市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

<< 県知事選と「二分三行」 | main | 長崎市中心部・人口密集地にBSL-4施設の設置を目指す長崎大学 〜まず、現状のP2及びP3施設 の危険性がない詳細な証拠を提示すべき >>
核発電所「新安全基準骨子案」にパブリック・コメントを提出しました
0
     「戦後レジーム=対米従属」に忠実な「アベコベ男=安倍晋三」がTPP参加、普天間早期移設とともに原発ゼロ見直しもオバマに誓ったそうです。沖縄県民や国民の合意もないのに平気で約束してくるアベコベ男の「売国民」「反立憲主義」ぶりを大手メディアは逆に持ち上げています。
     さて、2月28日が締め切りの核発電所の「新安全基準骨子案」について私個人のパブリック・コメントを原子力規制委員会あて提出しましたので以下に紹介させていただきます。

    ●「新安全基準骨子案」へのパブリック・コメント(2月27日提出・川本 幸立)                     

    1.    基準策定の前提、要件、全般

    (1)未だ福島事故の全貌と原因は解明されてはおらず安全基準策定は時期尚早である
    未だ福島事故の全貌と原因は解明されておらず、廃炉と除染への道筋は不透明である。つまり基準を検討する際の前提条件が出そろってはいない。時期尚早である。

    (2)科学の限界を認め、主権者参画の「総合的な政策決定」の場で設置、稼働が判断されるべきである。
    基準は「稼働」を前提とするものである。「概要」に示された「検討のステップ」を見る限り、接地、稼働の是非を判断するための「総合的な政策決定」への主権者参画の視点がまったくないように見える。本骨子案は研究途上にある「科学性」の面からの基準に過ぎず、しかも「総合的な政策決定」する際に必要な要素の一つに過ぎない。
    持続可能性、生物多様性の尊重、未来世代への責任など倫理的側面、科学の限界性などを含めた「総合的政策決定」の場とそれへの主権者参画という「ステップ」が設けられねばならない。

    (3)立憲主義〜「人格権の尊重」〜を基本とする
    前項の「総合的な政策決定」する際の根本は、たかが電気をつくるために近代の人権宣言及びその成果を反映した日本国憲法が基本的人権の筆頭に位置付ける人格権(人間の生命、自由、幸福追求の権利)を犠牲にすることは許されない、生命を危険にさらしてまで原発を稼働する価値はない、という「立憲主義」に基づくものであるべきだ。
    国会議員、公務員は憲法99条により日本国憲法を尊重し遵守する義務を負っていることを忘れてはならない。

    (4)テロ対策で強権的な監視社会を前提とする原発の存在そのものが憲法違反である
    テロ対策で優先されるのは、統治、秩序であり、情報の遮断・コントロールが人権よりも優先されることになる。そこでは衆人環視の対極にある統治機関による強権的な監視社会が出現することとなる。この点でも原発の存在・稼働は「憲法違反」である。

    (5)情報隠ぺい、協議説明の電力事業者に安全管理を一任する仕組みを見直す
    電力事業者に安全管理(情報も含む)、コスト管理を実質的に一任する仕組みのままである。
    また、原発稼働を経済性を根拠に主張するのであれば(そもそも、生命と経済的効率性をはかりにかけること自体が許されるべきではない)、少なくともシビアアクシデント時の民間保険による全面的な損害賠償が可能であること、が示されねばならない。
    東電による国会事故調への虚偽説明、情報隠ぺいがまかり通る一方、被害補償、事故対応は税金のおねだりと電気料金の上乗せで賄える無責任な仕組みを見直す必要がある。それができなければ、国有化しかない。

    (6)基準によるコスト増の公表と他エネルギーとの比較を示し、パブリックコメントの実施を
    基準に基づく新たな対策(改修工事費、管理費など)によるコスト増(イニシャル、ランニングコスト、廃棄処分コストを含むライフサイクルコスト)を試算し、原子力以外の他のエネルギーを利用した場合と比較し、その上でパブリックコメントを実施すべきである。この点でも時期尚早である。

    (7)施設から排気、排水などで放出された放射性物質の安全管理、処理、回収の責任は事業者にあることを法律で定める

    2.新安全基準(設計基準)骨子案

    (1)「安全基準」ではなく「最低の規制基準」とし、自治体は上乗せ規制を可能とすること
    基準は安全を確実に保証するものではなく、その一部に過ぎない。
    ・そこでまず、名称を、「安全基準」ではなく、「規制基準」とすること。
    ・さらに、「最低の規制基準」であることを明記すること。
    ・そして付加的な規制は関係自治体で定めることができるものとすること。
    *これは、「シビアアクシデント対策」、「地震・津波」と共通である。

    (2)航空機落下について衝突した場合の被害及び放射性物質の放出量などの評価を実施すること
    航空機落下については、離隔による防護とともに、確率がゼロでない以上、落下確率に関わらず、衝突した場合の被害及び放射性物質の放出量などの評価を実施すること。
     
    (3)火災対策としてケーブル材料は不燃性、難燃性とすること。
     安全上重要な部分には可燃性ケーブルを使用しないという75年の規制に合致しない原発が全国に10基超あり、ケーブル延長数百/基に及ぶと指摘されている。可燃ケーブルの使用実態を明らかにし、不燃性、難燃性に取り換えること。津波対策を先送りしたことによる福島事故の教訓を活かし、猶予期間を設けず、取り換え完了を稼働の条件の一つとする。

