され、4日後の7月11日には教諭を担任からハズした。この迅速な対応に保護者からも感謝された。
    【川本】被害少女が今でもPTSDで苦しんでいることについてどう考えているのか?
       また、少女のケアについてどう考えているのか?
    【浦安市教委】・・・・
    【川本】再発防止策として具体的に何を考えているのか?
    【浦安市教委】浦安市は学校のセクハラ対策にはすでに教職員で十分な体制を組んでいる。 
    【川本】3月30日の県教委委員協議会での指摘事項をどう受け止めるのか?
    【浦安市教委】聴いていない。協議会とはどういう組織か?
    【川本】被害者、両親への謝罪は?
    【浦安市教委】考えていない。教諭の人事権は県にある。
    【川本】加害者の元教諭への求償権については?
    【浦安市教委】検討中。県と市が連帯して責任を負う立場なので、両者が相談して決めることになる。

     この浦安市教委とのやりとりも踏まえて、6月4日に県教委を質した。以下に質疑応答内容を紹介する。

    ●6月県議会一般質問(6月4日)

    ・高裁判決をどう受け止めているのか?

    【川本】浦安市立小学校に係る性虐待事件について伺います。
    03年の4月〜7月、当時小学6年の知的障がいを持つ少女が教諭から性虐待を受けたとして、損害賠償を求めた控訴審で、3月24日、東京高裁は1審の千葉地裁判決が認めた被害にさらに3件被害を認定し、県、浦安市に330万円の支払いを命じる判決をだしました。
    浦安市は判決が認定した性的虐待の事実を認めない姿勢のまま、3月29日に上告断念を発表し、県はそれを受けて3月30日に上告断念を発表した。
    そこで以下伺う。
    この高裁判決の特徴は、知的障がいのある児童の供述特性及び性的被害を受けた児童の心理特性を十分踏まえて、被害供述に高い信用性を認め、かつ事実を丁寧に精査し、加害教諭の自白の信用性を認めて、性的虐待の事実を一審認定以上に拡大しました。知的障がい及び児童虐待に関する海外の最先端の研究を踏まえた専門家の意見書を尊重し、「日時や回数に関する記憶が正確でなかったとしても、被害を受けたとの供述の信用性は否定されない」と判示しました。
    そこで、教育長に以下伺う。
    1点目に、県は高裁判決を「真摯に受け止める」としたが、柱となるこの判示部分についてどのように精査し、かつ受け止めているのか?

    【鬼澤教育長】高裁判決については、判決文を精査しましたが、「少女の供述の信用性は否定されるものではない。」という判示部分についても、真摯に受け止めております。

    ・高裁判決が認定した被害事実を認めるか?

    【川本】2点目に、高裁判決が認定した被害事実について当然認める立場だと考えるがどうか?

    【鬼澤教育長】民事高裁判決において、認定された被害事実については、真摯に受け止めております。

    ・教育委員会委員協議会での意見は?

    【川本】次に、教育委員会委員協議会が3月30日に開催され、「判決を受け入れ、上告しないことを全員一致で了承された」としたというが、委員協議の場で各委員からどのような意見が出されたのか?委員長に伺う。

    【山田純子・教育委員長職務代理者】
    委員協議会では、事実認定をめぐって、法律審である最高裁で争うことは困難であると考えられ、判決を受け入れ、上告しないことを全員一致で了承しました。
    その際、委員から、
    1 知的障害者が事件に巻き込まれた場合は、事実判定を正確に行うための配慮をする必要がある。
    2 控訴時と同様に、県の対応の判断時期が、市とずれたことは遺憾である。
    3 県と市の関係においては、県がしっかりとしたリーダーシップをとる必要がある。
    などの意見が出されました。

    ・責任の所在は?

    【川本】私たちは浦安市教育委員会の責任者からも話を聞きましたが、今回の責任の所在はどこにあるのかと尋ねた折、「人事権は県教委にある」ということを言っていました。あたかも責任は県にあるという口ぶりでした。今回のこの事件の責任の所在はどこにあると考えているのか伺います。

    【鬼澤教育長】高裁判決で認定された不法行為の責任については、まず、行為を行った当該教諭にあるものと考えますが、同時に、当該教諭の服務監督権を有する浦安市教育委員会にも責任があるものと考えます。

    ・被害少女のケアは?

