市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

<< 「偶然の出来事」なければ、千葉市全域も「無人の街」になっていた 〜東電「吉田調書」から読み取るべきこと | main | わずか55年で日本を破滅に追い込んだ「明治憲法」体制 >>
 千葉県に部分不開示決定に関して異議申し立ての意見陳述をおこなう  〜野田市産廃処分場に係る県の立入調査結果報告、パトロール報告などの文書開示請求
0
    木曽の御嶽が昨日27日噴火しました。噴火発生時は警戒レベル1で、気象庁は「噴火の予測は困難だった」としています。
    以前登った、浅間山の登山口でも、登山者への注意看板で、以前の噴火は前兆なしに起こったものがあり、予測不可能な噴火が起こる可能性は常にあるとし、「自己責任」で登山して欲しい、と明記されていました。
     140928
     
    鹿児島の九電川内原発の再稼働に当たり、原子力規制委員会は今月、噴火の影響は小さいとして新規制基準に適合しているとしました。今回の噴火は、それに対する自然の側からの警鐘です。

    さて、県議在職中に取り組み、白黒つかなかった課題の内、野田市にある工業団地内の産廃中間処分場周辺の健康被害の問題があります。この問題について9月25日午後、千葉県本庁舎内の会議室で、約20分ほど、千葉県に部分不開示決定に関して異議申し立ての意見陳述を行いました。
    昨年7月23日に提出した異議申立書で、意見陳述の申し出をしていましたが、1年2か月たってようやく実現したことになります。
    以下に意見陳述した内容を報告します。

    【意見陳述書】(2014年9月25日) 川本 幸立(千葉市緑区在住)

    (*当日準備した原稿を踏まえて再編集したものであり、一部、当日の陳述内容と異なる部分もある。)

    私は、建築技術者として化学プラントメーカーに約18年間勤務し、中央制御室、危険物倉庫・分析室・工業系クリーンルームなど多種多様な建築物の設計とりわけ空調・換気などの設備設計に関わってきた経歴を持ちます。また本公害事件については県議会議員在職中に現地調査、議会質問などで深くかかわった経緯がある。

    これらを踏まえて、本件の文書開示請求者として、千葉県知事の廃第333号及び694号の行政文書部分開示決定通知書2項の「非公開情報に係る部分」に関する不開示決定を取り消す決定を求める。
     (但し、「法人代表者印の印影」、「個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報」については除外する)
    以下、2013年7月23日付の私自身の「部分不開示決定に関する異議申立書」について補足意見を述べさせていただきます。

    ●不服申し立ての経緯

    本件に関係する事業者つまり野田市工業団地内で操業している産業廃棄物中間処分場(柏廃材処理センター野田工場)は、2007年4月に操業を開始したものの、排ガス中の塩化水素濃度の基準超過が判明し、稼働を停止し、その後、千葉県の改善勧告が行われ、「千葉県廃棄物処理施設設置等専門委員会」において審議されたが、県未承認のまま事業者が勝手に稼働を再開した経緯がある。

    その後、事業所の周辺地域住民から被害の訴えが相次ぎ、悪臭と共に、大気汚染物質のため洗濯物が干せない、金属類がさびやすい、化学物質過敏症に類する症状がみられるなどの訴えがあり、健康影響の広がりが危惧されていた。

    2009年9月の野田市の調査の結果、のど48%、目40%、鼻36%の症状と咳・痰34%、息苦しさ20%、頭痛19%、吐き気8%など体調不具合な市民が多発していることが明らかになった。そして多くの住民から産廃110番などを通じて苦情が寄せられた。

    その主原因の一つとしてVOC(揮発性有機化合物)の可能性が指摘されている。VOCは東京都新宿区と杉並区、町田市でプラスチック主体の雑廃棄物を積み換えるごみ中継所周辺での健康被害、いわゆる「杉並」病の原因物質として注目されたものである。当時の東京都の委託分析では、3種類のイソシアネートが検出された。イソシアネートはどれでも、ごく低濃度に一時的に曝露しても、免疫メカニズムの後遺症として、過敏症を生ずるものである。

    本件では、2010年夏、2011年冬の2回VOC分析が実施された。その2回の結果をあわせると131種のVOCが検出され、その中には酸化するとイソシアネートの一種、メチルイソシアネートになる、メチルイソニトリルがあった。メチルイソシアネートとは、世界最大の化学物質公害と言われるインド・ボパール事件の原因物質である。
    その他、1種のケテンや5種のニトリルなど劇物・毒物として著しく有害なものも検出されたことが報告されている。

