市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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韓国強制併合100年を世界史的視野でとらえることの意義
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      8月22日は、日本政府によって1910年に韓国併合条約が強制的に締結されてちょうど100年にあたる。歴史家の中塚明氏は、「長い時間のモノサシと広い世界史的視野で「韓国併合」を考える」ことを唱える。近代の朝鮮侵略は1875年の江華島事件にはじまり、1945年の「日本帝国」崩壊までの70年でおわる。その後65年、植民地支配の清算はおわってはいない。日本政府は「併合条約」を適法で有効であったと主張している。
     
    1963年8月15日の厚生労働省の公式発表によれば、日中戦争の発端となった1937年7月7日の盧溝橋事件から45年8月15日までの日本人戦没者数は、310万人。40年当時の日本の人口は約7311万人なので、日本人の24人に一人が亡くなったことになる。
    内訳は、軍人・軍属が230万人で、そのうち「外地」での死者が210万人。民間人は「外地」30万人に、空襲や原爆による「戦災死没者」が50万人。沖縄戦の犠牲者は、軍人、民間人ともなぜか「外地」にカウントされているという。
     厚労省は死因別や負傷者数のデータは把握しておらず、故・藤原彰一橋大教授によると230万人軍人・軍属の死者中、約6割の140万前後が病死を含む広い意味での餓死者と試算されるという。(8月10日「毎日」朝刊の「発信箱」)

     このわずか8年間での310万人の日本人死者と朝鮮侵略、韓国「併合」は密接につながっている。

    22日に豊島公会堂で開かれた「韓国強制併合100年、日韓市民共同宣言日本大会」(主催:「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委員会)は、「植民地主義の清算と平和実現のための日韓市民共同宣言」を採択した。
     この「宣言」の前文で、2001年に南アフリカのダーバンで国連が開催した「人種主義、人種差別、外国人排斥及び関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択された「ダーバン宣言」(http://www.hurights.or.jp/wcar/J/govdecpoa.htm)に触れている。

     「日韓市民共同宣言」の一部を以下に紹介する。
    「「ダーバン宣言」は、初めて「奴隷制と奴隷取引」を「人道に対する罪」と規定した。植民地主義についても「非難され、その再発は防止されねばならない」ことを確認した。その上で、過去数百年にわたってアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの民族・民衆を苦しめた奴隷制と植民地支配の清算をおこなうことは歴史的課題であると宣言し、その実現に向けての行動計画を打ち出した。つまり「合法」であったか否かを論ずる以前に、植民地支配それ自体を人類に対する犯罪であると断じ、その被害がなお継続している現実を直視し、克服していくことを提起したのである。画期的な意義を有するこの宣言は、欧米諸国のみならず日本を含むすべての旧植民地国家に突きつけられている。
     韓国強制併合100年を迎える今、植民地主義を清算し、東アジアの平和な未来を構築することは日本と韓国・朝鮮、東アジアの市民の共通の課題であり、そのために手を携えて共同していくときである」

    ●8月10日の「日韓併合」100年「首相談話」の評価は?

    8月10日、菅首相は「日韓併合」100年の「首相談話」を発表した。
    この談話に関する「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」声明を韓国在住の岡田卓己氏からメールで受け取った。
     声明の一部(要約)を以下に紹介する。(翻訳:岡田氏)
     /直人日本総理が、10日韓日併合100年と関連した談話を発表した。一言で言えば、責任回避に過ぎない。
    ◆〆2鵑涼模辰亡泙泙譴覆韻譴个覆蕕覆こ某瓦蓮△泙気100年前の強制併合過程に対する「不法性」とこれを前提とした条約の「無効性」にあった。しかし談話では、韓国の人々の「その意に反して行われた植民地支配」を言及するなどの様々な言語的修辞にもかかわらず、結局、不法と無効を宣言することに達しなかったし、これは結局、韓日強制併合が合法的になされたことだということを、再度強調したことに他ならない。
     併せて、強制併合に対する不法性と条約の無効を認めないことにより、解放65年の間まだ解決されていない日本軍慰安婦問題など日帝過去事(史)問題に対する、根本的な解決の根拠を持つことができなくした。
    ぁ|模辰了点を、8月15日や、8月22日、8月29日を差し置いて、あえて8月15日以前に発表したことは、言語的修辞にもかかわらず、韓日強制併合に対する日本政府の責任とは一定の距離感を置くという意で、謝罪や反省のその真意を疑わせることとなっている。
    ァ〆2鵑涼模辰如▲汽魯螢麋鏗下毀簑蝓遺骨奉還問題、文化財返還問題などを一部言及したが、むしろこれは今回の談話がいかに中身がない談話なのかを、そのまま表わす結果にすぎない。

    一方、首相談話に対する日本のメディアの反応はどうか。11日の「毎日」社説は、「談話発表にあたっては民主党や自民党の一部から反対・慎重論が出た。戦後問題の再燃を懸念してのものだ。しかし、談話は補償問題につながるような記述は避けた。現実的な対応として理解できる」「今回の首相談話を、未来に向けた日韓関係構築お出発点にしたい」と評価している。
    「日本帝国」崩壊、南北分断と結びつける視点はなく、「ダーバン」宣言などは頭の片隅にもない。歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」というが、対話どころか最初から過去を切り捨てている。メディアに求められる見識が欠如している。
    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 15:36 | - | - | - | - |
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