市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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生命と環境を至高の価値と位置付けた「科学裁判」に相応しい福井地裁判決 〜原発再稼働・輸出を至高の価値として詭弁と棄民、言論統制をすすめる安倍首相
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    関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じた福井地裁判決を読んで、同様に「人格権」を争点にした東京都新宿区の国立感染症研究所戸山庁舎(感染研)の実験差し止め訴訟(1989年-2005年)の東京地裁判決(2001年)、同高裁判決(2003年)を思い出しました。病原体を扱う研究施設を発生源とするバイオハザード(生物災害)の未然防止を求めてP2・3施設の実験差し止めを求めた科学裁判でしたが、判決は原告側の全面敗訴でした。

    私も建築技術者として支援活動に加わり、法廷証言、感染研への膨大な情報開示請求(2001年情報公開法施行後)とその分析、準備書面作成などを通じて、感染研の具体的な危険性(法の未整備、耐震基準違反、建築基準法違反、多くの施設トラブルが発生するなどの杜撰な管理の実態、非常時対応の不十分さ)を指摘しました。
    しかし判決は、原告側の指摘と向き合うことなく、「こうした危険性があったとしても感染の具体の危険があるとは言えない」との「屁理屈」で訴えを切り捨てました。

    弁護団長だった島田修一弁護士は、
    「科学裁判でもっとも大事なことは、「異なる主張のうち一方を採用する場合には、明確かつ合理的な根拠が必要」である。安全か否かが激しい対立点となっている場合、「安全」を認定するには安全でないと指摘する者に対し、明確かつ合理的な根拠を示さなければならない。これが提示できなければ安全性は極めて疑わしいこととなる」とし、18年に及ぶ裁判の成果として、「この国における生物災害の恐怖と現実的可能性を警告し、生命と環境という至高の価値を守り抜く人権闘争であった。敗訴はしたが裁判を通じた真実の解明、すなわち感染研には生物災害対策の学問的研究はなく、安全性の科学の思想も持ち合わせておらず、安全対策は極めて不十分であることが明らかとなった。」と評価しました。(「予研=感染研裁判18年の記録」予研=感染研裁判の会、2005年)
    感染研裁判では司法は非科学的な安全判断を下しましたが、今回の福井地裁判決は「生命と環境を至高の価値と位置付ける科学裁判」と評価できるでしょう。

    以下に、生命と環境を至高の価値とする立場から「美味しんぼ」騒動を科学的にとらえた「たんぽぽ舎メール」3つを貼り付けます。福井地裁判決による断罪で「世界で最も厳しい水準の規制基準」がウソであることが世界に発信された安倍首相です。この原発再稼働・輸出を至高の価値として詭弁と棄民、言論統制をすすめ、「ファシストごっご」やTPP・基地問題では「売国ごっこ」、海外漫遊旅行にふけるこの愚かな男を一日も早く首相の座から引きずりおろしたいものです。


    【参考】たんぽぽ舎メールより
    ■【TMM:No2174】2014年5月20日(火)

    鼻血は、ベータ線被曝の結果
    | ベータ線は、鼻腔の粘膜を小範囲で高密度に被曝させ、粘膜が破られて鼻血となる。 広島と長崎の被曝者は鼻血で苦しんだ。
    └──── 槌田敦(元理化学研究所研究員)   

                   
    ○美味しんぼの連載記事「福島の真実」(週刊ビッグコミックスピリッツ誌)が大問題になっている。石原環境大臣が「不快だ」といい、安倍首相が「根拠のない風評」としたことで政治問題となった。政府の介入は、発行元小学館を震えあがらせ、詫び状を書かせた。
    放射能と鼻血の問題は、原爆症に始まる。広島で被曝治療をしてきた肥田医師は、「福島の真実24」で述べていられるが、広島と長崎の被曝者は鼻血で苦しんだ。しかし、占領軍は、その因果関係の発表を許されなかった。そして、この方針を引き継ぐ日米合作の放射線影響研究所も、原爆と鼻血の因果関係をタブー視し、原因不明とする。
    この流れをくんで、放射線防護学の御用学者たちは、1シーベルト以上被曝すると血液中の血小板が減り、鼻血が出やすくなるが、それ以下では鼻血は出ないと主張する。
    福島原発事故で多数の鼻血患者が出たのは事実である。しかし、被曝線量が少ないので、御用学者にはこの事実を説明できない。そこで彼らは自ら説明できないことにいらだって、事実そのものを「科学的にありえない」と否定することになる。