    これらの検出調査から、当該事業所の破砕選別棟での作業による機械的化学反応(メカノケミカル反応)とずさんな保管管理による影響の可能性、VOC化合物を無機化合物に変質できていないという不適切な焼却(燃焼温度管理)の可能性が推察された。

    当該事業所に対して、県は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第19条規定による立ち入り調査を行い、現場の維持管理状況を確認し、その結果を庁内で報告し、必要に応じ事業者に対し指導事項票を交付してきた。また、住民からの産廃110番などの受電で現場の監視・パトロールを実施し、その記録書兼報告書を作成してきた。
    しかし、これらの文書が住民に開示されることはなかった。

    当該施設の管理の実態、周辺住民からの産廃110番時の施設の状況、トラブルの要因、県職員の対応と事業者への指導内容、それに対する事業者の改善状況などは、健康被害などとの因果関係を含め生命、健康に関わる重要な情報であり、住民として最も関心のある情報である。

    ●廃第333号について(2013年5月)〜不開示理由の根拠

    開示請求の結果、パトロール記録書兼報告書、立入調査報告書、立入検査票、運転状況確認票、復命書が開示されたが、その実態は、

    ・パトロール記録書兼報告書は、「○時○分に通報あり現場確認」という記載を除き、その他は不開示。
    ・立入調査報告書は、日時、立入場所、立入者の記載以外は、不開示。
    ・立入検査票は、立入検査結果、総合評価(適・不適)、各項目毎の評価が不開示、
    ・指導事項票は肝心の「指導・指示事項」が不開示、写真も非開示、運転状況確認票も不開示
    といういわゆる「黒塗り」の文書開示であった。

    これでは、当該施設の管理の実態、周辺住民からの産廃110番時の施設の状況、トラブルの要因、県職員の対応と事業者への指導内容、それに対する事業者の改善状況など、健康被害などとの因果関係を含め生命、健康に関わる重要な情報が一つも提供されないことになる。

    県によれば、不開示の理由は、千葉県情報公開条例第8条第3号イ、第5号及び第6号に該当というもの。
    つまり、公にすることにより、
    ・当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
    ・率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、
    ・不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ
    ・特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
    ・当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
    に該当するというものだった。

    しかし、県は不開示の具体的根拠理由を何ら示さないばかりか、これらの情報が異議申立人が開示を求める根拠としている、第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するかどうかの具体的な検討・判断を一切していない。これは明らかに、職務怠慢に他ならない。

    ●廃第694号について(2014年7月)〜一部開示情報を検討する

    今年7月になって、不開示情報の一部が開示された。不開示決定後の時間の経過の中で、この間すでに公になった情報については開示することにしたという旨の口頭説明を受けた。

    この7月に一部、開示された情報は、
    ・「パトロール記録書兼報告書」の主要な文(但し、一部不開示)
    ・「立入検査票」の検査結果の一部、総合評価の一部、各項目毎の評価
    でした。

    しかし、
    ・事業所内で撮影した写真
    ・肝心の「指導事項票」の指導・指示事項
    ・「立入調査報告書」の一部
    ・「立入検査票」の一部
    は不開示のままだった。

    そこで、まずこの一部開示された情報について検討した。
    ・さきほど挙げた2つのポイント、つまり廃棄物の保管・管理の実態、燃焼温度管理の実態の面から検討結果を指摘します。
    まず、破砕選別棟や保管庫での空気の漏出防止(換気設備など陰圧状況、ドラム缶の密閉など廃棄物の保管状況、出入り口の閉鎖)などの状況がどうなっているかということですが、
    廃棄物の管理・保管の実態では、
    保管庫のシャッターが一部開状態を含めて頻繁に開状況放置が報告されている
    作業も頻繁にシャッターを開閉して実施せざるをえないこと。
    保管庫シャッター故障(シャッター開状況)の放置、
    保管庫内で処理したばかりのドラム缶が口を開けたまま保管、ドラム缶から強い溶剤臭
    屋外保管場所以外での廃棄物保管(廃洗剤、廃ウェスなど入った)
    屋外で廃洗剤を缶からドラム缶への移し替え作業の実施を現認した
    場内での異臭⇒改善の必要有と指摘
    ばいじん保管庫からばいじんの漏出
    H22.6.2 火災通報で現場確認。保管庫の中で、爆発音確認。


