市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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〜公社等外郭団体の不正経理問題
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不正経理調査特別委員会の再設置議案に賛成討論
〜自民党は、微々たる金で不正問題追及に「幕引き」をはかる
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      22日で6月定例県議会が終わった。最終日は、自民党以外のすべての会派が「不正経理調査特別委員会の再設置」を求める発議案を提出したが、多数を占める自民党の反対で否決された。一方、自民党は03年度〜08年度の40億円不正経理問題で議会の責任をとるとして、議員報酬3%×3ヶ月(計7〜8万円)を返上する議案を提出し、我が会派、民主、共産の反対を押し切って可決した。

     国庫補助金がらみの事業の不正で、約4億円の負担を県民に転嫁することを容認し、議会工作費などで自らも甘い汁を吸ったことが指摘されている90年代の数十億円規模の不正の追及を妨害したあげく、微々たる報酬削減(総額800万円弱)で臭い物に蓋をするのが自民党である。これでは再発防止どころではない。

     さて最終日に私は、「不正経理調査特別委員会の再設置」を求める発議案に賛成討論した。その詳細は以下の通り。

    ●6月22日の討論

     市民ネット・社民・無所属の川本幸立です。
    「不正経理調査特別委員会の再設置」を求める発議案第28号に賛成の立場から討論します。

     2月県議会で、私たちは次の6つの課題が未解明であるとして特別委員会の設置期間の延長を求めました。
     第一に、基本となる業者帳簿データが委員会に情報提供されないこと。
    第二に、調査対象額のほぼ3分の一にあたる約23億円が使途不明のままであること。
    第三に、不正経理のルーツであり02年度以前の数十億円規模とも言われる不正経理の調査が行われておらず、県民への道義的責任が明らかにされていないこと。
    第四に、総務部の財政・人事管理部門への庁内接待と裏金づくりを指摘する「内部告発文書」内容の検証作業が未着手であること。
    第五に、警察本部、外郭団体の調査が完了していないこと。
     第六に、議会としてなぜこの不正をチェックできなかったのかを検証し、議会に求められる本来の監視機能を発揮するための方策を検討していないこと。

     これに対し、自民党は特別委員会の延長に反対しこの6つの課題に蓋をする一方、討論の中で、「平成22年度以降、万が一、今回同様の悪質な、また、組織的な不正経理が明らかになった場合には、改めて直ちに特別委員会を設置し、より一層厳しく対応すべきであるということは我が党としても当然のことである」と主張しました。

    ・組織的で悪質な虚偽報告、繰越問題
     
     この4月に発覚した安房農林振興センター及び安房地域整備センターが繰越手続きを怠った問題は、不正経理調査特別委員会調査報告書が特別委員会の再設置の要件とした「新たな組織的かつ不適正な問題」に該当するのみならず、安房農林振興センターの広域農道工事では未完成であるにもかかわらず「完成」したと虚偽の報告を組織的に行い容認するという悪質なものであり、自民党の「改めて直ちに特別委員会を設置する」要件にも合致するものです。

    すなわち、虚偽報告、繰越手続き問題で次の4点を指摘します。
    第一に、繰越手続きを怠ったことにより約2千万円の負担増を県つまり県民に求める可能性があることです。

    第二に、地方自治法第234条の2(契約の履行の確保)で、地方公共団体の職員は契約の適正な履行を確保するため、必要な監督または検査が義務づけられており、監督または検査の方法は契約書、仕様書および設計書その他の関係書類に基づいて行われなければならないことが定められています。地方自治法第243条の2では、検査等にあたる職員は、「故意又は重大な過失により」その義務を怠ったり、手抜き工事を見逃す等によって地方公共団体に損害を与えた時は損害賠償責任を負うとされています。今回の虚偽報告、繰越問題はこの地方自治法の損害賠償責任を含め、「予算執行職員」としての監理監督責任が厳しく問われなければなりません。

