市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

「従来の枠組み」(= 嵬燭茲蠅皀ネ」の政府、原発マネーに頼るしかない「地元」、E杜浪饉劼らカネをもらった委員が多数の審査機関)を変えることが再稼動阻止の道
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     ●「再稼動安全基準」は、「一次評価」を化粧直ししただけの茶番

     関西電力大飯原発3、4号機について、ストレステスト「一次評価」だけでは原発再稼動の世論がつくれないとわかると、野田首相と枝野経産相ら3閣僚はたった2日間で「再稼動安全基準」をつくり、6日夜この新たな判断基準を決定しました。関電は週明けにも中長期についての安全対策についての実施計画を提出する方針と報道されています。
     来週にも枝野経産相が福井県を訪問し、西川知事らに再稼動を要請するようです。
    (「毎日」4月7日朝刊)

     安全基準では、大飯原発では、防波堤のかさ上げ、免震事務棟の新設、発電所へのアクセス道路の整備、フィルター付ベントの設置は後回しとし、「すぐできるものだけをつまみぐい」(井野博満・東大名誉教授、「毎日」同)したもので、結局ストレステスト「一次評価」の化粧直しに過ぎません。

     一方、藤村修官房長官は5日の記者会見で、「法律などで地元の合意は義務付けられていない」と地元の同意は必ずしも再稼動の前提条件にならないとの見解を示し、「同意を得ているかは政府が判断する」と述べたそうです。(「毎日」4月6日朝刊)
     東電福島第一原発事故による地域の悲惨な実態をみれば従来の法律や枠組みがもはや通用しないことは明らかです。そもそも憲法では国民主権を規定しています。再稼動云々を議論する前に、欠陥だらけの法律や枠組みを根本から改めることです。

     野田民主党政権は今や、権力欲だけで政治「家」になり、公約した事はやらず、公約にないことばかりを実行しています。国民の多数が反対してもそれを無視することを「リーダーシップ」の発揮と強弁し、「命より経済=カネ」を信条にするバカ殿閣僚の寄せ集まりという実態をさらけ出しています。これが松下政経塾の「教え」ということなのでしょう。

    ● 昨年6月の政府方針と、歴代政権の地域振興策の抜本的な見直しを

     プラント技術者の会が編集したストレステスト評価Q&A「原発・危険な再稼動への道」にも指摘されていますが、ストレステストを行う政府の方針は昨年6月18日の経産相の声明から一貫して、
     仝業の再稼動は震災復興と日本経済再生のために不可欠だ。
    ◆_畊鷸故を及ぼした施設の損傷は直接には、「地震ではなく津波と水素爆発による」もので「従来の枠組みで問題ない」し、「安全の確認も行われている」けれども、国民・住民から疑問の声が多いので、ストレステストを実施することとした。
     ストレステスト結果の妥当性は「従来の枠組み」で確認する。
    というものです。

     本来、この昨年6月の「政府の方針」と、政府が全国総合開発計画で一貫してとってきた原発にすがらないと存続できない「地域振興政策」の2つを抜本的に見直すことが不可欠です。「命・健康よりもカネ」の政府、原発マネーがないと存続できない立地「自治体」(=「地元」)、電力会社からカネをもらった委員が多数の審査機関という「従来の枠組み」では、「再稼動」の方に向かうのは明らかです。

    ● 原発マネーを受け取る委員が多数の審査機関
     〜ストレステスト意見聴取会の奈良林直氏(北海道大学大学院教授)も150万円

    朝日新聞によれば、原発の安全性を審議する福井県原子力安全専門委員会の委員12人のうち、4人が2006〜2010年度に関西電力の関連団体から計790万円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けているそうです。

     また、経産省の原子力安全・保安院のストレステスト「意見聴取会」の11人の委員のうち、司会進行役の岡本孝司(東大)が200万円、阿部豊(筑波大)が500万円、山口彰(阪大)が3億円超が原発マネーとの関わりを指摘されてきました。
    4月2日の「しんぶん赤旗」は、新たに奈良林直委員(北海道大学大学院教授)が150万円の奨学寄付を受け取っていることを報じています。情報公開で入手した2006〜2010年度の奨学寄附金の実績ということですが、同紙によると、「奨学寄付」は、企業や団体が「研究助成のため」などとして、寄付先の教授を指定して大学経由で行っているものの、使途については報告義務はないそうです。

     昨日のブログで紹介したワクチン問題では、タミフル薬害で、タミフルの副作用とその因果関係を評価する厚労省研究班に、タミフルを販売する製薬会社から金銭が渡っていることが明らかになり、寄付を貰っていた3名が研究班からはずされました。まだ厚生労働省の方がマシということでしょうか?

    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 22:46 | - | - | - | - |
    首都圏を壊す危険のある東電福島第一原発4号機の脆弱性
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        1日夜も福島県沖を震源とするM5.9の地震がありました。地震のたびに多くの人が心配するのは東京電力福島第一原発4号機の核燃料プールの崩壊です。

       昨年10月13日付けの保安院の「東電福島第一原発 現状の原子炉建屋の耐震性について」では、東電の報告書を検討した結果として、4号機の燃料プールも含めて「今後発生する可能性のある地震(基準地震動Ss)に対して、耐震安全性の確保ができないおそれがある箇所はないことを確認した」と評価し、「問題ない」と結論づけています。

       しかし、東電の報告書では、
      ・「倒壊に至るまで安全」という誤った考え方を前提にしていること、
      ・3.11では基準地震動600ガルを上回る地震動675ガルが観測され、基準地震動を根本から見直して再評価することが求められていること、津波高さも同様であること
      ・外観確認して損傷をチェックしたというが鉄筋などの状態(弾性、塑性)は目視では判断できないこと、さらに材料の経年劣化も考慮する必要があること、
      など、すべてが甘く見積もられているように思います。

       ちょうど2日の「毎日新聞」朝刊「風知草」で、「宙に浮く燃料プール」のタイトルでこの燃料プールのことが書かれています。

      「東電は大丈夫というが、在野の専門家のみならず、政府関係者も「やはり怖い」と打ち明ける。どう怖いか。
       4号機は建屋内のプールに合計1536本、460鼎發粒貿確舛ある。建屋は崩れかけた7階建てビル。プールは3,4階部分にかろうじて残り、天井は吹っ飛んでいる。
       プールが壊れて水がなくなれば、核燃料は過熱、崩壊して莫大な放射性物質が飛び散る」
      「政府がまとめた最悪のシナリオも4号機プール崩壊を予測。さらに各号機の使用済み燃料も崩壊し、首都圏住民も避難を迫られるというのが最悪のシナリオだ」

