市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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ハマコーの「業績」とアクアラインの実態〜ツケは県民(99%)へ、甘い汁は特権層(1%)へ
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      梅雨明け宣言直後の7月の一日を、館山で過ごしました。
     コンビニが目立つ他は人通りもなく閑散としたJR館山駅の周辺を昼食場所で探していると、旧県立安房博物館、県議時代に何度も取り上げた館山桟橋が目に入りました。ひなびた地元のうどん屋に入り、「駅前も閑散としていますが、景気はどうですか?」を聞くと、「若い人がまちにいない。桟橋ができようが何ができようが何もよくならない」という答えが返ってきました。
     そういえば建設費10数億円だったと思う桟橋建設による経済波及効果検討書を県が持っていましたが、竣工後の効果を検証すべきでしょう。そもそも高速道路(館山道路)にしろ、桟橋にしろ、地域振興にとっては一次的なものではありません。

     ところで、ハマコーこと浜田幸一氏が5日なくなりました。ハマコーの「業績」として「東京沿岸部の埋め立て時の漁業権の調整や、東京湾アクアライン建設など房総半島の開発に深くかかわった。その業績を支えた秘書や指導を受けた政治家が、今も県議や市長などとして県政界で幅広く活動しており・・・」などと報じられています。(「毎日新聞」8月6日朝刊、千葉版) 
     
     しかし、肝心の97年開通したアクアラインなどの「房総半島の開発」の実態がどういうものだったかについて触れてはいません。建設費1兆4千億円(当初約7000億円)のアクアラインは、供用時の計画は、償却期間40年で普通車通行料金4900円(開通5年間の特別料金4000円)で供用初年度25000台、20年後53000台でした。採算ベースでは、普通車3000円〜4000円で1日交通量7〜8万台といったところのようです。

     実績は2000年で日平均交通量11200台、2000年度の収支状況は収入が143億円に対し、道路管理費51億円、建設費返済金利423億円で、単年度赤字は約330億円と報じられました。
     一方、木更津や君津の地元への経済効果もなかったことは、私が統計データを基に県議時代に明らかにしてきました。

     また、公共事業実施可否の判断の基準となる費用便益費(B/C)について、2002年に安田八十五関東学院大学経済学部教授らは0.18とし、1を大きく下回ることからそもそもアクアラインが建設に値しないことを指摘しています。
    (「東京湾横断道路建設プロジェクトの社会的費用便益分析による評価」安田八十五・川村久幸、関東学院大学『経済系』第213集、2002年10月)

     現在、千葉県民が「社会実験」として数十億円を負担して普通車800円に値下げをしていますが、県民が負担するに値する根拠を統計データ(税収入など)を基に説明する責任が県には求められます。ところで、この社会実験では、片側2車線で渋滞を考慮すると1日4万5千台の通行量が上限であることが判明しています。アクアライン採算ベース1日交通量7〜8万台のデタラメさには呆れます。

    ●ハマコーと安田八十五氏(当時筑波大社会工学系助教授)との衆議院建設委員会での論争(1986年4月10日)から

     「アクアライン着工は時期尚早」と主張する安田氏とハマコーとのやりとりが、「追跡・湾岸開発」(朝日新聞社千葉支局、1987年)に紹介されています。その一部を抜粋します。

    安田助教授:「先ほど(横断道路の一日の通行需要が)3万台のお話がありましたが、九州と本州を結ぶ関門橋で現在1万6千台という需要、動脈でですね。ですから、そこを考えますと、やはり私はちょっと過剰予測じゃないかというふうに考えております」
      「57年価格(横断道路の通行料金が)3千円ということは往復で6千円になります。そうすると、もしその地域で住宅地を開発して京浜地域に勤務するという場合にはそれに見合った大量、低価格の公共交通機関が必要になってくる。現時点では無理であろうと理解しております」
    浜田氏:「現状の段階からいって、できあがる十年後の3千円というのは私は高いとは思えないのですけど。(中略) あなたの論文全体を、ご意見全体をうかがって感じていることは、人間に夢を与えるということ、例えば過疎地に生きている人間に対して夢を与えるという政治決断が無謀であると言っているように聞こえてならない。」

     浜田氏は公共事業推進複合体=JAPICにとっての「夢」を地域住民の「夢」にすり替えています。
     1986年12月1日に出された第4次全国総合開発計画の中間報告では、「東京重視で東京湾開発についても民活を図る」とされ、そのプロジェクトの中に、幕張新都心、上総アカデミアパーク、なども含まれました。四半世紀が経過し、アクアラインのみならずこれらのプロジェクトが県財政などにとって大きなツケとなっています。
     しかし、これらプロジェクトによる地域波及効果の実態について県や市は数多くの統計データが存在するにもかかわらず事後評価を怠っています。そして未だ、浜田氏と同じレベルの人たちによって県議会が牛耳られているのが実態です。

    Posted by : 川本幸立 | 公共事業 | 20:54 | - | - | - | - |
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