    (4)関係官庁や事業者の裁量にゆだねるようなあいまいな言葉が多用されている。
    具体的な定義、要件や定量的な規定により、裁量的判断が入り込む余地を排除すること。
    以下に一例を示す。
    ・「過度の」(4頁)
    ・「適切な措置」(15頁)
    ・「十分に高い信頼性」「多重性又は多様性及び独立性を備えた設計」(16頁)・
    ・「試験可能性を備えた」(17頁)
    ・「脆性的挙動を示さず、かつ、急激な伝搬型伝搬を生じない設計」(25頁)
    ・「小規模の漏えい」「得t季節な流量」(27頁)
    ・「十分小さな量」(29頁)
    ・「十分な範囲及び機関」(37頁)
    ・「安全な状態に落ち着く設計」(38頁)
    ・「適切な場所」(40頁)

    (5)仮設照明(可搬式)対応を認めるべきではない。
     「仮設照明の準備に時間的猶予がある場合」とあるが、生じた緊急事態によって異なるものであり、はじめから可搬式を前提として対応できるものではないと思われる。

    (6)汚染排水への処理など対応の記述がない。

    3.新安全基準(シビアアクシデント対策)骨子案

    (1)「はじめに」で、5、10,11を原子炉設置許可(再稼働許可)段階における基準とすること
    5(安全裕度向上による対応)、10(設計基準を超える外部事象に対する影響評価を含めた総合的なリスク評価)、11(最新知見の反映と継続的改善)は設置許可、再稼働に際して不可欠な事項である。

    (2)新たな対策実施の時間的猶予は認めず、地域の防災対策完備後を原発稼働の必要条件の一つとする。
     ・原発再稼働は少なくとも新たな対策がすべて完備されるまで稼働は認めない。時間的猶予は認めないこと。
     ・地域の防災対策は地域の住民参画で策定し、防災対策完備後の稼働を前提とすること。

    (3)人為的ミス・過誤、劣化による事故を評価する
    チェルノブイリ、スリーマイルの事故の要因は、地震などの天災によるものではない。人為的過誤、ミス、設備、材料の劣化やシステムや機器故障・事故への対応を考慮しなければならない。

    (4)テロによる原子炉施設への直接の被害を評価する    
     意図的な航空機衝突やミサイル攻撃を受けた場合の被害及び放射性物質の放出量などの評価を行うこと。
     また、当然、「特定安全施設」も攻撃の対象、被害の可能性があり、特定安全施設が同時に被害を受けた時の対応策はどうするのか、検討すべきである。 

    (5)戦争による被害を除外する根拠が示されていない。
     テロ対策を考慮しながら、戦争による被害を除外する根拠が示されていない。
    あらゆる危険可能性を明示しなければならない。
     戦争勃発すれば原発が攻撃され甚大な被害が発生する可能性があることが明記されてしかるべきだ。

    (6)隕石落下による事故を評価すること、
    直径100mクラスの隕石の落下により大都市が消滅するほどの被害があると言われるが、落下の頻度は数百年に一度という。観測体制が強化されたとはいえ、この天体衝突の危機は深刻な問題であり膨大な被害をもたらすもので、いつ起きてもおかしくないと指摘されている。

    (7)注水、放水などに伴う放射性物質を含んだ具体的な排水処理対策(地下水や海水汚染防止策)を明記すること。また立地箇所の地下水の詳細な実態を調査し把握すること。

    (8)放射性物質の放出量などを福島第一原発事故と同等(33頁)とあるが、福島事故ではなく、考えられる最悪の事態を想定すべきである。何を以て福島事故と同等としたのか、その根拠を示すべきである。

    (9)計装設備(35頁)で「プラントの必要情報を推定できる設備、手順等を整備する」とあるが、「推定」ではシビアアクシデント時にお手上げ状態となる。

    (10)排水、地下水のモニタリング設備の規定がない(36頁)


    4.新安全基準(地震・津波)骨子案

    (1)既存の原子炉施設本体に根本的に手を加えることが必要となる基準は、最初から除外されているように見える。福島第一原発が地震によりシビアアクシデントに至った可能性について徹底究明する。

    (2)海溝型地震、活断層、内陸部の直下型地震などの研究はいまだ発展途上であり、その現状の到達点をMAXと考えるわけにはいかない。地震列島日本においては、地震の記録がないから安全というのではなく、地震の空白地帯こそ危険であると思うべきだ。立地場所ごとの地震動や津波高さを的確に評価できるほどのレベルには至ってはいない。地震研究の実態はその程度に過ぎないことを前提とすべきだ。
    したがって、少なくとも国内における最大地震動を基準地震動とし、津波高さも最大のものを下限とすべきである。

    (3)Sクラスの建築・構造物の基準地震動との組み合わせと許容限界については、少なくとも「使用限界」を評価基準点とすべきである。
     「終局限界」はコンクリートの全面に多くのひび割れが発生し鉄筋もかなりの部分が降伏した状態である。「終局耐力」を「許容限界」とするのは、前震、本震、余震と短時間の内に繰り返し発生する可能性のある大地震動に対し、大地震動後も原子炉施設内での点検・補修・事故対応作業や長期間にわたる防護を保証することは困難となる。
     そこで、少なくとも設計段階の変形の許容値(変形するが機能維持には問題ない変形)である、せん断ひずみ2×1/1000を評価基準点とすべきである。
     なお、その場合も、繰り返される大地震動に対し残存耐震性能を検討することが必要である。 

    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 22:10 | - | - | - | - |
    TOP