       東電の判断で、「石棺」のように固めず支柱の耐震補強工事にとどめたのは、「石棺はダムを一つ造るようなもので高くつく。株主総会(昨年6月)前だったから、決算対策で出費を抑えようとしたと思います」と当時の事情を知る政府関係者が語るといいます。人命より我が身、カネを優先する東電のトップの救いようのない体質です。
      さらにこの関係者は、プールの強度について
      「海水を注入しており、部材の健全性(コンクリートの腐食、劣化)が問題。耐震強度の計算にも疑問がある。応急補強の間にプールから核燃料を抜くというけど、3年かかる。それまでもつか」と語っています。(「毎日新聞」4月2日朝刊「風知草」より)
      実際には3年でおわる目途もまったくないようです。

      稼動していない原発も膨大な量の使用済み燃料を抱えており、大地震、津波、ヒューマンエラーなどでいつ大惨事がおきるかわからないから日本全国どこに逃げても同じ、と言う人もいますが、しかしそれでも最も危ういものの一つが4号機であることに間違いありません。

      ●「資本主義宗教」にどっぷりつかった事業者、政府、原子力複合体の人々

      イタリアの哲学者のジョルジョ・アガンベンさんの発言が、壊れゆく「資本主義宗教」という見出しで紹介されています。(「毎日新聞」3月24日)
      「資本主義は経済思想というよりも一つの宗教だ。しかも、ただの宗教ではなく、より強く、冷たく、非合理で、息の詰まる宗教だ。資本主義を生んだキリスト教のような救済、しょく罪、波紋もない。」
      「(フクシマで明るみにでたのは)資本主義を率いてきた人々の思慮のなさだ。それが、国を破壊するということでさえ、日常のことのように思う感覚をもたらしたのだろう」
      「そこにもまさに資本主義宗教の非合理性が見える。国土がさほど大きくない国に50基もの原子炉を築いてきたという行為は、国を壊す危険を冒しているのだから」

      ともかく崩れゆく「資本主義宗教」にどっぷりとつかった事業者や政府、原子力複合体の人々と共倒れになるのはゴメンです。

      Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 09:01 | - | - | - | - |
      「わかりやすい放射能と放射線の知識〜汚染食品から子どもを守る方法」(岐部健生・著、エネルギー政策を考える千葉市民の会・発行)の薦め
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        1日午後は、ちば市民放射能測定室「しらベル」の開所式に参加しました。
        振り返れば 4月1日は、「エネルギー政策を考える千葉市民の会」の設立から丸一年になります。
         ようやく「わかりやすい放射能と放射線の知識〜汚染食品から子どもを守る方法」(岐部健生・著、エネルギー政策を考える千葉市民の会・発行、B5−76頁、頒価400円)ができあがりました。

        ところで、1日から食品に含まれる放射性セシウムの新基準が施行されました。暫定規制値との比較では、飲料水200ベクレル/kg→10、牛乳・乳製品200→50、一般食品500→100、乳児用食品500→50、と従来の1/4〜1/20となります。
         この新基準は食品からの被ばく限度を年間5mSv→1mSvに変更したことに対応するといいますが、もともと法令で定める一般成人の年間被ばく(外部被ばく+内部被ばく(呼吸+水+食物))量の上限1mSvと比べると、「緩和」されたといえます。外部被ばく量が多い地域は食品についてより厳しい基準が適用されるべきです。
         
         本書では、暫定基準値と新規制値の評価や、乳幼児に対する食品の放射性セシウムの濃度は10ベクレル/kg以下が望ましいこと、被ばく量の超概算方法などが記されています。
        市民測定室で食べ物中の放射性セシウム量を測定すれば、より身近に値を把握することができるでしょう。是非、ご一読をお願いします。
        110402-1<購入はこちらから>

        ちば市民放射能測定室開所式にて
        110402-2120401-3
        Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 07:40 | - | - | - | - |
        ぜひダウンロードを 「原発・危険な再稼動への道〜ストレステスト評価Q&A」の薦め
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           私も加わる「プラント技術者の会」では「ストレステスト評価」の実態を一人でも多くの人に知って欲しいと思い、今までの調査研究成果などを踏まえて、急遽ブックレット「原発・危険な再稼動への道〜ストレステスト評価Q&A」(A4−41枚)を完成しました。

           下記から無料でダウンロードできます。
           (http://park1.aeonnet.ne.jp:80/~foisj/stpamph.html
           ぜひ、ご一読ください。

          ●原子力安全委員会、大飯原発再稼動の判断を「命よりカネ」の4閣僚に丸投げ!
          〜百害あって一利なしの原子力安全委員会は直ちに解散を!

           23日、内閣府原子力安全委員会(http://www.nsc.go.jp/)(班目春樹委員長)は福井県おおい町にある関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト一次評価を「妥当」とした経産省原子力安全・保安院の審査書を「了承」しました。開催時間はわずか5分。

          委員会後の記者会見で班目春樹委員長は、次のように答えたといいます。
          「(一次評価を)妥当という書き方はしていない」
          「安全委員会は安全性の確認を求められているのではない。あくまで総合的安全評価の、しかも一次評価の結果の確認を求められている」
          「プラントの再稼動は保安院の判断」
          「一次評価を運転再開と結びつけるのは政府の判断で、安全委員会として申し上げることではない」
          「世界的に見てストレステストと再稼動を結びつける国はない。それは一つの政治判断としてなされることで、安全委員会として何かを申し上げることではない」
          「総合的安全評価は一次と二次の両方がないとできないので、まずはとにかく二次評価をしてもらいたい」

           これは、安全には無知で平気で国民にウソを積み重ねてきた「命よりカネと統制」が大好きな4閣僚(政治に対するまともな理念などは持ち合わせず、単に権力を手中におさめたい世間知らずのバカ殿としか思えません)に再稼動の判断を任せることを容認しています。本来は、生命の安全は政治的判断を下す上で一番優先すべきものであり、安全性に関する科学的な評価と何ら相対立するものではありません。専門家であればその科学的知見を述べることは当然です。

           会議で何を決めたのか、そもそも原子力安全委員会は何をするところか、HPから第15回原子力安全委員会資料と速記録をダウンロードして読みましたが、大飯原発が安全だとも再稼動可とも書いてはいません。
           一方、原子力安全委員会の使命については、「原子力安全委員会の使命は、原子力利用時の安全確保を確実なものにすることにあります」「専門家の立場から、科学的合理性に基づいて、安全確保のための基本的考え方を示し、改善・是正すべき点については提言や勧告を行うことによって、行政機関や事業者を指導します」「情報公開や国民との対話を進め、原子力安全への信頼を高める努力を続けます」とあります。
           これでは原子力安全委員会による「使命の放棄」宣言に他なりません。
           原子力安全委員会は直ちに解散すると同時に、委員(旧も含めて)は福島事故に対する刑事・民事責任を厳しく問われるべきです。
          ともかく、こんな無責任社会が横行するようでは、大阪の橋下市長らが進める「日の丸・君が代」強制と管理による「思考停止」「品格も個人の誇りもない」教育とセットで、ますます日本の「愚民社会」化の進行が危惧されます。
           

          Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 17:53 | - | - | - | - |
          原子力、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーを含め科学の存在理由は「人権の保障に寄与すること」ではないか〜「人権より秩序」を前提にした「リスク」「危機管理」論が跋扈するおかしさ
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             ●現憲法の人権論の視点で「科学のあり方」「科学者の責任」の議論を

             日本におけるバイオ時代の環境保全・公害防止の研究面及び法的規制の立ち遅れを克服し、人権を擁護することを目的として有志で「バイオ時代の安全性・環境研究センター」(現・バイオハザード予防市民センター)を設立したのが13年前の1999年の3月でした。(その年の9月30日にJCO東海事業所で臨界事故が起こりました。)
             初代の代表の芝田進午さん(国立感染研実研差し止め裁判原告団長(当時))が2000年7月のセンター会報に寄せた「人権論と科学論」と題する「科学を成立させる根拠、前提はなにか」に関する論考の中で、科学(science)と良心(conscience)が離れがたく結びついているように、科学は、広義には人間の権利(right)、狭義には人格権から切り離して論じてはならないものであること、倫理・良心・健全な良識(common sense)を前提にしてのみ、科学が成り立ちうるものであることが述べられています。
             私は、芝田さんの主張は現憲法(前文、11〜13条など)の観点から当然導き出されるものだと思います。

             2月29日の「朝日新聞」の「耕論」のテーマが「科学者の責任」ですが、学際計算統計物理学が専門という大阪大学教授の菊池誠氏の主張が「「危険」説明し極論広げるな」という見出しで紹介されています。「福島県立医大の山下俊一さんなんかは安全を強調しすぎて信用してもらえなくなった。よく聞くと極端なことは言ってはいないし、ある種の使命感で発言したんでしょうが、・・・」「安全・安心を求めるあまりリスクはすべて排除しろという「ゼロリスク信仰」も問題です。牛海綿状脳症」(BSE)であれば、全頭検査という極端な対策も不可能ではなかった」など・・・。

             残念ながら菊池氏の主張には、福島県民の人権の視点、あるいは人格権の尊重の上に立ち現代の最新の科学的知見と万全の施策を講じてリスクをゼロにするための予防策(=予防原則)をとることを怠ることに協力してきた科学者たちの責任、あるいは安斎育郎氏のような「反原発の論客」が排除される「原子力むら」の構造、大学の体質を問う視点がみられません。
            科学者の責任といえば、例えば、事業者のストレステスト結果報告内容を審議する「意見聴取会」(正式名称:発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に係る意見聴取会)の山口彰委員(大阪大学大学院教授)が三菱重工の関連企業から「受託研究」の名目で3385万円の研究費を受け取っていることが報道され、利益相反の疑いが指摘されています。
            (委員では他に、岡本孝司・東大工学研究科原子力専攻教授(200万円)、阿部豊・筑波大学大学院システム情報工学研究科教授(500万円)がいます)

            菊池氏には、「秩序」の視点ではなく、現憲法の「人権」の視点で勇気をもって自らの足元の大学の体質を問う意見を発して欲しいものです。
             
            ●    ナノテクノロジーの課題
             
            先日深夜のNHK・BSで3日連続で放送されたナノテクノロジー(ナノテク)のドキュメンタリー特集を観ました。基礎となる単位の「十億分の一」を意味するナノ(n)と言われてもピンときませんが、例えば60兆個(成人)の細胞で構成される人体でDNA一個の大きさが2nm、原子間の間隔が0.12〜0.15nmと言われると、その超微細さを少しは想像できます。しかし微細物質であるアスベスト(発がん性)や車の排気ガス中のSPM(ぜんそく)の危険に私たちは今もさらされています。番組では最初の2日間はナノテクが医療、環境など多方面で多くの課題を解決するバラ色の世界(脳などの生命機構がナノテクそのもの)が語られ、3日目にナノテクのリスク(組織内に入り込み細胞などを損傷する健康被害の可能性)が紹介されました。

            ちょうど手元にある「DNA通信」(122号、2012年1月19日発行)で、天笠啓祐さんが「原子力・バイテク・ナノテク」を人間がコントロールできない「非人間的技術」であり、生命と相容れないとし、ナノテクの危険性について次のように指摘しています。
            「市民は、ナノテクが持つ潜在的な危険性を知らされないまま、数多くの応用された製品をすでに使用している。特に商品化が進んでいるのが化粧品である。問題は、ナノレベルの物質が粉末状態で飛散し、いったん肺の中に取り込まれると排出が困難となり、細胞や組織を傷つけることである」「界面活性剤のような体の表面を守る脂を溶かすものが存在すると、皮膚から体内に侵入する危険性が強まる」

            すでに化粧品、抗菌剤、スポーツ用品、繊維製品、電池、電子機器など広範囲に使われ始めているカーボンナノチューブの発がんの危険性について、名古屋大学大学院の生体反応病理学のチームがラットの腹腔内に投与して発がん性(中皮腫)があることを突き止めたことが昨年11月に報道され、大阪大学の堤康央教授(毒性学)の実験や産業技術総合研究所の動物実験などの結果からも「発がん性や胎児への影響を示す結果が相次いでいる」と警鐘がならされています。(「週刊金曜日」2012.2.12)

            ●昭和電工との19回目の協議会開催〜不十分な「想定外の想定」

            前掲の週刊金曜日の記事によれば、昭和電工(昭電)は1996年に川崎事業所で世界初となるカーボンナノチューブ量産に入り、07年には年産100邸09年には大分コンビナートで年産能力400鼎領婿困魍始したと公表しているそうです。

            ・土気研究センターでの遺伝子組換え実験の取りやめを表明

            その昭電の研究開発センターが土気の工業団地にありますが、この研究開発センターと地元町内自治会との第19回目の環境安全協議会が2月25日(土)午後開催され私も委員の一人として参加しました。この協議会は1994年に千葉市立会のもとで締結した「環境安全協定」に基づいて95年は2回、96年以降は毎年1回開かれてきました。双方7名ずつの委員が参加して、〜闇1年間の安全管理報告、∋楡瀑睥ち入り調査、0汰幹浜関係の書類の閲覧、ぜ禅娠答、というものです。

             今回の協議会では昭電側より、開設以来行ってきた遺伝子組換え実験(目的:バイオ技術を利用した機能性ケミカルズの模索)を今年から川崎で行うこととし、今後、未来永劫とまでは言えないが、土気の研究開発センターでは行わない、という報告がありました。

             93年に千葉市あてに提出した陳情書では、私たちが危惧することとして、^篥岨卅抜垢┝存海砲茲襯丱ぅハザード(生物災害)、化学物質や実験動物の取扱により有害物質が廃水、排気などを通じて漏出すること、昭電の公害体質(新潟水俣病、塩尻粉じん公害、遺伝子組換え食品事故など)、の3点でした。その点では,解消されるということになります。

