市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

核廃絶、非核の世界に向けた「日本国憲法」の先駆性
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      今日は憲法記念日です。
    福島核事故、沖縄基地、北朝鮮「人工衛星」、朝鮮半島情勢をみれば、その打開のためには非核政策を日本政府が主導するしかないこと、主導する根拠になるのが日本国憲法の一方的な軍備撤廃と戦争行為の否認宣言、多数のヒバクシャ(ヒロシマ、フクシマ)の存在です。

    ●日本民族の絶滅をもたらしかねない自民党の「新たな憲法改正草案」

    ところが、ちょうど、核エネルギー政策を推進し、東電福島第一核発電所事故で人民の多数を「ヒバクシャ」にした張本人である自民党が4月27日に「新たな憲法改正草案」を発表しました。

    新聞で草案の要旨を一読しましたが、‥傾弔旅餡噺擬鷁宗↓国民の国旗・国歌の尊重義務(=愛「国家権力」心の表出の強制)、9駛彪海諒飮、ざ杁淹態における在外国民の保護努力義務、ス駝韻領療據ξ粒ぁξ龍の保全と資源確保義務、国民の公益、公の秩序順守義務、Ю鐐阿旅餡反斉擦良活、┨餡箸里燭瓩龍軌蘓橋宗↓緊急事態における「戒厳令」措置、などが羅列し、予想していたとは言え、余りの愚かな内容に言葉を失いました。

     一般に国家の3要素として領土、国民、統治権が挙げられますが、統治権という権力こそが国家の本質です。
     憲法学者である浦部法穂氏は次のように主張しています。
    ―「権力」とは他者を支配できる力、あるいは他者に対して服従を強制しうる力であり、国家はそのための強制装置なのである。
     そうであれば、国家というものは「権力」の座にない(=支配される立場にある)私たちにとっては、本来、自分たちの側にあるものではなく、自分たちに対立する対立する存在であるはずのものである。つまり、「国」というものは本来、私たちにとって、「わが」といえるような存在ではない、といことである。
    (浦部法穂「全訂・憲法学教室」日本評論社)

    近代において、憲法は主権者である人民から国家権力への命令という意味を持ちます。しかし、草案は、権力者による主権者への命令であり、国家権力に服従(踏み絵としての国旗・国歌)することを強要するものです。これでは「憲法」の基本的要件を備えてはおらず、「草案」に値するものではありません。

     そもそも、こんな愚かな「草案」を考える時間があれば、福島核事故についての自らの責任を明らかにし、これ以上「ヒバクシャ」を出さないために未だ危機的状況にある福島核事故の本当の収束と核エネルギー政策の抜本的な見直し策を練り上げ発表すべきでしょう。驚くべき無責任と自覚のなさです。

     だいたい狭い国内に50機以上の核発電所が存在し大量の使用済み燃料を抱える日本は、「勇ましい」戦争などできませんし、都市構造一つみてもそうです。
    昨日のブログで紹介した芝田進午氏も、1984年に次のように指摘しています。
    「日本のように人口密度が高く、貿易に依存し、しかも原発が稼働している高度に発達した工業国の小さな国土において、通常兵器を用いる場合であっても、外国軍の侵略戦争に対して「正義の防衛戦争」を遂行しえない。それは、民族の滅亡をもたらす危険がきわめて大きい。この点で、「日本国憲法」が国家主権の一つとしての「交戦権」を否定し、一方的な軍備撤廃を宣言していることは、核時代における階級闘争の一つの形態の変化を先取りしたものとみなすことができる」(「核時代〇彖曚氾庫勝彑通攴馘后

     自民党の「草案」では、国家権力が国民に服従を強制する一方、核戦争(核発電所への通常兵器による攻撃を含む)により民族の滅亡をもたらしかねない危険極まりないものと言えるでしょう。
     技術的に未完成な核発電を正力松太郎とともに安全を無視して導入した張本人であり、日本をアメリカの核戦略の「不沈空母」にすると公言した中曽根康弘元首相が先頭にたって憲法改悪を叫んでいることがその愚かさと罪深さを象徴しています。

    【参考】核時代における日本国憲法の先駆性
    「核時代〇彖曚氾庫勝廖弊通攴馘后砲納播沈萓犬麓,里茲Δ忙愿Δ靴討い泙后

    「1945年8月6日と9日、ヒロシマとナガサキの市民にたいし、“人類絶滅にいたるような最初の犯罪”がおこなわれた。いまにして思えば、この時にはじまる核時代とともに古典的な戦争観は転換することをよぎなくされた。いまや、いかなる場合にも、核兵器を使用すること、すなわち“核戦争”、より正確には“人類絶滅”をはじめることは、絶対的な悪であり、人類に対する犯罪であるとして糾弾されるべきであるという平和の思想が提唱されなければならない段階になった。この点で、「日本国憲法」の前文ならびに第九条は、このような核時代の平和の思想を先取りしたということができる」

    「そのもっとも代表的な公文書は「日本国憲法」(前文ならびに九条)にほかならない。「日本国憲法」こそ、「核時代」の意味をいちはやくとらえ、「核時代の新しい哲学」、「軍備撤廃についての新しい哲学」をさきどりした画期的な国際的文書、一方的軍備撤廃の宣言文書であったし、また現にそうであるといえよう」

    「新国際秩序の形成にとっての「日本国憲法」の先駆的意義について強調したい。(中略)だが、この画期的な人権宣言は、不幸にして、日本政府によって無視され、踏みにじられてきた。そして日本政府は、「日米安保条約」を保持し、日本軍国主義を復活し、軍備を強化しつづけている。そしてこれこそ、旧国際秩序の政治の復活にほかならない。このような旧国際秩序の古くさい精神と制度を放棄し、それらを「日本国憲法」の精神とそれにふさわしい制度、すなわち新国際秩序の精神と制度でとってかえなければならない。これこそ、日本人としてのわれわれの義務なのである」

    Posted by : 川本幸立 | 憲法 | 09:16 | - | - | - | - |
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