市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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福島第一原発4号機燃料プールの残存耐震性の是非を判断するのに不可欠な4つのこと
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     大きな「余震」があるたびにビクビクさせられる福島4号機の原子炉建屋内部、燃料プールが26日、事故後初めて報道陣(代表4社の計4人)に公開されたそうです。「毎日新聞」27日朝刊は、「水素爆発によるがれきが散乱する中、使用済み核燃料プールは辛うじて水をたたえていた」「高い放射線、展望見えず」と報じています。
     放射線量は、報道によれば建屋1階内部で50マイクロシーベルト毎時、2階(燃料プールを支える階)で10倍の500マイクロシーベルト毎時、5階は330マイクロシーベルト毎時とあります。

     ちょうど1週間前の「プラント技術者の会」の勉強会で、私は「福島第一原発4号機使用済み燃料プールの耐震性について」というテーマで報告し、そこで、東電、政府・保安院が「4号機が問題ない」というなら少なくとも
     基準地震動を従前の600ガルではなく、最新の知見に基づいて見直した基準地震動で判断すること
     調査結果等で得られたすべての情報を開示すること
     H鏈匕紂蔽録漫津波、水素爆発)の残存耐震性の評価と根拠の詳細を提示すること
      とりわけ、損壊状況から、水素爆発時に各構造部位にかかったと推定される荷重を算定すること。
     評価基準値を終局許容限界値ではなく、弾性範囲内とすること。
    の4つが必要であることを指摘しました。

     以下に、勉強会の配布資料に少し加筆したものを紹介します。

    ●東電の「4号機原子炉建屋は傾いておらず、燃料プールを含め、地震で壊れることはない」とする「4つの根拠」(2012年4月26日付東電資料)を検討する

    【根拠1】「建屋は傾いていない」?
    仝胸厦ДΕД訖緻4点、使用済燃料プール水面4点と5階床面の立ち上がり天端を測定している。
    敷地内基準ポイントからのそれぞれの天端の高さを測定すべき。
    1直方向のみならず、水平方向の移動の有無をチェックすべき。
    →4階部分で発生したと考えられる水素爆発による4階床、5階床の状況が不明。
    鉛直、水平方向の各階のポイントを測定すること

    【根拠2】「同程度の地震(震度6強)が発生しても燃料プール、原子炉建屋が崩れないことを解析により確認している」?

    〆拠にしている「解析」とは、2011年5月28日の東電報告書に記されたものであり、現況の破損状況と残存耐震能力、今後予想される地震動、評価基準値などについての一定の「仮定」に基づく机上のシュミレーション結果である。
    原子炉建屋については、損傷状況を写真を基に推定したとある。また外観写真から判断できない部位については、建屋内の調査結果等の現状で得られている情報に基づいて、損傷の有無を判断したとある。
    これら「仮定」の妥当性についてその根拠となる情報をすべて開示されねばならない。
    また、損壊状況から地震動時の荷重、水素爆発時に各構造部位にかかったと推定される荷重を算定し、残存の耐震性を推定すること。
    600ガルで計算しているが、最新の知見に基づいて見直した基準地震動で判断すべき。
    ト鏈匕紂蔽録漫津波、水素爆発)の残存耐震性の評価の根拠の詳細を提示すべき。
    例えば、JNESは、残存している部材の最小厚さより薄い機器仮置きプールの壁・床を破損扱いにし、かつ温度上昇によるSFPの部材の耐力の低下を東電以上に考慮した結果、3階のEW方向の耐震壁の最大せん断ひずみは2.6×1/1000程度となっている。(東電は0.1〜0.2×1/1000程度)
    判断基準(評価基準値)を終局許容限界値とし、原子炉建屋で耐震壁のせん断ひずみ4×1/1000、燃料プールは5×1/1000としている。本来は弾性範囲とすべきである。
    電源を含めた冷却システムの耐震性、3階以上の破損構造部材(柱梁)の倒壊による損壊もあわせて検討すべき。

    【根拠3】「燃料プール底部を補強し、耐震余裕度を20%以上向上させた」?
    ’確船廖璽訃欧諒箒工事の詳細(鋼製支柱材、コンクリート壁厚・鉄筋量など)
    ⇒祥掬1.43→1.79とする工事を緊急に実施した理由は?東電報告書から読み取れない。
     
    【根拠4】「今後、年4回の定期的な点検を実施し、健全性を確認する」?
    “麈鵬検査の信頼性とバラツキの範囲は?
    ▲謄好肇圈璽垢虜亮茲鮗損椶垢戮
    コンクリート構造物の劣化(熱、放射線照射、中性化、塩分など)評価-