            ・震度7の地震動は想定外

             ところで今回の協議会の焦点は、昨年の3.11を踏まえ、「大地震動時などの想定外のシビア・アキシデントへの対策」でした。3.11の震度は5弱で所内の棚類の転倒などなかったという報告でした。

             私たちの質疑に対し、昭電は大地震動については、
            「地震発生後、土気の耐震診断を再確認しました。
            建物の設計強度は、震度6強をクリアーしています。 
            新耐震設計法を満足しています。法的には強度増しの必要はありません。
            敷地地盤診断の結果、液状化危険の心配はなしと判定されています。」
            と回答しました。
             確かに立地上、津波の心配はなく、液状化も心配する必要はないようです。
             しかし、新耐震設計法は、建物の継続使用や危険物の漏えい防止を保障するものではなく、あくまで倒壊などによる人命の安全を念頭においたものです。
            終局耐力はどのくらいで、「想定外の震度7」の大地震動(継続時間、周期特性も危険側で考慮)が来た時に倒壊しないのか、建物と地盤の動的相互作用はどうなのか、その場合の危険物の漏えい防止策はどうするのですか、ということが私たちの質疑の趣旨でした。
            しかし、昭電側は建設(設計)業者まかせで、耐震設計や地震動に関する知見もなく、そこまで「想定」が及ばなかったようです。
            たとえ「専門」外であっても自らの頭でしっかり考えるという自立(律)の姿勢、そして常に「安全を疑う」という自らに厳しい姿勢をみせて欲しいものです。
            それが「公害体質」脱却につながると思います。

            Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 15:29 | - | - | - | - |
            国民に賠償負担を当然のように求める電力会社の企業体質はどこからきたのか?! 〜電事連会長の「国は賠償負担すべきだ」発言を考える
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                電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は17日の記者会見で、原発事故の対応で「原子力は国策でやってきた」から「国は賠償負担すべきだ」と主張したことが報じられています。「国」を「国民」に置き換えて、東電の西沢俊夫社長の「値上げは権利」発言、社長年収7千万円超を含め破格の社員報酬を重ね合わせてみると、地域独占企業としての電力会社の異様ともいえる傲慢さを感じます。

              ●原発が安いというウソをついてきたのは誰か

               なぜ原発が推進されてきたのか? 
              よく「電気をたくさん使いながら、原発反対はけしからん」と主張をする人がいます。しかし、他の発電方式と比較して原発による発電コストが最も「安い」というのが政府や電力会社の原発推進の「口実」でした。
              一方、経済学的には、「(電力を)たくさん使うのは、安いからであって、必ずしも必要だからというわけではない」のです。(「確率的発想法」小島寛之著、NHKブックス)

              しかし原発発電コストが一番安いというのがウソだったことが明らかにされつつあります。
              実際の直接に発電に要するコスト(円/キロワット時、1970〜2010年度平均)は、原子力10.25、火力9.91、一般水力3.91、揚水53.07で、電力需要の調整のための揚水発電を除外すると、原子力は経済性に最も劣る電源であることが指摘されています。(「原発のコスト」大島賢一著、岩波新書)
              これに政策コスト、事故コスト、核燃料使用後に生じるバックエンドコストをさらに加えなければなりません。

              ● 国民に賠償負担を当然のように求める電力会社の企業体質は、日本の資本主義経済のスタート時の経緯にある?!

               ところで国民に賠償負担を当然のように求める企業体質はどこからでてくるのか?!

               今私は、業務の合間に「千葉新産業三角構想」及びアクアラインによる地域開発の決算書をつくろうと様々な文献・資料に目を通しています。
              成田・幕張・上総を開発の拠点とし高速道路とアクアラインで千葉県内、東京、神奈川を繋いで県内の均衡ある地域振興を目指す「千葉新産業三角構想」は、約30年前に始まり、今は東葛地域を加えて未だに県開発の中心構想に位置づけられています。
               しかし、肝心の県も千葉大学などの研究機関もこの30年間の「三角構想」に基づく地域開発に対する客観的な分析や評価を行った形跡がありません。

               客観的な分析、批判がなければ、失敗した開発方式がいつまでも続けられ方向転換などはあり得ません。(「国際化時代の都市と農村〜ハイテク型地域開発の実像」地域開発研究会編、自治体研究社) たとえばテクノポリス型開発構想である上総アカデミアパークについては、80年代後半にはすでにテクノポリス構想の諸課題(本場シリコンバレーの課題を含めて)が明らかになり、上総地域の「内発的発展」との関連性の薄さは自明のことでした。当時の開発推進側の文献・資料を目を通しつつありますがその中身は「計画書」というよりは単なる「願望」の羅列としか読めません。
               
              そうした中で目を通した書物(「地域再生をめざして」山本英治・編著、学陽書房)に明治の日本の近代化は、
              ’戚韻らの金納による財政の確保とそれによる資本投資、
              △海旅餡蛤眄の投資で建設した資本主義的な生産施設・設備を無償かそれに近い金額で有力者に払い下げたこと、
              つまり日本の資本主義経済はスタート時から官営的性格が強く、国家権力と資本が一体化していたこと、
              により成し遂げられたとの記述がありました。(本来はこれに中国、朝鮮への侵略を加える必要があります)

               冒頭の国民に賠償負担を当然のように求める電力会社の企業体質は、こうした日本の資本主義経済のスタート時の経緯にあるように思います。

              Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 08:38 | - | - | - | - |
              被ばく者を治療せず「標本」扱いしてきた国の姿勢〜問われる医学者の倫理
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                  16日「毎日」朝刊は、重松逸造放射線影響研究所元理事長の死去を伝えています。放射線影響研究所の前身はABCC(原爆傷害調査委員会)であり、被爆者の治療はせず実験台(標本として採集)にしました。
                日米共同出資・運営の放射線影響研究所はその「遺体に群がるハイエナ」体質を引き継ぎ、理事長の重松はイタイイタイ病・スモン・水俣病などで国や企業の責任体質に貢献、IAEA(国債原子力機関)のチェルノブイリ事故報告も指揮して安全宣言を行い「放射能汚染より放射能恐怖症が問題だ」と言い放ったといいます。

                 この重松の弟子筋には元理事長・長崎大学名誉教授の長瀧重信、「放射能恐怖症こそ危ない」と講演した山下俊一がいます。共通するのはチェルノブイリ事故などでの放射線障害の過小評価です。山下は福島県民全員を30年にわたり追跡調査する県民健康管理調査検討委員会の座長になりました。福島県民は治療対象ではなく「標本」扱いのようです。
                (「問題だらけの福島県民健康管理調査」成澤宗男、週刊金曜日2011.7.22、「原発とアート」中沢啓治、週刊金曜日2011.8.5)