    燃焼温度管理では、基準を満足しない800度未満の状態が頻繁
    炉内温度:H23.9 675℃、697℃、
    H24.5.3 708℃
    ⇒「新たな廃材を入れた際、一時的に温度が下がる」ことが明記
    二次燃焼室温度:H23.2.9 792℃、795℃
    H22.7.13 731℃
    H23.9 751℃、791℃

    ・また「現認」(=現場確認)事項では、
    ばいじん測定口が腐食により塞がり、ばい煙測定ができなかった。塩化水素濃度及びばい煙濃度故障、パソコントラブルにより、炉の温度、CO等の記録が6日間記録されていなかった⇒保守管理が不十分
    H22.4.24 建屋上部に粉じんがただよっていた。
    H22.6.5 計器の建物の中は堆積物が多く堆積しており、かなりの異臭があった。
    H22.6.17 建物の中の堆積物はかなりの異臭があった。
    H23.2.9 バグフィルタから煙突への煙道において、上記の漏えいを確認した。周囲でHCLと思われる刺激臭を感じた。
    H23.6.16 焼却前の状態で倉庫に保管されている廃棄物に強度の異臭が認められた。
    H24.6.24 4件の産廃110番で現場急行、現場近くの国道16号を走行中に若干の異臭、200m離れた場所ではかなりの異臭が感じられた(パトロール記録書・報告書)

    つまり、廃第694号で一部開示となった情報を検討した結果、

        開示された情報は、第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当する情報にほかならないこと

        事業者の破砕選別棟や保管庫での空気の漏出防止(換気設備など陰圧状況、ドラム缶の密閉など廃棄物の保管状況、出入り口の閉鎖)状況、焼却設備の燃焼管理がきわめて杜撰であること。さらに火災事故の発生、計器類・シャッターの保守管理のずさんさが頻繁で、事業者としてのコンプライアンスへの姿勢、周辺環境・住民への配慮の姿勢、つまり事業者としての根本姿勢に疑問を抱かせるものであること。

        これらの情報を当初、千葉県情報公開条例第8条第3号イ、第5号及び第6号の規定を元に不開示の理由とした県の判断が不当であること。また例えこれらの規定に該当するとしても頻繁な不祥事、事故が多発する事業場に関しては、比較衡量の結果、当然第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」として間違いなく公開されるべきものであること。

        未だ不開示とされている、県から事業者への具体的な指導内容である「指導事項票」の全面開示、及び事業所内の管理状況並びに不適切な実態を示す写真すべての全面開示が一層求められること。

    が誰の目にも明らかになった。
    是非、全面公開し、県として的確な指導を行ってきたことを、県民に明らかにしていただきたい。

    なお、非開示写真の「撮影内容」覧の記述からいくつか指摘すれば、
    H24.1.31に「撮影内容」として「セメンダインのような臭いのする紛体」の説明のある写真、H24.3.8「灰出し室前面⇒あいじん等が流出」とある写真、H24.3.14「測定口1開けた際は酸臭がかなりあった」、「測定口1に付着していた物質」の写真、H24.11.29「有機溶剤臭のする液体(破砕選別棟の床)、H22.6.2[現場の状況(この倉庫の中で爆発音あり)]「現場の状況(12:40火災発生、13:38鎮火)、H22.6.9「赤コンテナは、許可証に記載されていない」「ばいじん保管庫、内部から埃(ほこり)状のものがでていた」、H22.6.28「保管庫内から洗浄水が流出していた」、H22.7.13「熱交換器上部。白煙が認められた」
    などがある。
    これらは開示されるべきである。

    また、「運転状況確認票」の記載について一言申し述べたい。
    「確認票」によれば、炉内温度、二次燃焼室温度で「基準値800℃以上」とし、測定値が800℃以上あれば問題なしとしているようであるが、「炉内の温度分布があるなかで最も低い個所が800℃以上」を意味するとすれば炉内の温度分布の実態を把握することなしに判断はできないはずである。測定ポイントが800℃あれば問題なしとする根拠を伺いたい。
    次に、異臭については、たびたび現認されているが、異臭の原因物質の特定がなされていない。少なくとも記載がない。現認後にどのような分析など要因追求がなされたのか伺いたい。
    さらに保管庫の密閉状況、減圧状況を確認しているが、具体的にどのような測定具あるいは数値上の計算を行ったのか?保管庫の排気量、開口部・すきま面積などから簡易な計算により「減圧状況」の概要が把握できます。問題なしとした場合の根拠を伺いたい。