    ○事実を説明しなければ科学者として失格である。ところで、これら失格御用学者のいう被曝とは、ガンマ線被曝であって、その範囲ならば彼らの言う通りかも知れない。しかし、矢ケ崎琉球大学名誉教授も「福島の真実24」で述べていられるが、物理学者ならば放射線にベータ線(電子線)があることに注目する。
    セシウム原子などを含む土埃が風で運ばれてこれを吸い込むと、鼻腔に沈着しベータ線を放出する。ベータ線は飛行距離が短く、鼻腔の粘膜を小範囲で高密度に被曝させることになり、粘膜が破られて鼻血となる。
    この症状は、日光による紫外線被曝と似ている。まず、皮膚が日焼け状態となり赤くなり、次にただれる。粘膜ならば破れて鼻血になる。この症状には個人差があり、赤くなっても回復することがある。
    その場合は、耐性ができて次の被曝があっても赤くはならず、黒ずむだけである。その人は幸福であって、その後は鼻血はない。現在の福島県民の多くはこの状態にあると思われる。しかし、この事実にはふたつの重要な問題がある。

    ○ひとつは、この耐性のない子供や福島を訪問する県外の者の危険である。外出するときは、セシウムを含む土埃を吸わないように、四季を問わず花粉マスクが必要である。そして子供のいる家庭の居間、学習室、寝室には、空気清浄器が必須であろう。その費用は東電に請求する。ホテル滞在の場合は空気清浄器の有無を確かめるとよい。
    もうひとつは、鼻にはいったセシウムは肺に流れ込み、血液で全身に配られ、内部被曝の原因となる。福島の人達は、食事だけ被曝管理しても無駄であることを理解する必要がある。これは風評被害ではない。土壌の高汚染地域という事実の問題である。
    最後に、福島と鼻血について、武田中部大学教授のショート論評(5月10日)を全面的に支持する。小学館は美味しんぼ連載最終打ち切りの「福島の真実24」(5月19日発売)で、武田教授に詳細な論評をなぜ求めなかったのか、おおいに疑問である。

    ■【TMM:No2175】2014年5月21日(水)
    ショート論評−「鼻血」問題に見る日本人の魂の喪失
    | 第一に、軽度の被曝によって鼻血がでたのは事実であり小学校でも記録
    | されている
    | 税金で研究している国立環境研究所などはいったい何をしているのか?
    └──── 武田邦彦(中部大学)


    あるマンガに福島の被曝地帯で鼻血が多かったという内容があり、これに対して、こともあろうに大臣が「不快だ」と言い、地元が「差別」と言って、漫画の作者を非難した。まさに現代の社会「悪者が良い人をバッシングする」という典型例である。

    ○ まず第一に、軽度の被曝によって鼻血がでたのは事実であり、小学校でも記録されている。原発事故直後、子供も大人も鼻血で悩まされた。50歳の男性が今まで人生で一度も鼻血を出さなかったのが、大量の鼻血が突然出たのでびっくりした人など、枚挙にいとまがない。
    これは、重度の被曝で骨髄に損傷を受けて出血するのとは原因も現象も違う。それなのに、御用学者は事実を認めずに、インチキを言ってごまかそうとしている(専門家は軽度の被曝の鼻血と、重度の被曝の鼻血の差を知っているのに、知らないような説明をしている)。

    ○ 第二に、漫画に登場した「鼻血がでた」と言っている前町長は、「実際、鼻血が出る人の話を多く聞いている。私自身、毎日鼻血が出て、特に朝がひどい。発言の撤回はありえない」と言っている。またさらに石原伸晃環境相がマンガに不快感を示したことについて「なぜあの大臣が私の体についてうんぬんできるのか」と厳しい。