                ● 58年前の第五福竜丸の被ばく者は今も研究材料

                 同じ日の「毎日」朝刊の「ザ・特集」に「『死の灰』の教訓どこへ」の見出しで、ビキニ環礁水爆実験で被ばくした第五福竜丸乗組員の大石又七(78)へのインタビュー記事が掲載されています。

                大石さんは、
                「ビキニ事件と今回の原発事故は、内部被ばくを引き起こすという意味で本質的には全く同じです。ただ、私が吸ったり浴びたりしたのは約2週間だが、福島の人たちはまだその中で生活している。とんでもない話だ。」
                「放射線、原発をどうするか。国際競争で負けたくない指導者たちには、被ばくの健康影響を重く見ることに抵抗するから任せられない。一般の人たちがもっとレベルを上げて考えないと、この問題はいつまでたっても解決しませんよ」と話します。

                 大石さんは自身の狭心症、心筋梗塞、ぜんそく発作、肝臓がん、肺に腫瘍、不整脈、白内障などについて「これらは持病ではない。アメリカの核実験によって加えられた病気」としています。

                 そしてこの記事の中に稲毛区にある放射線医学総合研究所で「研究材料」として扱われた経験が語られています。

                −被ばくの後遺症を気にした大石さんは、ビキニ事件をきっかけに57年に設立された放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区、放医研)で年1回、健康診断を受け続けた。しかし、それも92年を最後にやめた。結果を問い合わせても、詳細なデータを示してくれないからだという。
                「肝臓がんも他の病院で見つけた。放医研にとって私たちは研究材料に過ぎないのではないかと感じたのです。福島の人たちに対する国の対応の鈍さを見聞きすると、変わっていないという印象を受ける。過去の被ばく者から得た教訓を生かそうとしない限り、私たちが歩んできた苦難の道が繰り返されるのではないか」
                 乗組員23人のうち既に14人が亡くなった。だが国は、久保山さんを除き、被ばくと病気の因果関係についての判断を示していない。被爆者健康手帳も交付されず、大石さんは今も通常の健康保険で治療を受けている。(「毎日」朝刊、2012.2.16)

                Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 18:22 | - | - | - | - |
                原子力安全・保安院、はじめに再稼動ありきの「大飯は妥当」表明 〜関西電力大飯原発3号機及び4号機のストレステスト一次評価審査
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                    経済産業省原子力安全・保安院は13日、関電が提出した大飯原発3号機・4号機の「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価」(ストレステスト)について「妥当」とする審査書をまとめ、内閣府原子力安全委員会に報告しました。

                   去る2月8日のストレステスト意見聴取会では、メディアはほとんど報じようとしませんが「ストレステストを再稼働条件とすることの非論理性」が一層明らかになっていました。(下記のA氏の意見聴取会傍聴記参照)
                   原発メーカーから寄付を受けた御用学者が主導し傍聴者を締め出す意見聴取会(1月17日ブログ参照)においてすらそういう実態です。しかし、メディアの「言論統制」は徹底しています。
                   
                   意見聴取会委員の井野、後藤両氏の緊急声明を以下に転載します。

                  ●関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明(2月13日)

                         ストレステスト意見聴取会委員 井野博満・後藤政志

                   原子力安全・保安院は、本日、関西電力大飯原発3・4号機の一次評価を「妥当」とする審査書を原子力安全委員会に提出しました。私たちは、このような拙速なやり方は、とうてい認められません。

                   2月8日の第8回意見聴取会では、様々な技術的な課題が残されていることが明らかになりました。原子力安全・保安院も、その場で議論を終了するとは明言しませんでした。当然、継続審議となると思いました。審査書が原子力安全委員会に提出されたことに対して意見聴取会の委員として抗議します。

                   ストレステスト意見聴取会では、徹底して議論を尽くすことが、国民に対する原子力安全・保安院の責務です。次のような根本的な問題が残っています。

                  (1)判断基準について、保安院は「福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波が来襲しても同原子力発電所のような状況にならないことを技術的に確認する」としています。しかし、津波の想定は11.4メートルで、福島事故の14メートルよりも低くなっています。そもそも、福島事故は収束しておらず、原因もわからない状態です。

                  (2)評価の対象、基準の適用について以下の技術的な疑問があります。
                  制御棒の挿入性を検討の対象から外しています。
                  基礎ボルトなど機器の強度については、安全率を削って評価しています。
                  原子炉建屋などの構造強度に関わる許容値について、耐震バックチェックの基準より甘い許容値を適用することを認めています。
                  本来の設備は福島原発事故前から改善せず、消防車や非常発電装置などの外部仮設設備だけで安全だとしています。
                   
                  (3)ストレステストは、過酷事故対策の検証を含めた二次評価と合わせて評価しなければ、地域住民が安全性を判断する上では意味がありません。
                  電力事業者は、原子力安全・保安院の指示により、これを2011年末を目処に提出するはずでしたが、関西電力は二次評価結果を未だに提出していません。

                   原子力安全・保安院が、現時点で「妥当」としたことは、はじめに再稼働ありきの見切り発車と言わざるを得ません。このような姿勢こそが、福島原発事故を招いた要因です。このように原子力安全・保安院は、規制当局としての役割を十分に果たしていません。まずすべきことは、自らのありようについて根本的な反省をすることです。

                   本日の審査書の提出は、「安全性に関する総合的評価」とされるストレステスト評価の体をなしていません。
                                               以上

                  ●第8回ストレステスト意見聴取会の報告(2月8日開催、A氏記・後藤委員随行員)
                   
                  (1)議事にあたって
                  1. 出席委員は8名(阿部、佐竹、高田委員は欠席)
                  2. 本館17階の「国際会議室」にて開催。傍聴者は建物さえも隔離し(別館)、モニター視聴。
                  3. 議事は‖臠咤魁4号機の評価、伊方3号RCPシールLOCAの件のみの議論で時間切れ。美浜、高浜、敦賀、川内、玄海等の議題は次回に持ち越された。
                   
                  (2)大飯3,4号機報告書へのIAEAレビューについて
                  IAEAレビュー結果の「予備的な要旨」(資料8-1-1)について、後藤委員より「IAEAはST手法についてレビューしただけであり、大飯報告書の中身(裕度や安全性)について言及しているものではない」、「たった数日のレビューで分かることは限られている」との指摘あり。井野委員よりは別途、IAEAレビュー要旨に関する5項目の質問書が提出されており(資料8-1-3)、「整合すべき対象であるIAEAの安全基準」が明確でないこと、IAEAが指摘している「許容安全余裕の定義の事業者への伝達」がなされていないこと、などが指摘された。
                   