    ●不開示情報は、生命・健康に関わる情報であり、著作者人格権は不開示の理由にはならない〜大阪府高槻市のJT(日本たばこ)医薬総合研究所の建築確認申請図書(設備関係)の情報公開訴訟」(以下「JT裁判」という)の確定判決から

    最後に、私が建築技術者として、情報公開に関わる住民訴訟に関与し、その結果、勝訴した大阪府高槻市のJT(日本たばこ)医薬総合研究所の建築確認申請図書(設備関係)の情報公開訴訟」(以下「JT裁判」という)の確定判決内容を紹介したいと思います。

    原告は高槻市の住民で高槻市情報公開条例に基づき公開を求めたが高槻市は不開示決定をし、異議申し立てた審査会でも請求を棄却する決定を下され、そこで、裁判に至ったが、2005年に原告勝訴が確定し500枚以上の設計図書が全面公開となった。

    裁判の争点は、当該設計図書が、々眥仍埔霾鷂開条例第6条第1項第2号の「法人に関する情報」の「公開することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当する不開示情報にあたるのか、△修良坡示情報にあたるにしても「但書ア、人の生命、身体又は健康を害するおそれのある事業活動にある情報」に該当し、不開示情報から除外されるのか、「但書ア」に該当しても著作権あるいは著作者人格権(公表権)の法による権利を条例により制限することになり、第6条第2項「実施機関は、法令又は条例の規定により公開することができない情報については、公開しないものとする」に照らして許されるか、というものであった。

    確定判決となった大阪高裁判決の趣旨は、
    当該設計図書は、
    「公開することにより 当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当すること。
    Jt研究所が行っている遺伝子組み換え実験等の事業活動は、「人の生命、身体又は健康に害するおそれのある事業活動」であり、「但書ア」に該当するとし、そして「おそれのある事業活動」とは、「その活動によって、人の生命、身体又は健康を害する可能性があり、特別な安全対策なしには社会的に存立が許されない事業活動」であると規定した。
    また、著作者人格権についてはそれを認めた上で、公開によりJTらが被る不利益の程度は、公開によって回避しうる被害に比べはるかに小さいと認めるのが相当であるとし、
    著作者人格権を根拠に当該文書の公開を拒むことは権利の乱用であり、高槻市の条例第6条第二項は適用されない
    とした。


    県情報公開条例は、前文で「地方自治の本旨」(=住民の意思で事柄を決めること)にのっとった県政運営を基本とすること、そのために県民の「知る権利」を尊重することをうたっている。そして原則公開とし、原則公開の適用除外項目については同条例第8条に規定があるが、第8条第2号ロ、第3号で、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」については、たとえ不開示情報に該当しても公開するものとしている。

    この確定判決の趣旨を本件に適用すれば、
    そもそも当該施設の事業活動は厳格な燃焼条件、フィルターの設置など特別な安全対策なしには社会的に存立が許されない事業活動であり、そのことから「人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれのある事業活動」と言える。

    当該廃棄物処理施設について頻繁に立入調査が行われているのは、当該施設周辺で多数の健康被害を訴える声や産廃110番通報が寄せられるなど、公害源と公害因子の特定、根絶対策をとることが県に緊急に要請されているからであり、かつ過去に当該施設を発生源とした公害問題が起こった経緯があるからである。
    すなはち、当該事業活動により人の生命、健康、生活又は財産を害する現実的な可能性があると認められる。

    非公開部分が公開されることにより、当該事業所の安全管理の実態を住民も知ることとなり、それにより事業者も徹底した安全施策の実行が求められることとなることが期待される。その際、著作者人格権は障害とはならない。

    なお、今回開示を求めている産廃関係の写真を含めた情報は、少なくとも奈良県、福岡県などは個人情報などを除外して公開されていると聞き及びます。

    以上、全面開示を求めて意見陳述をおわります。

     
    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 10:48 | - | - | - | - |
    TOP