市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

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地方自治の論理と国政との根本的な2つの違い
〜地方政治にトップダウンの中央政党は不要
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    15日夜は、県文化会館で「チャイルドライン千葉」「ママパパラインちば」の活動を応援するために開催された「橋本のぶよチャリティーコンサート」(主催:NPO 法人子ども劇場千葉県センター)を楽しみました。「MY RIGHTS」(子どもの権利条約)、橋本さん自身の訳詩による「花はどこへ行った」がとりわけ印象に残りました。最後は、地域通貨「ピーナッツ」などで西千葉の「ゆりの木商店街」で地域活性化にとりくむ海保眞さんらと舞台に上がり「翼をください」を熱唱?しました。

    さて、菅再改造内閣発足を受けて緊急の世論調査結果が盛んに報じられていますが、16日の「毎日新聞」朝刊は、「内閣支持微増29%」「与謝野氏起用55%『評価しない』」「政権浮揚 不発」「民主党内に悲観論」の見出しで報じています。「(改造は)失敗だった。これから大変だぞ」との民主党参院幹部の「予言」も紹介されています。

    菅内閣を支持29%(前回24)、不支持49(56)で、支持の理由は「政策に期待できる」が10%(8)に過ぎず、「政治のあり方が変わりそうだから」という漠然としたものが64%(61)を占めます。一方、不支持は「指導力に期待できない」33%(37)、「政策に期待できない」35%(31)、「政治のあり方が変わりそうにない」29%(27)です。

    政党の支持では民主党20%(前回21)、自民党21(18)、公明党5(5)、みんなの党6(9)、共産党3(2)、社民党1(1)、支持政党なし42(44)です。
    また衆議院選が行われたら比例代表で投票する政党では、民主党25%、自民党30%、公明党6%、みんなの党11%、共産党3%、社民党1%、たちあがれ2、新党日本1です。

     「コンクリートから人へ」を撤回し、政権交代しても自民党政権時代の従来のレールの上を走り続ける民主党です。
    民主党新政権に失望し、かといって自民党に後戻りする訳にもいかない、他に選択しもないが、とりあえず・・・という有権者の姿が浮かび上がります。

    ちょうど、「なかにし礼氏×田中秀征氏、司会・佐高信氏」の対談「行き先すら分からぬ菅政権へ」(週刊金曜日11.1.14、)で、菅政権を次のように評価しています。

    なかにし礼「普天間基地問題でも、沖縄振興策をちらつかせて、自民党と同じことをやっている。本当に「政権交代」はあったのか疑ってしまいます」「理想像を掲げてくれないと世界に向けて何も発信できない」

    田中秀征「菅直人は能力的にも人格的にも、そもそも総理になる人間ではなかった」「ヒトラーですら理想を掲げた。しかし、菅さんは政治には理想は必要のないものだという認識に立っている」

    佐高信「ただ自民党の方がまだ悪いことをやるにも自覚がありましたね。民主党は未熟で、自分たちがやっていることの自覚がほとんどない」

    ●地方自治の論理と国政との根本的な2つの違い

    4月には統一地方選挙があり、千葉でも県議、市議の選挙が行われます。
    千葉県政を変えるには、
     仝幹部と議会で多数を占める自民党の馴れ合い
    ◆|羆依存(=中央利権と結びついた)の地域開発
     「コンクリ−トから人へ」を撤回した民主党政策
    を変えねばなりません。
    これを変えるのは県民一人ひとりの声であり怒りです。

    千葉県議会は95の定数の内、自民党が約6割を占め、8つある常任委員会でも絶対多数を占めています。ここ2年間の県政不祥事〜40億円県庁不正経理問題、県民損害60億円第三セクター経営破たん問題、7700万円外郭団体不正経理問題〜だけをみても不正や「天下り天国」を容認してきた自民党の責任は重大です。もちろん民主党も論外です。
    しかし、そもそも地方政治にトップダウンの中央政党でいいのでしょうか。