                  (3)大飯3,4号、保安院作成の審査書(案)(資料8-1-2)に関する主要議論
                   
                  1. 前回(1月8日)に提示された審査書(素案)を一部委員のコメントも採り入れて修正したとのこと。保安院より修正部分(下線表示)の早口(聞き取り難)説明あり。
                   
                  2. 計算結果について、後藤委員は「建物の許容ひずみ値を4.0E-3まで拡大することは問題であり、更に、4.0E-3を超えても大丈夫だという評価は許されない。3.0を超えると固有振動値も異なってくる」と指摘。井野委員も基礎ボルトの例を引き、「評価で数値が不足すると、実力値を持ち出して、許容値を上げてくる。安全率を吐き出すことであり、理解は得られない」と指摘。保安院は、「規格基準から外れた許容値の採用は報告書内にその理由を明記している」としているが、許容値の安易な底上げが各所で見られる。
                   
                  3. STによる結果数値について、後藤委員は「諸条件の無謬性を前提に導き出された結果(耐震裕度1.8といった)にどれほどの意味があるのか?」との疑問を提示。他の委員たちからも、渡邊委員「数字にはどの程度の保守性や不確実性があるのか?」、「確率論的安全評価(PSA)等、他の評価方法との組合せも必要」、西川委員は「STは改善のためのツールであり、数値を出すことが目的ではない」、「本当らしい数値が出されているが、ありえない。1.8等の独り歩きは拙い」等の意見が相次いだ。
                   
                  4. これらを踏まえて、井野委員は「STは発展途上の手法であると理解する」、「少なくとも、被害想定を含めた二次評価を併せないと、安全評価として成り立たない」と、不十分なST一次評価をもって再稼働へのステップとしてはならないと主張。
                  一方、保安院の市村課長は、二次評価については事業者に提出を促していくものの、一次評価だけでも意味はあると考えるので、それをもって地元理解と政府による政治判断を求めていきたいと政治日程優先の考え方を述べた。
                  後藤委員は「福島で3炉も炉心溶融を起こしていながら、一次評価では、そこまで踏み込んでいない」と批判、井野委員は「三大臣に応える形でスタートしたものの、議論の結果、一次評価の結果だけでは(稼働)合否の判断となりえないことが判明した。地域にも説明は出来ない」と主張。更に、「計画書によれば、二次評価は2011年末を目処に報告することになっているにも拘わらず提出されていないのは事業者と保安院の怠慢である」と指摘した。
                   
                  5. 「審査の判断基準」について、保安院、市村課長は、審査書案第12章に記述しているように、「福島第一を襲った地震・津波が来襲しても、同じような事故に至らないこと」としていると。それに対して、井野委員は「福島事故の検証も済まないうちに、どうしてそんなことが言える?」「"同じような"の定義は?」との疑問を投げかけ、曖昧さは判断基準とはなりえないと指摘し、再検討を求めた。
                   
                  6. 審査書について、後藤、井野両委員からは、「燃料棒問題等、未回答事項が多く残っている」、「聴取会委員のコメントをしっかり反映のこと」、「本検討には"考慮されていない"事項を明記のこと。でなければ評価の網羅性が誤解される」等の意見が出されたが、市村課長は、「頂いた指摘を踏まえ、保安院の責任をもって審査書を取り纏めたい」と、これらの意見の反映については明確に応えなかった。
                   
                  7. 最後に後藤委員より、「聴取会は公開を前提に始めた。ルールを定めた上で傍聴体制に復帰させてもらいたい」と主張。市村課長は、「環境を整えることが出来るかどうか、指摘を受け止めて努力はする。対応は考えたい」と述べた。
                   
                  (4)感想
                  そもそも、原発の安全評価手法としてのストレステストの有効性への疑問、基本的にはフクシマ前と何ら変わらない審査の体制と進め方への疑問、数値的にも多くの問題点が指摘されている大飯報告書、等々、多くの基本的な問題点が未解決のまま、保安院は政治日程を最優先して大飯3、4号の最終審査書を原子力安全委員会に送ろうとしています。このことは勿論「予め予測されてはいた」ものの、井野、後藤両委員による意見聴取会での一貫した追及により、多くの市民の前にいっそう明らかにされたと思います。多くのマスコミによる「これで再稼働へのステップが一歩進んだ」という政局優先の解釈を許さずに、この意見聴取会で明らかになった「ストレステストを再稼働条件とすることの非論理性」をいかに立地地域住民、多くの市民、議員、首長たちと共有することが出来るかが今後の課題だと思います。意見聴取会では引き続き、大飯3,4号の問題を採り上げると共に、伊方や美浜、玄海、泊、等々に特有の問題点も指摘せねばなりません。地域との一層の連携の必要性を痛感します。そのためにも、11月14日以降、8回の意見聴取会を通じて明らかになったストレステストの諸問題点を改めて整理し、それぞれの場で公表、共有していく作業が必要です。ご協力をお願い致します。
                   

                  Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 22:48 | - | - | - | - |
                  韓国の原発と市民運動
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                     韓国の原発と市民運動

                     今朝7日「毎日」朝刊は、トルコの黒海沿岸のシノップ原発建設事業(4基、2000億ドル)をめぐって、トルコのエルドアン首相が5日、李明博大統領と会談し、事業参入について交渉を再開することで合意したことを報じています。

                     ところで、韓国の原発は、22基が稼働中で総電力消費量の45%を占め、設備利用率は約95%、フランスに次ぐ世界第2位の原発密集国です。22基の内、16基が日本海側に集中しています。
                     現在建設中・試運転中の4機を含め2021年までにさらに10基の稼動を計画し、そうなると日本海側には26基となるそうです。これらは朴政権時代の核兵器開発計画の野望と無関係ではないようです。ともかくこれだけあるとミサイル迎撃などと勇ましいことを言っていられないでしょう。
                     1978年4月に稼動した古里原発1号機(釜山駅から40繊⊃邑110万人の蔚山の中心街から25繊砲郎鯒までに計127回、年間平均3.84件の事故・故障が発生し、古里4号機でも4月19日の感電事故で主電源が切れ非常電源によって稼動したそうです。
                    (「韓国の原子力発電所の現状〜釜山・古里原発を中心に」岡田卓己、バイオハザード予防市民センター会報第70号2011.11.22、より)
                     
                     ちょうど、脱原発世界大会の折りに来日した李大洙(イ・デス)さん(韓日100年平和市民ネットワーク運営委員長)の発表原稿の翻訳文(下記参照)が送られてきました。

                    テロ・軍事的脅威が喧伝され、好戦的な政策や偏狭なナショナリズムが跋扈する中、明日のアジアの平和を日本・韓国・在日コリアンなどの市民が協力して作り上げることは喫緊の課題です。 
                     一方、グローバル化が加速する世界の中で、貧困・雇用、自然保護・環境、地域振興・まち育て、食の安全、地方議会改革、選挙制度、メディアのあり方など両国の市民は共通する課題を持っています。これらについて日常的に情報を交換・共有し、継続した交流と必要に応じて連帯することも、日韓の市民の信頼関係の醸成と市民自治社会の発展に限りない大きな効果があるものと考えます。
                    韓国の原発で大事故がおこれば日本への影響は必至です。日本の脱原発の運動は、朝鮮半島や中国の脱・原発の取組みと繋がることが不可欠です。 

