市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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「脱・米従属」、そして東アジア共同体へ
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     ●日本の航空法に照らせば飛行禁止のオスプレイ

     7月に岩国に陸揚げされた12機の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、6日沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に配備されました。沖縄県民は10万余の県民大会を開き、県内の全自治体の議会が「配備反対」の決議をあげ、普天間飛行場の4つのゲートを封鎖するはじめての非暴力直接行動が行われました。普天間飛行場をはじめとする米軍基地閉鎖要求へと沖縄県民の闘いは新たな段階に入りつつあります。(「週刊金曜日」2012.10.5)

    今朝の「毎日新聞」は、オスプレイ配備完了を「運用ルール機能不全」「沖縄、違反と反発」「米次第 政府手詰まり」「ごう音 保育園にも」の見出しで報じています。

    9月の日米両政府合意の運用ルールでは、原則、地上500フィート(約150m)以上で飛行すること、ヘリモードでの飛行は米軍施設・区域内に限るなどとありますが、この不十分なルールですら最初から絵に描いた餅にすぎなかったようです。

     離着陸時はヘリモードで、上空で12秒かけて飛行モードに移行するオスプレイの構造上の欠陥として、オートローテーション機能(すべてのヘリコプターについている機能で、ヘリコプターが飛行中にエンジンが停止しても、機体が降下するときの空気の流れから揚力を得て安全に着陸する機能のこと)の欠如 、揚力不足などが指摘されています。
     ヘリモードから飛行モードに移行する12秒の間に高度は1600フィート(487m)下がることからヘリモードで1600フィート以下の高度で飛行しているオスプレイが全パワーを喪失した場合は大惨事を引き起こします。(「オスプレイ普天間配備の危険性」リムピース+非核市民宣言運動・ヨコスカ)

     「しんぶん赤旗」(6月24日)では、「日本の航空法では、『回転翼航空機は、全発動機が不作動である状態で、自動回転飛行により安全に進入し着陸することができるものでなければならない』と規定(同法施行規則付属書第1)。この基準に当てはまらない航空機は『耐空証明』(飛行の安全証明)を受けられないため『航空の用に供してはならない』とされています(第11条)。自動回転によって安全に着陸できないオスプレイのような回転翼機は飛行を禁止されるということです。
     ところが、日米安保条約に基づき米軍特権を保障している日米地位協定の下で、航空法の特例法によって米軍機は航空法第11条の適用を除外されています。このためオスプレイは自動回転能力が欠けているのに飛行が禁止されません。」と指摘しています。

    ●米軍の治外法権を認めた日米行政協定、日米地位協定、岡崎・ラスク交換公文


     「日米同盟」について、守屋武昌元防衛事務次官は、「『同盟関係』と言うが、実際は米国が重要な案件を『一方的に決めているだけ』」と話したといいます。
    孫崎享氏は「戦後史の正体」(創元社)で、日米行政協定第二条、現在の「日米地位協定」第二条、「岡崎・ラスク交換公文」で、「米軍が治外法権をもち、日本国内で基地を自由使用する」ことが保障されていると指摘しています。

    ●米は日米同盟で日本防衛の義務を負っているのか?
    国民を生命の危険にさらしてまでのメリットが日米同盟にあるのか?


    では、国民の生命を危険にさらし米軍に治外法権をみとめ好き放題ふるまわれても「日米同盟」は日本国民にとってメリットがあるのでしょうか?
    建築家で沖縄平和市民連絡会運営委員の真喜志好一氏は、尖閣防衛や抑止力は単なる方便に過ぎず、米軍は日本を守るものではないとし、戦争をする場合、ミサイル攻撃、空爆のあとにオスプレイを使用する海兵隊が戦場に入ることになるため、海兵隊は米本土にいても一向に差支えない、沖縄に米軍・海兵隊がいる理由は日本政府の「思いやり予算」(2012年度約1800億円)があるからにほかならない、と指摘します。
    (「週刊金曜日」2012.10.5)

    ところで、米政府が「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用範囲である」ことを認めたとして、日本が武力攻撃を受けた場合、米も介入するかのような議論があります。
    孫崎享氏の指摘に従い整理してみましょう。

    「日米安保条約第5条
     1 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
    2 前記の武力攻撃及びその結果として執った全ての措置は、国際連合憲章第51条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。」

    第5条は、米国は「自国の憲法上の規定に従って行動する」と書いており、武力攻撃に対して軍事介入するには連邦議会の承認がもとめられます。つまり「第5条の対象であること」が直ちに「武力行使を受けた場合、軍事介入すること」にはなりません。

    一方、2005年10月にライス国務長官・ラムズフェルド国防長官と町村外務大臣・大野防衛庁長官の間で交わされた「日米同盟 未来のための変革と再編」では、「日本は、弾道ミサイル攻撃やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島嶼部への侵略といった、新たな脅威や多様な事態への対処を含めて、自らを防衛し、周辺事態に対応する。」とあり、尖閣のような島嶼部への対応は日本が自ら防衛するものとあります。そして、日本が防衛できず中国が管轄した場合、第5条1項の「日本国の施政の下」から外れることから第5条の対象外となります。

    以上を総合すると、
        「日米同盟」で米国は法的に日本の防衛義務を負ってはいない。あくまでも「自国の憲法の規定に従って行動する」と規定されているに過ぎない。
        また尖閣のような島嶼部の防衛は日本が独自に防衛することとされている。
        日本の施政の下にない竹島や北方領土は最初から安保条約第5条の対象から外れている。
    ということになります。

    国民の生命を危険にさらしてまで守るほどのメリットを日米同盟に見出し得ません。米の「核の傘」については別の機会に考えたいと思います。

    ●東アジア共同体を目指す

    対米従属を対等な日米関係に改める動きとともに、長期的な視点で目指すべきは東アジア共同体です。
     10月3日の「毎日新聞」朝刊「記者の目」のブリュッセル支局の斉藤義彦氏の「欧州から見た領土問題 日中韓は共同体作り目指せ」に共感しました。
    「遠く欧州連合(EU)の本拠地ブリュッセルから見ると、日中韓の対立は歯がゆく思える。EUは互いに殺し合ってきた歴史を越え、債務危機を機に統合を深めている。100年かかってもいい。日中韓は共同体をめざすべきだ。それ以外、安定し繁栄した東アジアの将来はない」
    「欧州で債務危機があっても無責任な論者が主張するような『EU/ユーロの崩壊』が起こらないのは、統合がどれほど平和と繁栄に貢献するか、欧州の政治家が深く認識しているからだ」
    「日本では総選挙が近づき、対中・対韓強硬派が勢いを増している。だが強硬派に長期展望はあるのか。対症療法でなく、100年先の日中韓の平和と安定を語る政治家に私なら投票する」

     それにしても野田、安倍、石原、橋下らが跋扈するようではどうにもなりません。もっとも彼らが悪いというよりは、こういう人物をかつぐ有権者が多くいることが一番の課題です。

    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 20:01 | - | - | - | - |
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