市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

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TPPは地域経済、雇用、地域医療を破壊し、
被災地域の復興に逆行する
〜「毎日新聞」10月12日社説の愚かさ
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      文科省が10月6日に報道発表した東京都、神奈川県の航空機モニタリング(9/14〜18測定)結果によれば、放射性セシウム(134、137)の地表面への沈着量は、奥多摩の山岳部で3万〜10万Bq/屐憤貮瑤10万〜30万Bq/屐砲観測されています。

     10月1日のブログで、千葉県内でも柏、流山、我孫子、松戸市の一部が6万Bq/屐10万Bq/屬糧楼呂砲△蝓134(半減期2年)、137(半減期30年)それぞれの値も共に3万〜6万Bq/屬糧楼呂砲△襪海函3.7万Bq/岼幣紊楼貳命佑立ち入れないレベルであることを指摘しました。

     しかし、この驚くべき汚染状況について妊産婦や子どもたちの生命を守るための何らかの対策(奥多摩の山岳部への立ち入り制限、一時避難、除染など)が取られたなどということも耳にしません。
     野田政権、関係自治体は住民の生命、健康を守るということが一番の使命だということを認識していないようです。

    ● TPPは地域経済、雇用、地域医療を破壊し、被災地域の復興に逆行する

     一方で、政府、メディアは声高にTPP(環太平洋経済連携協定)を喧伝しはじめました。
     しかし、震災地域の復興とは被災地域における一次産業の復興、医療体制の強化、半世紀余りの国土開発計画の根本的見直し、を基本とすべきです。
    TPPについて、私は3月11日のブログなどで以下の点を指摘しています。

     ’清函地域経済、雇用の3つの破壊が進行する

    千葉県でも県の試算(右表参照)では農業産出額の3分の一、1380億円減少するとしています。そもそも、農産物の関税撤廃は世界のすう勢どころか、農産物輸出国であっても、平均関税率はEU20%、アルゼンチン33%、ブラジル35%などと高く、アメリカも乳製品や砂糖の輸入規制を続けていいます。日本はすでに平均12%まで関税を下げており、農業について「鎖国」どころか「世界で最も開かれた国」の一つです。
    TPP参加は、日本農業を破壊するだけでなく、疲弊している地域経済の破壊をすすめ、雇用破壊をすすめるものにほかなりません。

    ◆TPPは日本経済を救済しない

    日本はすでに米国、豪州、ニュージーランドを除く6カ国とはFTA(経済連携協力協定)を締結し関税の撤廃が進められておりTPP締結で輸出が増えるという効果は期待できません。
    また豪州、ニュージーランドの市場規模は大きくなく、結局、TPPとは日米自由貿易協定(FTA)の別名に他なりません。
     米国の非農産物の平均関税率は3.3%(電気・電子機器1.7%、乗用車2.5%など)と低く、日本の対米輸出に関税が大きな障害とはいえません。むしろ為替相場、米国経済動向などで日本の対米輸出は左右されてきました。

     千葉でも医師不足が深刻化し、地域医療が完全崩壊の危機に

    日本医師会は、昨年12月に行った定例記者会見で、TPPの参加で日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない面もあると懸念されるとし、TPPの検討にあたり国民皆保険を「自由化」にさらさないよう強く求めました。

    そして、TPPによる具体的な懸念事項として、以下の4点を挙げています。
    ・ 日本での混合医療の全面解禁による公的医療保険の給付範囲の縮小
    ・ 医療の事後チェック等による公的医療保険の安全性の低下
    ・ 株式会社の医療機関経営への参入を通じた患者の不利益の拡大
    (医療の質の低下、不採算部門からの撤退、公的医療保険の給付範囲の縮小、患者の選別、患者負担の増大)
    ・ 医師、看護師、患者の国際的な移動による医師不足・医師偏在に拍車がかかり、さらに地域医療が崩壊
      (「TPPに関するQ&A」農林中金総合研究所、2011年2月)

     互いの国の医師免許を認めること(クロスライセンス)で医師や医療関係職の国際移動が進めば優秀な人材は投資が集中する「特区」などに集約され、この医師の移動で一番ダメージを受けるのは赤字を抱える自治体病院です。

    すなわち、「TPPの実態は日本の市場を米国に差し出すだけのもの。自由貿易で輸出が増えるどころか、デフレの深刻化を招き、雇用の悪化など日本経済の根幹を揺るがしかねない危険性の方が大きい」(「TPP亡国論」中野剛志、集英社新書)ものです。

    ● 「毎日新聞」10月12日社説の愚かさ

    しかし、大手メディア、例えば10月12日の「毎日」社説「TPP〜首相の強い決断を」は、TPP推進の根拠を「農地の集約を進めれば、日本をコメの輸出国にすることができる」「TPPでコメの価格が低下するのは消費者、とりわけ低所得者もとって福音だ」「直接支払い制度をうまく組み立てれば、米価が下がってもコメ作りを継続できる」などとしています。

    前掲書で中野氏が主張する通り、デフレに陥っている日本経済において、安価な食料品、製品の輸入は、国産品の淘汰、人件費カット、雇用喪失、実質賃金の低下、内需縮小につながり、デフレをより深刻化させます。
    また、コメの輸出推進は中国を意識したものだと思いますが、EU(欧州連合)の債務危機拡大はEUを最大の輸出相手とする中国バブル経済の先行きを不透明なものにしています。放射能汚染の深刻化が危惧される現在、国民への安全な食糧供給、一次産業を柱にした震災地域の復興と「TPP推進」がどう整合性があるのか不思議です。

    ともかく、こうした大手メディアや民主党の前原誠司政調会長に代表される「ボクチャン政治屋」らのイロハもわきまえない「TPP推進」論理にあきれるばかりです。



    米国報告
     知人の家から歩いていける距離にある自然公園。草原は年に1回焼かれる。寄付者名を記した掲示板がありましたが、その中に「キッコーマン」の名前もありました。

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    Posted by : 川本幸立 | TPP | 09:37 | - | - | - | - |
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