    第三に、虚偽報告、繰越手続き放置は、それぞれの組織の指揮命令系統で指示、容認されたものであり、まさに組織的に行われたことが常任委員会の審議の中で明らかになったことです。安房農林振興センターでは、請負者に虚偽の「工事完成通知書」を出させ、基盤整備部長、課長、主幹、関係者承知の上で、ウソの「工事完成報告書」を県土整備部の技術管理課長に提出しました。一方、技術管理課の検査監は、必要な書類が整っていないにもかかわらず、完成検査を出来形検査に切り替え、それを技術管理課長、副課長、主幹、室員が追認したことが工事検査調書より明らかです。この重大な変更について県土整備部長には報告されませんでした。この技術管理課の一連の対応は、明らかに建設工事検査要綱、土木工事共通仕様書を逸脱する行為です。

    第四に、虚偽の通知書・報告書は公文書の偽造と言う悪質な行為に他なりません。 

    こうしたことから、なぜ、自民党が特別委員会の再設置を求めないのか理解に苦しむものです。

    ・常任委員会審議では県民の声に応えられない

     次に、常任委員会での閉会中の審査は次善の策であり、調査特別委員会での審議こそが説明責任と再発防止を求める県民の声に応えるものであることを主張します。

    第一に、そもそも常任委員会の所管は部局毎の縦割りであり、特別委員会の調査事件は2以上の部局にまたがるものを対象としています。
    今回の虚偽報告、繰越問題については、地方自治法、地方公務員法、財務規則等に関わるものであり、とりわけ法令違反、職員の責任についての所管は総務部であり、農水部、県土整備部、総務部の複数の部局にまたがる課題です。

    第二に、公社等外郭団体の不正経理問題については、総務部行政改革監の調査指示により実施されており、今後調査する委託料や補助金など各団体に共通する問題については、総務部特別監察室が中心となって対応する旨の答弁が県土整備常任委員会でもありました。
    また、60億円の損害の(株)かずさアカデミアパークの破綻にみられる、県幹部の経営能力二の次の、天下り、渡りを含めた経営体制などにしっかりとしたメスを入れる必要も指摘されています。これは各部局ごとの縦割りの常任委員会では処理できない課題です。
    法令、人事の所管は総務部です。
     この公社等外郭団体をめぐる新たな課題は今議会の審議で明らかになったものであり、県民の負託に答えるためにも複数の部局にまたがる事件を扱う特別委員会で調査審議することが相応しいものです。

    第三に、8つの常任委員会のうち、県土整備、農水、健康福祉の3つの委員会で閉会中審査を確認していますが、法令・人事を所管する総務をはじめ他の5つの委員会では閉会中審査は行われません。これでは、常任委員会の審査は不十分と言わざるをえません。

    以上のように、虚偽報告、繰越問題、公社等外郭団体問題を有効かつ総合的に審査するために、特別委員会の再設置が強く求められます。

    ・自民党は心を鬼にして委員会設置に賛成を

    最後に、私は今議会の一般質問で、神戸市から外郭団体に派遣した職員について、市が実質的に給与を負担したことを違法とする判決、すなわち市長と3つの外郭団体に対し計約2億5千万円を市に返還させるよう命じた判決が確定したことに触れました。この判決に関連して前鳥取県知事の片山善博氏は、自治体は総務省に頼らず自らの責任で法解釈することが不可欠とし、そのために議会の役割として、次のように述べています。

    「珍妙なことに、多くの地方議会では、「与党」を自称するグループが存在する。そもそも議院内閣制ではなく二元代表制を採用している自治体には、国と違って与党も野党もあり得ないのに、である。その「与党」を自称する議員たちは、首長を守り、首長が出す議案をそのまま通すのが自分たちの使命だと、往々にして錯覚している」「たしかに議案をすべて無傷で通すことによって当座は市長を守ったことになるのかもしれないが、その結果が市長に対する巨額な損害賠償請求だったとすると、結局は「贔屓の引き倒し」あるいは「親切が仇になる」の類でしかない。「与党」を名乗る議員たちは、首長を守ろうとするのであれば、心を鬼にして議案の不備や違法性あるいは不当性を探し出すべきで、それが本当の親切というものだろう」

    是非、心を鬼にして不正経理調査特別委員会の再設置に賛成することを求めまして私の討論をおわります。
    Posted by : 川本幸立 | ◆)2010年06月定例 | 00:00 | - | - | - | - |
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