市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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田母神俊雄の都知事選得票60万票が示す「歴史の真実と知識」の欠如
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    〜安倍晋三、田母神らの動きは、国連憲章の敵国条項にある「戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動」そのもの
     
     先の東京都知事選で、戦前戦中の「忠君愛国」「中国・朝鮮蔑視史観と偏狭なナショナリズム」を賛美し「核兵器を持った軍隊」で「元気な日本」をつくろうという妄言(安倍晋三史観と同一)を繰り返してきた元航空幕僚長の田母神俊雄が60万票を集めました。このことを危惧する声をあちこちで聞きます。
     
    ヒットラーの「ものの考え方」を賛美し、米国のヘリテージ財団ら軍産複合体の意向を受けて尖閣問題に火をつけた週一知事・石原慎太郎を選出してきた都民のことですから、驚くには値しません。
     また「欧米に関する基礎知識に比べて、東アジアについて若い世代がほとんど何もしらないという事実」(「歴史を学ぶということ」入江昭著、講談社現代新書、2005年)もあります。
     
     「愛国主義は悪党の最後の隠れ家」と言われます。安倍晋三、田母神俊雄、石原慎太郎らの悪党共が目指す「軍事国家」「強権国家」は、実は彼らが口先では忌み嫌う朝鮮民主主義人民共和国の現政権と「瓜二つ」です。
     それに気づかない有権者が多数いるということは、今がまさに「狂気の時代」(山口二郎、201347日「本音のコラム」東京新聞朝刊)だということでしょう。
     
     もちろん、田母神の一連の発言、「論文」が妄言に過ぎないことは、当初から増田都子さん(http://masudamiyako.com/)らが徹底的に暴いてこられました。
     とはいうものの、今や安倍機関(籾井勝人会長、長谷川三千子・百田尚樹経営委員ら)と揶揄されるNHKの影響力と比べると比較になりません。
     
     「ジャーナリズムの役割は本来、世の中に起きている森羅万象を的確に把握し、それをチェックして、国民が冷静な判断を下すための材料を提供することにあります。しかし戦争を迎える時代のメディアのありようを見ると、メディアの変節は国家の変節に直結するということがよくわかる。わずかな期間のうちに、国家の運命は狂わされてしまうのだ。メディアはそうした力があることを、私たちは思い知らなければならない」(「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(下)」NHK取材班編著、NHK出版、2011年)を籾井、長谷川、百田らの肝に銘じさせたいものです。
     
    ●学校教育が避けた「ポツダム宣言、日本国憲法、国連憲章、日米安保・地位協定、サンフランシスコ講和条約」をしっかり学ぶ意義
     
     ではどうするか?
     
    憲法に定める平和主義、基本的人権の尊重を忌み嫌い、排外主義を煽り立てることは、日本の孤立化、滅亡への道に他なりません。
     「真実の隠ぺい・歴史の偽造が明治以降の日本の国家の退廃を生み出した」(「司馬遼太郎の歴史観〜その「朝鮮観と明治栄光論」を問う」中塚明著、高文研)ことをしっかり受け止め、「歴史を美化せず、事実を知り認める勇気を持つ」(同)ことではじめて相手を知り、異なった意見や文化を理解することです。
     
    そこで、 
    第一に、「歴史の真実と知識」を学び、次の世代にしっかり伝えること、第二に、インターナショナル・コミュニティ(国家の枠組みを離れ、国境を越えて、個人や市民団体が直接間接に交流を重ねる国際社会)(「歴史を学ぶということ」入江昭著、前掲書)を築くこと、が重要だと思います。
     
    ここでは、第一の「歴史の真実と知識を学ぶこと」について考えてみましょう。
    昨年秋、ある地域の歴史愛好者のサークル員を対象に、憲法九条を守る立場から話をする機会がありました。最初に参加した方々に、以下の文書を読んだことはありますかと尋ねてみました。
    ポツダム宣言
    国連憲章
    ・日本国憲法前文、九条、九十八条及び九条に関する政府見解、判例
    サンフランシスコ講和条約
    日米安保条約地位協定
     
    ほとんどの方が、読んだことがないという反応でした。
    私も小中高で習った記憶はありませんし、「九条の会」などの活動をしなければ、
    無知なままだったでしょう。
     
    • ポツダム宣言は、戦前の日本を「無責任ナル軍國主義」が支配と糾弾
     
     ポツダム宣言によれば、戦前の日本は、「無分別ナル打算ニ依リ日本帝國ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍國主義的助言者」「無責任ナル軍國主義」「日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者」に支配される国であると糾弾されています。
     戦前の日本への回帰を公言する安倍や田母神らこそ、日本國國民を欺瞞する我儘で無分別な軍国主義者に他なりません。日本国民は再び彼ら悪党(=軍国主義者)に騙されてはなりません。
     
    ●抜本的な国連再構築に向けて
    〜国連憲章から集団的自衛権の削除と国家主権平等原則の確立
     
     また、国連憲章は、「武力の行使」は2つの例外を除いて、いかなるものも禁止しています。(憲章第2条4項)
     2つの例外とは、一つは「侵略に対して、国連が制裁を加える場合」、もう一つは「国連安保理が必要な措置を開始するまでの間、各国が独自に自衛権を発動する場合」(第51条)とされています。
     自衛権の中に、個別的自衛権と集団的自衛権がありますが、集団的自衛権の行使は、米・旧ソ連による同盟国などへの武力攻撃、内政干渉に使われてきました。
     そもそも、憲章第51条に集団的自衛権が挿入されたのは、国連安保理に縛られずに武力行使したい米ソの思惑によるものです。
     最上俊樹氏は「大国の拒否権」に顕著な1945年時点の中心的戦勝国が「指導」し、一定の特権を持つ仕組みが国家の主権平等の原則に反しているとして、抜本的な国連再構築を提唱しています(「これからどうする〜未来のつくり方」岩波書店編集部、2013年)。国連再構築にはもう一つ、第51条の「集団的自衛権」を削除することも不可欠です。
     
    ●気になる国連憲章の「敵国条項」
     
     ところで国連憲章には「旧敵国条項」があります。
    第53条(強制労働)
    1 安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。
    2 本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。
     
    第107〔敵国に関する行動
    この憲章のいかなる規定も、第二次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。
     
    つまり、第二次世界大戦中に日本のような「連合国の敵国」だった国が、戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、当該国に対して軍事的制裁を課すことが容認され、この行為は制止できないということです。(ウィキペディア)
     
    この敵国条項はすでに死文化しているといいます。
    しかし、戦前の軍事国家回帰を目指す安倍、田母神らの動きは、「戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動」そのものです。
     
    Posted by : 川本幸立 | 日本とアジア諸国 | 19:00 | - | - | - | - |
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