    【川本】被害少女は今でもPTSDで苦しんでおり、状況が悪化することはあっても完治することは難しいと主治医が述べているといわれます。平成11年に策定された「県職員と幼児・児童・生徒、保護者との間におけるセクシュアルハラスメント防止についての指針」では、「被害を訴えた児童生徒の救済と心のケアを最優先に対応し、必要に応じて専門機関との連携を図る」とあります。県はこの指針に従い、被害少女のケアについてどのように考えているのか。

    【鬼澤教育長】セクハラ事故が起こった場合に、被害児童生徒の人権を十分に尊重しながら、学校全体で適切に対応することとしています。また、必要に応じて、スクールカウンセラーやスーパーバイザーを派遣したり、専門の医療機関等を紹介するなど、児童生徒の心のケアに努めております。
     この事件の少女については、既に学校を卒業していることから、本人の希望により、県の「子どもと親のサポートセンター」を窓口として、様々な相談に応じてまいります。

    ・再発防止策として第三者機関などの設置は?

    【川本】再発防止策について伺います。
    性虐待行為の被害者が若年者、障がい者の場合、相談者には様々な専門的な知見が求められます。
    また学校における教職員による子どもへの暴行やわいせつ行為等の虐待を防止・救済する法制度はないのが現実だ。
    一方、千葉県人権施策基本指針には、「人権侵害の被害について直接訴えられるオンブズパーソンの設置や第三者機関等により、住民との協力体制のもとに子どもの人権を擁護するためのシステムづくりを推進します」とある。この指針に従い、オンブズパーソン制度や第三者機関の整備が必要と考えるがどうか。

    【鬼澤教育長】現在、県内の法務局の人権相談所、千葉県警察が行っているヤングテレホン及び女性被害110番等の機関は、第三者機関として、セクハラ被害等の相談ができるようになっております。
    また、「千葉県男女共同参画苦情処理委員制度」も公正・中立的な立場を持つ第三者機関としての機能を有し、学校におけるセクハラ等の人権が侵害された場合の相談や調査も扱っています。
     県教育委員会としましては、再発防止の観点からも、被害者やその関係者がいつでも相談できるように、これら第三者機関の周知に努めてまいります。

    ・11年前に策定された県セクハラ防止指針の見直しは?

    【川本】また、先ほどあげた県のセクハラ防止指針は平成11年以降、改訂されてはおらず、内容も現場職員がまず対応することになっており、防止にあたってのきめ細かな配慮に欠け、障がい者への対応では児童生徒の特性を理解できる専門家チームの対応の規定もない。この指針を今回の教訓を生かして見直すべきと考えるがどうか。

    【鬼澤教育長】指針は、セクハラに対する基本的な考え方や、防止対策の原則について示したものであり、現時点で、見直しは考えておりません。
      今後とも、この指針に基づき、セクハラ実態調査方法の改善やリーフレットの改訂など、実態に応じた対策をしてまいります。

    【川本】セクハラ防止の指針の改正について、委員長は、どのように考えるか。

    【山田純子・教育委員長職務代理者】
    指針は、セクハラに対する基本的な考え方や、防止対策の原則について示したものであり、現時点で、見直しは考えておりません。
      今後とも、この指針に基づき、セクハラ実態調査方法の改善やリーフレットの改訂など、実態に応じた対策をしてまいります

    ・被害者や家族への謝罪は?

    【川本】県は、被害少女とその家族に謝罪しないのか。

    【鬼澤教育長】判決については、真摯に受け止めています。このような事件が起きたことは、遺憾であると思っております。
     また、少女及び保護者への謝罪につきましては、直接の服務監督権者の問題と考えています。

    ・加害元教諭への求償権の行使は?

    【川本】また、加害元教諭に対する求償権の行使についてどう考えるのか?伺います。

    【鬼澤教育長】
    国家賠償法に基づいて公共団体が損害を賠償した場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、公共団体はその公務員に対して、求償権を有するとされています。
    本事案においては、高裁判決に基づき、浦安市が損害賠償金の全額を支払ったことから、県は求償権を有していません。
    なお、元教諭に対する求償については、浦安市において検討していると聞いています。
    Posted by : 川本幸立 | ◆)2010年06月定例 | 15:12 | - | - | - | - |
    TOP