市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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安倍首相の日本軍「慰安婦」(=性奴隷)問題「二枚舌」発言で、世界から孤立しかねない日本
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     前回のブログでは、「オリンピズムの根本原則」に照らして、安倍政権、東京都、JOCにはオリンピックを招致する資格もないし支持されるハズもないことを指摘しました。
     
     その後も、日本・東京が招致に値しないことを示す事実が明らかになり政治状況が進行するなどしています。
    一つは、猪瀬都知事が「体罰権を奪われた教師はピストルを持たないお巡りさんと同じですよ」と明言するなどの暴力容認主義者であること、
    二つ目は、安倍首相が、昨年から性懲りもなく「慰安婦の強制動員はなかった」「河野談話の誤解を解くべく新たな談話を出す必要がある」などと、「河野談話」(従軍「慰安婦」に対する軍の関与を認めて謝罪した1993年の談話)の見直しを言明していることについて、2007年に「強制性否定」発言を繰り返した時と同様、安倍首相の人権感覚、人間としての資質に重大な疑義を持たれ、日本が国際社会から孤立しかねない状況になりつつあること、です。(週刊金曜日第931号、2月15日号)

     本当に招致したいと思うなら、首相と都知事のクビを挿げ替え、過去の侵略戦争の未解決の課題に対して真摯な姿勢を示し、とりわけ東アジアの平和と非核のために先頭に立つことを表明することです。それができないなら直ちに招致活動を中止し、百億円単位の税金をドブに捨てることをやめさせねばなりません。

    ●政権を放り出した2007年と同じ状況?!

     ところで、安倍首相は「集団的自衛権行使を認める必要がある。米国の船が襲われ日本の船が助けなければその瞬間に日米同盟は終わりだ」などと話し、米政権への従属を主張してきました。
     しかし、「慰安婦」問題をめぐる安倍の発言により、「民主主義・人権という共通の価値観を持たない国、女性の人権を踏みにじるような国を助ける必要はない」と米世論が考えたら、米政権は有事でも日本を助けないだろうと指摘されています。(前掲書)
     安倍政権は、唯一頼りとしている米政権からも見捨てられる可能性があります。

     吉見義明氏は、軍「慰安婦」問題とは、―性に対する性暴力と、他民族差別と、I呂靴い發里紡个垢觝絞未重なって起きた問題だ、と指摘しています。
    (「日本軍「慰安婦」制度とは何か」、岩波ブックレット)
    昨年7月、ソウルでクリントン国務長官(当時)は「慰安婦」という呼び方は誤っており、「日本軍によって売春を強要されたのだから『性奴隷』と正しく呼ぶべきだ」と発言したそうです。

     2007年1月、米下院で「従軍慰安婦反対決議案」(日本軍が女性たちを「性奴隷制」に強制した事実を明白に承認し、謝罪することを日本政府に勧告する決議)採択の動きが起こったことに対し、同年3月1日、安倍が「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実」と語ったことで、翌2日の「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」が一斉に「安倍首相が従軍慰安婦を否定した」と報じたことから、世界中のメディアが注目し、米下院の大勢が採択にまわりました。上杉隆は「官邸崩壊〜安倍政権迷走の一年」(新潮社)で、米国政府は安倍発言の問題性を、それまでの「歴史認識」ではなく、「人権感覚」にあるのではと改め、安倍政権への姿勢を変更した、としています。

     2007年の経験に懲りない「二枚舌」の安倍に対し、今年になって「ニューヨーク・タイムス」社説は「安倍氏のこうした恥ずべき衝動は、北朝鮮の核兵器計画のような問題に対する周辺地域での協力を脅かしかねない」、「ワシントン・ポスト」社説も「こんな過去を否定するような態度は、手痛いしっぺ返しを招くだろう」とし、「エコノミスト」、「シュピーゲル」、「ロサンゼルス・タイムス」などの有力メディアも批判を展開しているようです。

     どうも安倍が前回政権を放り出した2007年と似た状況になりつつあるようです。
     
    【参考】「朝鮮における日本の植民地支配、いわゆる「慰安婦」問題についての位置づけ」抜粋(2011年、政務調査活動の監査請求に対する川本作成文書から)

    1.政府の姿勢
    日本政府は、宮沢首相(1992年1月)、河野官房長官談話(93年8月)、村山首相談話(95年8月)、橋本首相(96年6月)、小渕首相と金大中大統領の日韓共同宣言(98年10月)などにより、日本の植民地支配と侵略により多大な損害と苦痛を与えた事実を認めている。

     「慰安婦」問題については、宮沢首相が謝罪し、93年の河野談話(政府の公式見解)は、調査の結果として、「慰安婦」の存在を認め、心からお詫びと反省し、「このような歴史の真実を回避することなく、むしろ歴史の教訓として直視し、歴史研究、歴史教育を通じて、永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」とした。

     しかし、政府は1965年の日韓基本条約で解決済とし、「政府として賠償はできない」としている。
     一方、安倍元首相らは、「河野談話」を否定し、「謝罪」は不要で「慰安婦」の存在も否定した。
     そして学校の教科書から、植民地支配、「慰安婦」の記述が削除され、一部の教科書においては、日本の過去の侵略戦争を美化する記述となっている。
     
    このように、とりわけ「慰安婦」問題については、誠意ある謝罪と賠償がなされていないのが現状である。

    2.国際社会の姿勢
     国連を含む国際社会は、「慰安婦」問題を重大な人権問題と位置づけ、謝罪、賠償、教育の徹底を求めている。

     国連報告(1993年)、アメリカ下院決議(2007年)、カナダ下院決議(2007年)、オランダ下院決議(2007年)、欧州議会(2007年)、オーストラリア上院決議(2007年)などである。

     2008年、国連・自由権規約委員会は、日本政府に立法等の措置によって、「慰安婦」被害者への公式謝罪、生存被害者への国家による補償、責任者処罰、教科書への記載、被害者を傷つける発言への適切な対応などを求める最終見解を公表した。
     
     このように「慰安婦」問題は、重大な人権問題として早急に解決すべき問題と位置付けられている。

    3.国内の動き

     地方自治法第99条で、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と規定している。

     この規定に基づき、2008年より、各地の地方議会で日本政府に「慰安婦」問題の公式の謝罪と国家賠償をもとめる決議や意見書が採択されている。
     千葉県においても船橋市議会で採択されている。

    4.県行政とのかかわり
     
     「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の第5条では、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」と、人権教育及び人権啓発に問題に関する地方公共団体の責務を明記している。

     一方、千葉県は、人権に関する総合的・計画的な取組を推進するための「千葉県人権施策基本指針」に基づき、県民、企業、関係団体など社会の構成員すべての参画と協働により、すべての人の人権が尊重される社会を実現できるよう、全庁をあげて取り組むとしている。
     国際化が進行し東アジア諸国との交流が活発化する中、「指針」の「国際理解の促進と共生思想の啓発推進」「学校教育における国際理解教育の推進」は不可欠である。

     「慰安婦」問題、その背景にある植民地支配の問題は、県政とは人権問題(教育・啓発を含む)として大きな関わりがあり、今回の視察の目的の一つは県政の人権施策推進にかかる調査研究活動である。

    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 21:18 | - | - | - | - |
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