市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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「憲法前文・九条の軍事・経済戦略」で、「憎悪と暴力の連鎖」を断ち切ろう!〜なぜ米政府の責任を問わないのか?!人質事件と閣議決定
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    「イスラム国」による2人の日本人の「人質事件と安倍外交」について知人に送信した1月27日、2月4日の私のメールの一部を以下に貼り付けます。

    【2015年1月27日メール】

    1.今回の事態は、安倍政権にとって、昨年7月1日の「閣議決定」の中の、「多くの日本人が海外で活躍し、テロなどの緊急事態に巻きもまれる可能性がある中で、当該領域国の受け入れ同意がある場合には、武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある」を合理化するもので、今後の自衛隊法改定など法整備のためには非常に都合のいいものだと理解しているものと思われます。集団的自衛権発動の3要件の「見直し」に利用されそうです。

    2.また「閣議決定」で何度も出てくる「他国」には、米国のみならずオーストラリア、イスラエル、インド、フィリピンを意図していると指摘されています。
    オーストラリアとはすでに日豪安全保障共同宣言や防衛装備日豪物品役務相互協定(ACSA)で準同盟関係にあり、イスラエル、インドとは今年、同様のものを締結しようとしているそうです。(「これまで自衛隊は人を殺さなかった」小西誠、「人権と教育」60号
    米国のみならず集団的自衛権を行使できる「密接な関係にある他国」を米国の支援のもと増やそうということのようです。イスラエルが入っているのが気になります・・

    3.外務省幹部が「ひらたく言えば、積極的平和主義というのは、外交への軍事の活用だ」と語った(「朝日」7月14日)そうですが、軍事力をバックにして経済的覇権・利権を確保する方針を明確にしたと言えます。

    4.ちょうど今読んでいる「日本の安全保障はここが間違っている!」(田岡俊次著、朝日新聞出版、2014年12月)の「第1章 集団的自衛権を再検討する」の最初の項が「日本は『イスラム国』打倒に自衛隊を派遣するのか?!」です。

    同書では、
    (1)2014年7月1日に閣議決定した際に公表した集団的自衛権発動の3要件(〔接な関係にある他国に武力攻撃が発生し、我が国の存立や国民の生命、自由などの権利が脅かされる明白な危険がある、他に適当な手段がない場合、I要最小限度の実力の行使)に照らすと、「イスラム国」との戦いに自衛隊の派遣はできないのは明らかである。

    (2)しかし、2014年9月23日に航空攻撃開始した翌日、米政府は、「イラクはシリアからくる『イスラム国』の深刻な事態に直面している。『イスラム国』などのテロ集団はイラクだけではなく米国の脅威でもある」とし、「これは自衛権の行使だ」と主張する文書を国連事務総長に提出した。
    つまり、テロ集団の存在が米国への脅威で、それに対する攻撃は自衛権行使だ、というのが米国の立場である。

    (3)米国が航空攻撃だけでは『イスラム国』打倒は困難と覚り、地上部隊も派遣する状況になれば、「米国が脅威にさらされているのだから、同盟国の日本は集団的自衛権を行使して共同行動をとるべきだ」と日本にせまり、日本政府が3要件を理由に拒否すると、「日本は集団的自衛権を行使すると言いながら何もしないのか」などと居丈高になりかねない。

    (4)上記の3要件は閣議決定に過ぎない。日米地位協定では出す必要のない在日米軍の維持費(=「思いやり予算」)を日本が負担(4800億円)するなど、あらゆる局面で米国追随の姿勢を示し、筋の通らない譲歩を重ね、理屈に合わない要求に屈してきたことを考えれば、米国からの強い要請があれば政府が解釈を見直す可能は十分ある。

    (5)安倍の私的機関である安保法制懇の座長代理で主導的役割を演じている北岡伸一国際大学学長は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との憲法の規定は「日本が当事者である国際紛争」と解釈を変更すべきだ、と述べ、他国の国際紛争なら日本の武力行使が認められるように解釈し、多国籍軍に参加できるようにすることを主張している。