    ●福島第一原発4号機使用済み燃料プールの耐震性についての検討推移

    1.事故時の状況(2011年3月11日〜3月15日)
    「定期検査中で原子炉ウェル等にも水が張られており、プール水位が低下した際には、原子炉ウェルから水が流れ込んでいたものと推定されており、燃料の崩壊熱等を踏まえた評価結果によると、燃料の露出・損傷はなかったものと考えています。」
    (政府・東電中長期対策会議運営会議「福島第一原発4号機原子炉建屋の健全性について」平成24年5月)

    「4号機の使用済み燃料プールは津波による電源喪失で冷却できなくなり沸騰した。そのままなら空だきになるところだが、水素爆発の影響で隣接する別のプールから水が流れ込んだ。この偶然に救われなければ、裸同然の1535本の燃料が大量溶融しかねなかった。」
    (「毎日」2012年4月24日)

    「東電が昨年10〜11月、原子炉建屋内を調査したところ、5階床は上方向に盛り上がっているのに対し、4階床面は下向きに押し下げられていることから、昨年3月15日午前6時ごろに発生した水素爆発は4階部分で発生したと断定。」(「毎日」2012年5月27日)

    「原子力委員会の「最悪のシナリオ」では、4号機プールが引き金になって、首都圏3000万人の避難が現実化するとの内容だった。なぜ、溶融は回避されたのか。政府の事故調査・検証委員会は昨年末の中間報告書で、「原子炉ウェル」と言われる別のプールの水が使用済み核燃料プール内に流れ込み、空だきを免れたと指摘する。ウェルとプールは遮蔽版を隔てて隣接し、水素爆発の衝撃で遮蔽版が外れたとみられる。
    通常運転時、ウェルに水はない。4号機は定期検査のために水が張られており、昨年3月7日までに水を抜く計画だった。しかし単純ミスのために工期が延長。震災当日もウェルに水が残っていたことが功を奏した」
    (「毎日」同)

    2.2011年4月13日
    保安院が原子炉等規制法第67条第1項の規定に基づき、東電に対し
    〆8紊涼録免生を想定した耐震安全性評価の実施と、その結果の報告
    耐震補強工事等の対策の検討と、その結果の報告
    を求める。

    3.2011年5月28日
    東電が福島第一原発1号機及び4号機の原子炉建屋の現状の耐震安全性及び補強等に関する報告書を保安院に提出する。(3号機は7月13日、2、5,6号機は8月26日に提出)
    保安院が、提出された東電報告内容を確認した結果、検討結果が妥当であり、1、4号機は耐震安全性が確保(燃料プールを含む)されているとのニュースリリースを発表。(JNES評価結果を含む)→燃料プールの補強について、’確曾弦臑里全て保管、■魁腺騎の損傷状況を目視で確認できない状況、から支持性能強化対策は必要と判断。

    4.2011年7月30日
    東電が、使用済み燃料プール工事完了と発表

    5.2011年10月13日
    保安院が、東電報告書(1〜6号機)を評価した結果を公表する。

    6.2011年10月28日
    第3回建築物・構造に関する意見聴取会開催
    保安院が、第一原発原子炉建屋の耐震性に関するコメントに対して回答
    JNESが「3、4号機原子炉建屋の耐震安全性評価に係る検討の概要」を報告

    7.2011年12月21日
    東電が、1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップを発表

    8.2012年2月8日
    第8回建築物・構造に関する意見聴取会

    9.2012年4月26日
    東電が、4号機原子炉建屋が燃料プールを含め地震で壊れることはないことの「お知らせ」

    10.2012年5月
    政府・東電中長期対策会議運営会議が、「4号機原子炉建屋の健全性について」公表

    11. 2012年5月26日
    政府、東電が4号機原子炉建屋内部、燃料プールを事故後初めて報道陣(代表4社の4人)に公開

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     「5月20日新緑の奥多摩・棒ノ折山969メートル。昨年の膝の骨折後、初の山上り。上りはそれほどでもなかったのですが、下りは杖を片手に苦しいものでした。数日間は筋肉痛に悩まされましたが、今読書中の「究極のトレーニング」(石井直方著・講談社)によれば、筋繊維の科学的な研究成果から、山登り後の筋肉痛は山を登ったためではなく山を降りたために起こるのだそうです。また下り坂運動は糖尿病を予防する効果があるそうです。また私の持病である腰痛と大腰筋とは密接な関係があるようです。」



    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 15:11 | - | - | - | - |
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