    ○ それよりも何よりも、福島原発事故が起こり、汚染状態も時々刻々と変化しているはずだし、森林の状態がどうなっているかも気がかりだ。田畑の汚染、セシウムの沈下速度、ストロンチウムの存在、セシウムの再飛散など、私たちが子供や自分自身の健康を守るためにどうしても必要なデータである。
    さらに農作物、加工品、魚貝類、乳製品などの汚染や、海で潮干狩りをしたり、海水浴をしたりする危険性、はるか遠くの海やハワイなどをどのぐらい汚染したか、どれをとっても大切なことだ。
    私は事故直後から、起こってしまったことは仕方がないが、原子力関係者は深く反省して、国民が必要なデータを力を合わせて発表していきたいと呼びかけたが、むしろ今回の鼻血のように、「隠す方向」=「野蛮な社会」へと進んでいる。税金で研究している国立環境研究所などはいったい何をしているのか?

    ○ もし、隠さなければならないほど原発や被曝が怖いなら、原発の再開などありうるはずもない。「風評」の専門家は「風評が起きるのはデータ不足から」と言っているが、風評を作り出しているのは、政府、環境省、自治体、そしてマスコミであり、国民は情報が提供されれば正しく冷静に判断するだろう。
    今回の鼻血の件も「悪人が善人をバッシングする」と言う現代日本の悪弊が表面化した一つの例になった。今、甲状腺がんは100倍とされ、思春期の子供の急性白血病が増加していること、二本松市の死亡者数が20%以上も増大していることなど、日本人として関心を持たざるを得ないことが起こっている。
    私たちは何のために政府を雇い、国立研究機関にお金を出しているのか。データを出す必要がないというなら、なぜないのかについて誠意をもって説明してもらいたい。 (平成26年5月10日)

    ■【TMM:No2176】2014年5月22日(木)
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    ┗■放射線管理区域(4万Bq/平方m)に数百万人が、普通に暮らす−
    | という違法状態を直視すべき
    | 「美味しんぼ」へのバッシング
    | 科学的とは、全ゆる可能性を検証する態度
    └──── 小出裕章(京大原子炉実験所) (上・2回連載)


    編集部(人民新聞編集部)…『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載されている「美味しんぼ」が論争の種になっています。
    小出…つい先日、編集部から問い合わせがあり、私の見解を伝えました。
    猛烈なバッシングを受けているのは、「福島で鼻血が多発している」という井戸川・元双葉町々長の証言を描いた部分です。批判者たちは、「被曝と鼻血に因果関係はなく、極めて非科学的」「風評被害を煽るものだ」と批判しています。
    事故後の福島の被曝線量と鼻血の因果関係は、現段階では立証されていません。 ただし、「立証されていない」ことと「因果関係はない」こととは、イコールではありません。科学とは、丹念に事実を調べ、論理を組み立てていくことです。 従来わからなかったことが、研究の蓄積によってわかるようになることが、科学の本質です。「わからない=ない」という論理自体が、科学的ではないと思います。
    被曝によってどんな症状が出るか?という研究において、最大のデータベースは、ABCC(米軍・原爆傷害調査委員会)による広島・長崎の調査です。しかしこの調査は、1950年に開始されたものです。つまり、原爆投下後5年間のデータは、空白なのです。原爆投下・敗戦という大混乱の中で、どれだけの人が鼻血を出したか?のデータは、記録されていません。
    つまり、被曝と病状の因果関係を立証するための「研究データがない」というのが現状です。症状を訴える人がいるなら、被曝と因果関係がないか調べるという態度こそが大切で、最初から「因果関係がない」と言ってはいけないと思います。
    今の私には、被曝と鼻血との因果関係を立証する力はありません。しかし、被曝によって人体にはあらゆる病状が起こりうると思っていますので、あらゆる可能性を排除しないで、調査するのが、科学的な態度です。

