市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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尖閣「国有化」問題にみられる政府・政治屋・メディアらの深刻な課題
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      日本政府による尖閣諸島の国有化で日中関係が深刻化しています。 
    この問題で政府や政治屋、メディア、外務省官僚らの対応で私が驚いたことは次のことです。

    1.領土主権、歴史問題が絡む故に当然予想された中国側の反発に対して、日本政府は何か有効な対応策があるのだろうと思いきや、何も考えていなかったこと。そもそも、一つ間違えば武力紛争につながる領土問題を経済政策などを含めた国家戦略の中で、どう位置付けるかという深い分析が存在するようには見えない。

    (私は、経済関係を犠牲にしたり、在留日本人を危険にさらしてまで、この時期に「国有化」する意図がわからない。強いて挙げれば、日中関係を緊張させることによって、利益を享受する勢力がいるということだろう。
    火付け役の石原慎太郎の「都が購入」発言は、米国のヘリテージ財団に招かれた講演で出たものだ。1973年設立のヘリテージ財団は、レーガンのタカ派政策や、ブッシュの「対テロ戦争」の理論化の中で、.潺汽ぅ詼姫劼凌篆福↓国防費の拡大と削減反対、イラン攻撃実施、っ羚颪龍式劼紡个垢觀找と軍事力による対抗、などを提言してきた。日本でも民主・自民の防衛族議員が集まる「安全保障議員協議会」などと共催で「日米安全保障戦略会議」を開催するなど、防衛費に群がる利権構造と密接な関係がある。(「「尖閣火付け役」の背後にいる米国の反中派」「週刊金曜日」2012.8.31)
     自民・民主の防衛族や石原慎太郎ら「愛国心」を唱える日本の「右派」勢力は、こうした米国内で利権確保のため中国との対決を望む軍産複合体の掌で踊っているようだ。「右派」勢力こそ、日本国憲法・前文に定める「政治道徳の法則」に反する「売国民」勢力と言えるのではないか!)

    2.中国側の主張である、
    72年の国交正常化時、78年の平和友好条約締結時の「棚上げ」合意に反する、
    日清戦争末期にかすめとった、
    カイロ宣言、ポツダム宣言などの国際法に基づき台湾とともに中国に戻った。日本政府の行為は第二次世界大戦以降の世界秩序に対する挑戦であり、反ファシズムの戦争の成果を否定しようとしている、
    ぅ汽鵐侫薀鵐轡好格刃他鯡鵑錬欧弔寮觚世般世蕕に矛盾する
    に関する報道が少なく、またこれらに対する自らの詳細な見解も示されない。ただ「固有の領土」論に終始し、中国側の動機を「地下資源や国内秩序(=ナショナリズムを煽る)、軍の台頭」などとしかとらえていない。

    3.日本国憲法(とりわけ、前文の「政治道徳の法則」)などは頭の片隅にもなく、ひたすら「国家的な使命」を自らリードする姿勢が露骨である。その背景にみられるのが「日米同盟」に依存し、とりわけ東アジア外交政策を放棄した姿勢である。この姿勢は同じ敗戦国でポツダム合意で領土を奪われたドイツの「新しいドイツ人は断固たるヨーロッパ人たるべきである。そうすることによってのみ、ドイツは世界に平和を保障される」(「アデナウアー回顧録」)の対極にあるように思える。

    (「ジャーナリズムの役割は本来、世の中に起きている森羅万象を的確に把握し、それをチェックして、国民が冷静な判断を下すための材料を提供することになる。しかし、戦争を迎える時代のメディアの在りようを見ると、メディアの変節は国家の変節に直結するということがよくわかる」(「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)」NHK取材班)と指摘された過去の中国侵略戦争時にメディア自身の統制によって、「世論」の熱狂を作り上げた状況と似通っている)


     さて、今月の18日は、1931年の旧日本軍の関東軍による中国侵略の本格化(=「満州事変」)から81年となりました。
    近現代日本史が専門の成田龍一氏は「満州事変以降、アジア太平洋戦争への道を引き返すことは不可能だったと考える。事変拡大の要因として、新聞メディアがこれをあおったという指摘がなされる。その通りであるが、もう一つかぎになったのは一般の人々の動向だ。不況が長引いて出口が見えずに、鬱屈感がまん延していた。その打開策として『満州』進出を待望していた。新聞は読者のそうした志向に応じた側面もあった」と述べています。(「毎日新聞」9月16日朝刊)

     このアジア太平洋戦争で日本が連合国側に正式に降伏したのは重光外相、梅津参謀総長が東京湾のミズーリ艦上で降伏文書に署名した1945年9月2日です。私たちは8月15日を「終戦記念日」と教え込まれた関係からか、昭和天皇のラジオ放送は知っていても、「ポツダム宣言の条項を誠実に履行する」という無条件降伏文書の中の「ポツダム宣言」の中身をほとんど知りません。
     
     尖閣諸島の領有権や漁船問題を考える場合、中国側主張の真偽を考える上でも、
        ポツダム宣言における規定はどうなっているのか?
        棚上げ合意は存在するのか?
        漁業協定の内容はどうか?
        サンフランシスコ平和条約とポツダム宣言、カイロ宣言に矛盾は存在するか?
        日中双方の「固有の領土論」はどちらが正しいのか?
        領土問題で「固有の領土」と国際法はどちらが優先するか?
        日米同盟に依存して未来はあるか?
        尖閣諸島周辺に本当に莫大な地下資源があるのか?
        21世紀、「領土問題」は無条件にすべてに優先する課題か?
    など、一人一人が主権者市民として考えてみる必要があるでしょう。

    今後、このブログなどを通じて私の見解を発表していきたいと思います。

    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 17:21 | - | - | - | - |
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