市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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安倍自民政権の物価上昇率2%目標政策の愚かさ〜年金受給者、サラリーマン、中小企業者を犠牲にして、多国籍企業やそれに連なる1%の富裕層に富を集中させる政策にノーを!
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     「安倍晋三氏の誤りは二つ、経済のインフレ政策と日本至上主義の国家観にある。どちらも日本をつぶす、戦争への道を歩んでいると思う」(藤井裕久元蔵相・財務相、「毎日新聞」12月23日朝刊)という指摘に同感です。

     第二次安倍内閣が発足した翌朝27日の「毎日新聞」朝刊のトップの見出しは、「経済重視で再挑戦」でした。新政権はデフレ脱却と経済再生に最優先で取り組み、来夏の参院選で勝利して本格政権を目指す構えだと報じられています。

     具体的には現在ほぼ0%で推移している物価上昇率を短期間に2%高めることを目標に金融緩和を進める政策協定(アコード)を日銀と結び、日銀が資金を大量に供給し、政府も大規模公共事業推進策をとることで、円相場を190円程度に押し下げ、企業業績や株価上昇で景気を回復させ物価が下がり続けるデフレを止めるというものです。
     その場合、民主党政権が国際公約していた新規国債発行額の上限44兆円を超えて、日銀は「国債価格の暴落」の危険を承知で国債を購入しなければなりません。
    「日銀が資金を大量に供給→金融機関が低利で貸出増加→消費・投機の活発化で賃金・物価上昇→デフレ脱却」という筋書きです。

     しかし、はたしてうまくいくのでしょうか?
     今の国内経済不況の主な要因の一つは藤井氏が指摘する通り需給の不均衡です。GDPの6割を占める個人消費が、団塊の世代の定年退職、少子高齢化・労働人口減、所得減による消費行動の不活発化によるものです。
    一方、大企業の内部留保は2002年190兆円が2008年280兆円と5割近く増えていますが、会社員の平均給与は減少しています。企業が業績を上げても賃金に跳ね返らない現状が無視されています。物価が上昇しても賃金が上がらなければますます、消費行動は不活発となります。定年退職者の年金、貯蓄も目減りすることになります。
     2%の物価上昇が家計に与える影響は少なくとも消費税率3%引き上げに上昇するという試算もあります。(「毎日新聞」26日朝刊『記者の目』〜賃上げなきインフレは生活直撃)
     消費税増税の場合の「消費増税→中小企業経営悪化、格差・貧困の深刻化→生活レベルダウン→景気悪化→財政出動→財政悪化→消費増税→・・・」という悪循環が、ここでも繰り返されることになります。

     本来、経済再生のためにはまず2つの政策が求められます。
    一つは、個人消費を活発化すること、つまり、生活し結婚して子どもを産み安心して子育てできる雇用の場と収入の保障、保育所など社会の仕組みを整備することです。長期的に、経済再生の根本問題の一つである人口減少社会からの脱却を見据えたものであるべきです。
    二つ目は、そのためには、99%の人々から生活費までも吸い上げ、多国籍企業やそれに連なる1%の富裕層に富を集中させていく2つの仕組み(「規制緩和」と「累進課税緩和」)の根本的見直しが不可欠です。
     
     安倍のインフレ誘導と公共事業ばら撒き策の期待先行で、27日の東京株式市場は今年最高値を更新し、外国為替市場の円相場も円安が進み1法85円台後半と約2年3か月ぶりの円安水準になり、「輸出企業に追い風」となったそうです。12年度の想定為替レートを1法79円とするトヨタ自動車の場合、円相場が想定より1円安くなれば年間の営業利益が約350億円増えることになるそうです。(「毎日新聞」27日朝刊)

     これらを総合して考えると、物価上昇率2%目標政策そのものが、99%の人々から生活費までも吸い上げ、多国籍企業やそれに連なる1%の富裕層に富を集中させていくものであることに気づきます。

     前掲の「記者の目」で清水憲司記者は、物価目標が一握りの理論家たちによって決められ、国民が打撃を受けるのを避けるために、政治とも日銀とも一線を画した「第三者機関」(実体経済や生活実感に通じた学者、企業人、一般市民で構成)の設置を提案し、人々の生活に立脚した金融・経済政策の運営の仕組み作りこそ「日本経済再生の第一歩」にしてほしいとしています。同感です。

    Posted by : 川本幸立 | 国政 | 20:51 | - | - | - | - |
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