    地方自治の論理は国政とまったく異なります。

    一つは、議員内閣制ではないので、与党野党の区別がありません。県民の利益を最優先し、そのために議会が一体となって首長側(執行機関)と向き合い、競って県民への説明責任を果たすことが求められます。
    したがって議会には、
     崟策形成」にあたり「合議」を重視し、
    ◆崟策決定」にあたり議員相互、執行機関と「討議」し、
    7荵伺定や監査、事務事業評価などの「政策の評価」にあたっては厳格な評価
    が求められます。
    こう考えると、各議員の考えを尊重せず会派の有力者や中央の意見を会派内で強制するいわゆる「会派拘束」などは、地方自治にはますます相応しくないといえます。しかし、県議会では自民党〜共産党まで「会派拘束」がまかり通っています。

    二つ目は、地方自治では直接民主制を尊重しており、本来、最終決定権は議会ではなく県民が持っているということです。したがって、前述した 崟策形成」、◆崟策決定」、「政策評価」、の3つのそれぞれの過程において、議会への県民参加が求められるのは当然です。

    この国政と地方自治の二つの根本的な違いを、首長側(執行機関)も肝心の議員も、さらには中央政党も、県民もメディアもあまり理解していないように思います。

    自治とは県民による首長や県議会の「統制」に他なりません。憲法第12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」とあります。これを地方自治におきかえれば、たとえ自分が一票を投じた知事、市長、議員であっても、彼らに委ねることなく常に政策を厳しくチェックし場合によってはリコール権を行使する姿勢が不可欠だ、ということになります。
    *参考文献:「討議する議会〜自治体議会学の構築を目指して」江藤俊昭著・公人の友社

    ●千葉県の政治権力の質を市民運動、地方議会改革を通して「私民自治」から「市民自治」に変える

    中央政党には期待できないとなると、あとは「ローカル・パーティ」、完全無所属ということになります。ところで、前述した対談で「市民運動の限界」が指摘されています。

    田中秀征「今の彼(菅首相)を見ていると、結局は市民運動止まりなんですね。本当はその先に大きなビジョンがなきゃいけないんだけども、市民運動家のまま総理になってしまったという感じです」
    佐高信市民運動ではなくて私民運動ですね
    田中秀征「人権というものは普遍的な価値があるから市民運動も絶対に必要なんだけども、それは権力の質を変えていくところに向かわなければいけない。でないと実際に権力をとった時に目指すところがなくなってしまい、『みんなで協議して決めてくれ』となる。そしてそれが最近は独裁型に変わるんじゃないかという危険性を感じる」
    政治というのは、被害を受ける側の立場に足を置いて、そこから物を考え行動する、そうでなきゃ駄目なんだ」
     (対談「行き先すら分からぬ菅政権へ」(週刊金曜日11.1.14、)から)

    この文章を読んで、2001年に千葉県で堂本知事が誕生して以降の市民組織の対応を思い起こしました。市民自治運動で「権力の質」を変える、首長を「統制」するという面が希薄だったと思います。それとともに、残念なことですが、「市民自治」運動の視点から堂本県政を検証し、市民運動のあり方を考えるという取組も未だ満足になされてはいません。

    その意味では千葉の草の根民主主義の再構築が必要でしょう。
    「ローカル・パーティ」、完全無所属の立場で、県政、市政に影響を及ぼし「建設的な政策提言」ができるのかと心配される方がおられるかもしれません。
    そもそも、政策立案には、まず当事者を尊重し現場を重視するなど徹底した調査研究を基本に据え、英知を結集することが求められます。

    この4年間の観察結果から、ハッキリ言って県議会において自民党も民主党も「建設的な政策提言」とは程遠い立場にありました。
    少数の「完全無所属」の立場でも、研究者や市民専門家やたとえば、自治体議員政策情報センター「虹とみどり」(http://www.greens.gr.jp/jouhou/index.html)のような組織とのネットワークにより、何ら問題なく建設的な政策提言を行うことができます。あとはそれを実現するのは主権者である県民の声です。

    千葉県の政治権力の質を市民運動、地方議会改革を通して「私民自治」から「市民自治」に変えたいものです。

    Posted by : 川本幸立 | 県行政 | 14:41 | - | - | - | - |
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