                    ●2012年1月16日、17日 韓日市民運動交流会「韓国の核発電と市民運動」
                    報告:李大洙(イ・デス)さん(韓日100年平和市民ネットワーク運営委員長)

                    目次  はじめに
                        1.選挙連合の試みと労働〜市民連帯の可能性
                        2.福島原電事故の影響と原発輸出
                        3.韓国の脱原発運動の再始動
                    4.韓国の緑の党創党の準備と期待
                        5.反李明博選挙連合形成と朴元淳ソウル市長の当選による変化
                        6.21世紀脱核の意義
                        7.韓日関係の新しい局面
                        8.脱核連帯を通した東アジア平和の可能性
                        終わりに

                    はじめに
                      1987年6月の民主化抗争から10年後の1997年12月、金大中政府はIMF経済危機の中で登場し、IMF早期終結と韓国民主主義の伸張、南北首脳会談とノーベル平和賞受賞という大きな成果を収めたにもかかわらず、新自由主義的な諸政策による雇用不安と各種の後遺症を残した。続いて2002年12月、盧武鉉政府が登場し、権威主義的政治の解体と国家均衡発展、戦時作戦権の(米国からの)回収準備、社会福祉と教育自治の拡大、済州(チェジュ)4.3事件の謝罪、強制動員真相究明委員会の設置、第2次南北首脳会談開催など諸々の改革的な政策を推進したが、民主党の分裂事態を招くなど選挙介入疑惑で大統領に対する弾劾危機を経験し、続く国会議員総選挙では市民の力で反転したりもした。
                      2007年12月の大統領選挙では、圧倒的支持により李明博(イ・ミョンバク)候補が当選し、一方的な米国産牛肉輸入に対する国民的なろうそくデモによる抵抗、ニュータウン開発と4大河川事業、親財閥政策と金持ち減税などの政策を推進し、社会福祉の縮小、金剛山(クムガンサン)観光の中断や天安(チョナン)艦爆沈と延坪島(ヨンピョンド)砲撃などの軍事的緊張、中産層の解体と貧富格差の拡大がなされている。巨大中国登場の中で、新しい冷戦の雰囲気が醸成されているが、一方では北アフリカと中東での民主化の風、ウォール街の占領示威を契機として全世界的に広がる99%運動は、変化している世界での新しい局面となっている。ヨーロッパ市民運動から出発した緑の党は、脱原発運動を促進する先駆的役割を果たしており、韓国でも創党が推進されている。
                      一方、双龍(サンヨン)自動車と韓進(ハンジン)重工業での解雇反対闘争は、国民的な共感を受け、大企業の不道徳性を浮き彫りにし、「労働者の生存権が尊重されなければならない」という、重要な社会的合意を形成した。またフクシマ以後、ドイツ、スイス、イタリアなど先進各国は脱原発を表明し、具体的には2020年または2030年と原発閉鎖時期を明らかにしており、今後の全世界的な脱原発運動に青信号が点ったといえる。

                    1.選挙連合の試みと労働−市民連帯の可能性
                      2009年4月、人口1,200万人の京畿道(キョンギド)教育監(日本の教育長に相当)補欠選挙で、市民団体と野党の支援による選挙連合を通じて、進歩的なキム・サンゴン教育監が当選する成果を成し遂げた。李明博政府の執権以後、初めて政治的勝利と変化の可能性を見せたということを意味する。2010年6月、地方選挙での野党連合の躍進、2011年10月のソウル市長補欠選挙での朴元淳(パク・ウォンスン)候補の当選、そして「百万民乱」、「革新と統合」(市民団体の名称)などの既成政党外の政治運動が民主党と統合して民主統合党(韓国労総の支持)を結成し、統合進歩党(民主労働党、国民参与党、進歩新党の一部、民主労総の支持)の結成を通じて、韓国政界が再編されている。あたかも、地球のマグマが地表面を突き抜けて溶岩を噴出するようである。
                      特に2010年6月の地方選挙と、2011年10月のソウル市長補欠選挙を通じて、野党の躍進の中で地方自治時代の基盤が強化され、住民参加の活性化、市民の政治的覚醒の拡大、半額授業料を主張して高額の授業料と金持ち大学の既得権化を拒否する若年層の政治関心と参加の急増、権力に屈服するKBSやMBCなど公営放送の限界の中で、ポッドキャスト(PodCast)1位の「ナ コムス(私はセコイ)」(訳注)の登場とSNSの急速な拡散と影響力増加とが、相互に影響を与えながら進行している。一方、釜山の韓進重工業の解雇に対抗し、クレーンに籠城中であったキム・ジンスク氏を支援するための希望バスの登場は、国民的共感を得て、政界が韓進会長の証人喚問などで問題を追及する中、韓進重工業解雇労働者の復職に関する合意が成立し、労働運動家キム・ジンスク氏の309日間のクレーン籠城が終了した。
                    (訳注) 「ナ コムス(私はセコイ)」の「ナ(私)」は、李明博や既得権層を指し、彼らの内実を鋭く風刺する PodCastインターネットラジオ

                      平沢(ピョンテク)の双龍自動車解雇者とその家族の相つぐ自殺という現実から登場した「希望のテント」、自営業の没落、貧富格差の加速化、社会葛藤の増幅、政治的不満の急増によって政治的な激変が予想される。無償給食住民投票の不成立によるオ・セフン ソウル市長の辞任で実施された10月の補欠選挙において、ハンナラ党議員補佐陣の選挙管理委員会のホームページへのDDos攻撃(訳注)、ハンナラ党の全党大会での「金封筒」散布事件などで、ハンナラ党は党解体という絶対的な危機状況に陥っている。

                    (訳注)計画的なサーバへの集中アクセスによって、サーバをダウンさせること。投票日当日の朝に実行され、これによって投票所の場所を知ることができなくし、若者たちの投票率を下げようとした疑惑がある。

                      一方、チュニジア発の市民革命が北アフリカと中東の民主化を促進させている。そして、米国ニューヨーク・ウォール街占領デモの拡散は、今日の知識情報化社会においてSNSを通じて急速に広がっている。情報通信と交通の発展の基礎の上で可能になったのだ。既に、20:80の社会から1:99の社会に変わっている今日、世界が68年革命以後、不道徳な金融資本の象徴であるウォール街占領デモと並び、韓国の「私はセコイ」インターネット放送の威力は、もう一つの世界的関心事になっている。