    とあり、3要件の見直しの流れが強いことが理解できます。

    5.こうした動きに抗するには、なぜ「イスラム国」が跋扈する事態になったのかを分析することが不可欠ですが、(前掲書には、米国の軍産複合体という視点は希薄ですが、)
    (1)    シリア内戦で形勢の悪い反政府軍(「自由シリア軍」、イスラム過激派ら)を支援する米政府は、「アサド政権打倒のため「イスラム国」(ISIS)に武器を供与してきた」「CIAがヨルダンの秘密基地でISISを訓練している」ことが報じられてきたこと
    (2)その結果、ISISはシリア政府軍だけでなく、自由シリア軍とも戦いシリア東部と北部の一部を支配しシリア東部の油田を占領、14年1月にはイラクに侵入し北部、南部の都市を占拠し首都バクダットを脅かす存在になったこと、
    (3)こうしてイラクに勢力を拡大するISISを放置できず、米国は8月からイラク領内の拠点などを航空爆撃し、9月23日にシリア北部ラッカのISIS本部、製油所などに巡航ミサイル「トマホーク」と航空機による攻撃を加え、その際、オバマ大統領は「この戦争は何年もかかる」と述べ各国に参戦を求めたこと。
    (4)この9月23日の攻撃直後にシリア外務省は「テロと戦う国際的努力を支持する」ことを表明したこと。米政府にとって、「敵」と「味方」が逆転したことにより、ISISへの攻撃では米軍による空からの攻撃とシリア政府軍による地上戦で対応するのが有効と考えられるが、「アサドは自国民を多数殺した暴虐な独裁者」というイメージを流布してきた手前今さらできないし、第一、イスラエルは米国とシリアが手を組むことを断じて許さないこと。

    (5)戦争、特に内戦では謀略が付き物で、偽情報が飛び交うから、米国のようにまず、「善玉」「悪玉」を決め、一方の言い分だけを聞いてそれを補強するための証拠を集めようとする情報分析姿勢は極めて危うい。シリアでも米国が「味方」にしていたISISを攻撃することになったのは、元々敵を味方と見誤っていたためで、米国の国益上アサド政権を敵視して反政府勢力を助ける必要はなく、内戦を静観していればすむ話だったろう。米国の情報分析には大きな欠陥があり、誤算を重ねてきたことを計算に入れて判断しないと大失敗の可能性がある。

    などが指摘されています。

    こうしてみると「イスラム国」をめぐる今のような事態を招いたのは米国そのものでしょう。
    それを隠して「自衛権」行使を強要し、人々に死を強要するのはとんでもないことです。
    「憲法九条の安全保障」を「軍事戦略」の柱とする政府を樹立しかないですね。
    (参考:「憲法九条の軍事戦略」松竹伸幸著、平凡社新書、2013年)


    【2015年2月4日メール】

    アベアベ詐欺・詭弁男の出鱈目さ、破廉恥さに怒りが治まりません。
    憲法違反の選挙で多数派を占め「首相」の座を掠め取ったこの詐欺男を何としても首相の座からひきずりおろしたいものです。

    中東で「イスラム国」を刺激する発言を行いながら、人質の処刑が行われたと報道されると国会で平気で「九条改憲と自衛隊法改「正」で海外での邦人救出を」を声高に言う。
    人質を見捨て、原発事故被害者の「棄民」化を進めている男の頭の中には、「海外派兵」、「戦争国家化(=中国包囲の妄想)」、「99%から1%の多国籍企業・富者に富の移転」しかない。
    そもそも、狭い国土に多数の原発を抱え(電源供給が止まれば破滅的状況(メルトダウン)になる、都市構造も脆弱な日本は、どんな立派な「国防軍」をつくろうと「武力行使」では勝算はありません。

    「イスラム国」問題の根源には軍産複合体国家=アメリカが詭弁を弄して引き起こしたイラク戦争があります。日本が進むべき道は、憲法9条を軍事・経済戦略の柱とすることで、米国を説得し、対米従属から脱し、核の廃絶、武器輸出の禁止、エネルギー・食糧の安全保障の確立による貧困・格差の是正、
    災害救援(自衛隊を災害救援組織に)に世界で主導的な役割を果たすことです。

    さて、知人から知らされた弁護士・伊藤和子さんの
    「イスラム国による日本人人質事件 今私たちができること、考えるべきこと」

    は必読です。是非ご一読を

     
    Posted by : 川本幸立 | 憲法 | 09:01 | - | - | - | - |
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