    汚染地域ではあらゆる病状が起こりうる

    編集部…東京を含む関東地域の被曝程度は?
    小出…日本が法治国家だというなら、東京都の一部を含む広大な地域が、放射線管理区域に指定されるべき汚染地である、という現実を直視しないといけません。
    放射性物質を取り扱うことができる場所は、日本の法律によって特定の場所に限定されています。それが放射線管理区域です。一般の人が立ち入ってはいけない場所であり、私だってここに入れば、水を飲んでも食事をしてもダメです。管理区域から外に出る時には、汚染検査をしなければならないのですが、その基準値が4万Bq/平方mです。私の体のどこかに4万Bq/平方mを超える部分があれば、除染しないかぎり外へは出られないのです。
    管理区域から4万Bq/平方m以上の汚染物=実験着などを持ち出すことも、禁止されています。人間の住むところに4万Bq/平方m以上の汚染物があってはならないというのが、日本の法律です。私はこれを守り、汚染物を外に出さないように細心の注意を払ってきたつもりです。
    ところが、原発事故で4万Bq/平方mを超える汚染が、広大な地域に広がってしまいました。東京の一部も6万Bq/平方mを超えています。
    地図上の4の地域は、60万Bq/平方mを超えている地域です。強制避難区域に指定され、10万人以上の人々が故郷を奪われました。濃いグレー3の地区は、10万Bq/平方m以上、次に濃いグレー2は、6〜10万Bq/平方mの地域です。最も薄いグレー1は、3〜6万Bq/平方mで、この地図は、政府発表のセシウムによる大地の線量図です。
    私のような人間しか入っていけない上に水すら飲んではいけない場所に、一般の数百万人が普通に生活をしている、という異常な状態であることを、はっきり認識してほしいと思います。このことが被曝の議論から抜け落ちていることが、まず不思議です。
    緊急時だからということで、なし崩しに放置されていますが、現在の日本は、違法状態が続いていることを、まず確認すべきだと思います。
    健康被害については、そういう汚染地の中ですから、さまざまな病状が出ると思います。どんな症状が出るかといえば、疫学調査もデータも不足しているので言い辛いのですが、必ず出るとされているのが、ガンと白血病です。どんな低線量被曝でもガンと白血病は発病する、というのが現在の科学の到達点です。
    ただし、ガンと白血病は、被曝をしなくても発症する病気なので、その因果関係を立証するのは、たいへん困難です。そのためには、綿密な疫学調査計画を立てて調査し続けることが必要です。ところがこの国の政府は、被害を隠そうとしていますから、綿密な疫学調査は行われないのではないかと危惧しています。

    「避難指示解除」は到底許されない

    編集部…避難指示区域の解除と帰還方針について。
    小出放射線管理区域の中でも作業者が容易に触れることができる表面は、40万Bq/平方mを超えてはいけない、と定められています。つまり、放射線管理区域の中でも、40万Bq/平方mを超える物体があってはならないのです。
    ですから、60万Bq/平方mを超える地域というのは、私にとって想像もできない場所です。さすがにこの地域は帰還困難地域ですが、そのすぐ外側の59万Bq/平方mの汚染地域住民には、帰還しなさいと言っているのです。住民には、赤ちゃんも子どもも含まれてしまいます。
    そもそも放射線管理区域(4万Bq/平方m)は、18才未満の者が立ち入ってはいけない地域なのです。こんな場所に子どもを含めて帰すなどということは、到底ありえない施策です。
    表面汚染=60万Bq/平方mの基準は、年間被曝量に換算すると、概ね20ミリSv/年となります。これは、放射線業務従事者という特殊な仕事をする人だけに許した基準です。それを一般の人、赤ん坊や子どもにも許すという政策なのです。
    民主党政権時代に、「20ミリSv/年までは我慢させる」という方針が打ち出された際、内閣府参与だった小佐古敏荘さんが、涙の辞任会見をしました。彼は私の論争相手で、あちこちで「被曝なんて怖くない」と言い歩いていた人です。
    その小佐古さんが「自分の孫をそんな目にあわせるのは絶対いやです」と泣きながら訴えるくらいの被曝量なのです。放射能を取り扱う人間にとっても高い基準だし、子どもには決して許してはいけない基準です。そんなところに子どもたちを帰すなど、到底あり得ない政策です。
    原発に反対する人たちの中にも、「美味しんぼ」での鼻血の記載を非難する人たちがいますが、些末なことに目を奪われず、現在進行している犯罪行為そのものに向き合ってほしいと願います。〔(下)に続く〕
    (5月15日人民新聞通巻1515号より。)


     
    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 21:44 | - | - | - | - |
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