                    2.福島原電事故の影響と原発輸出
                      2011年3月11日、福島原発爆発の初期には、(韓国では)大々的な報道を通じて衝撃と緊張感が造成された。そして、ソウルの一部地域で放射能物質が含まれたアスファルト問題が露見し論議が続いたが、初期に政府と原子力安全委員会では「安全で問題はない」という発表で一貫し、さらに進んでUAE(アラブ首長国連邦)への原発輸出の成果を誇示した。さらには、原発ルネサンスを標ぼうし、「原発を成長産業として育成する」として、脱原発時代と逆行している現状だ。最近では、(フクシマ以降世界で初めての)原発追加建設候補地として江原道の三陟(サムチョク)と慶尚北道の盈(ヨンドク)を選定した。韓国は、東海岸の蔚珍(ウルチン)、月城(ウォルソン)、古里(コリ)と、西海岸の霊光(ヨンガン)に原発団地が作られており、総電力生産量の30%以上をまかなっている。特に、1978年4月建設された釜山広域市張機(チャンギ)郡にある古里原発の場合、寿命延長と老朽部品交替の不正が発覚し、老朽原発の閉鎖要求が強まっている。隣接した、360万人が生活している釜山(プサン)、110万人の蔚山(ウルサン)での活動が本格化している。中央集権的な朴正熙独裁政権下で、米国の支援と牽制の中で、1970年代から原子力発電所建設が試みられ、一方では核兵器開発との関連疑惑が絶えず提起されてきた。大量の電力を基盤とする産業構造、電気の過度の使用が日常化された状況、李明博政府によって気候温暖化の代案として提示されることさえした原発について、深刻性の認識はまだ低い状態だ。

                    3. 韓国の脱原発運動の再始動
                      環境運動レベルでは、脱核・反核運動が90年代から展開されてきたし、原発候補地域を中心に原発建設反対運動が地域毎に行われてきた。一方、核廃棄物処理場の設置反対運動は、西海岸の安眠島(アンミョンド)と扶安(プアン)で阻止する成果を上げたが、中央政府の主導で慶州(新月城)廃棄場設置が決定されてしまった。慶州は新羅の首都という長い歴史を持っているが、政治的には保守政党の基盤である嶺南(ヨンナム)地域にあり、遅れた地域という特性がある。しかし福島原発事故以後、慶南・釜山の古里発電所をはじめとして、地域毎の原発反対運動や、環境運動との連帯、関連団体を中心として脱核連帯運動が幅広く出現している。古里原発再稼働中止を要求するバスツアーを進行し、全国的な関心を集めることもした。その後、各界各層へと広がりを見せ、脱核エネルギー教授の会をはじめとして、2012年1月中に脱核法律家の会(ひまわり)、核ない世界のための医師会(反核医師会)、地域レベルでは京畿道の市民社会団体を中心に「1万人宣言」の試みなど、各種の宣言と連帯活動が進行中だ。一方、民主統合党は「原子力発電所の再検討」を綱領で決定したが、まだ具体的な方案を提示していない。最近では、朴元淳ソウル市長が、エネルギー使用の低減および再生可能エネルギーを広める政策を通して、原発1基分の電力代替計画を発表した。

                    4.韓国の緑の党創党の準備と期待
                      90年代からの緑の党についての関心と、この間少しずつ進行してきた緑の党創党準備が、福島原発事故を契機にはずみをつけ、2011年10月30日創党準備委員会が発足し、5カ所以上の道・広域市で各1000名以上の党員を集める創党を目標に活動中だ。脱核と脱土建を前面に押し出し、11月5日の京畿緑の党創党準備委員会を皮切りに、釜山、ソウル、忠南(チュンナム)、済州(チェジュ)などで広域地区党の創党準備委員会が活動している。2012年2月の創党(法的には5月初めまでが期限)を目標にし、1月中旬現在1800名以上の党員を集めた。6ヶ月内に、党員1000名以上の5カ所の地区党が存在してはじめて、中央党を創党できる現行政党法の敷居を越えられるか否かがカギだ。創党と2012年4月の国会議員総選挙への参加を通して、院内進出(2%で政党維持および国庫補助金が可、3%得票で比例1席)を当面の目標にして活動をしている。現在準備中の綱領は、地球緑の党憲章が提示している生態的な知恵、社会正義、参与民主主義、非暴力、持続可能性、多様性尊重などの価値を基盤として、韓国の現実に合うように修正補完する方式で準備している。緑の党員は、特に若い層と女性の参加が多い。そして、全世界的なネットワークを整えている緑の党を通した、アジアと地球的市民連帯、政治連帯の活性化を期待できると思う。

                    5. 反李明博選挙連合形成と朴元淳ソウル市長の当選による変化
                      去る2009年4月の京畿道教育監補欠選挙での反李明博の民主的市民候補の当選と、2010年6月地方選挙での野党の躍進を通じて、地方自治が一段階発展する様相を呈した。争点化した学校無償給食問題の投票無効によって行われることになった、2011年10月26日のソウル市長補欠選挙で、市民運動出身の無所属・朴元淳市長が当選した。既成政党が候補を出さずに支持する選挙連合を通した、ハンナラ党vs反李明博市民連合の対決構図は、いわゆる日本・東京の「国立市長選挙方式」でもあった。市民運動の政治参与と既成政党の限界と変化の必要性を提起しており、2012年国会議員総選挙と大統領選挙の様相を予告することでもある。民主統合党と統合進歩党の政党間の統合をもたらし、選挙連合の必要性を確認させてくれ、この過程で自らの躍動性と国民的関心を触発する国民参与型選挙戦という新しい試みをしている。朴元淳ソウル市長の当選後、ソウルでは無償給食の全面施行と拡大、市の非正規労働者の正規雇用、市民参与の拡大、漢江再開発などの土建経済の中断、原発1基の電力代替計画発表など、大きな変化が表面化している。緑の党(準)は、このようなソウル市の計画を積極的に歓迎し、追加的な方案も提示してきた。

                    6.21世紀 脱核の意味
                      米国による原爆開発と広島と長崎への原爆投下、それに続いてソ連が原爆を開発することによって、人類は原爆の時代に本格的に突入した。そして冷戦が激化し、東西両陣営間の武器開発、特に核兵器競争は水爆開発につながり、さらにいくつかの国家が原爆を保有することになり、米ソ間大陸間弾道ミサイル開発と配置など、軍事的緊張を拡大していった。そうした軍備競争の過程でソ連は敗れ、ソ連邦は解体されてしまった。
                      原子力の平和的利用という名目で始まった原子力発電所建設は、貧しい辺境地域に建設されることが一般的だ。そして、原子炉冷却のため原発は海岸に設置・運営されてきた。人類共同の資産である海が、深刻な危険に直面することになる。そうした海洋汚染は食物連鎖を経て、人間の食卓に影響を及ぼすことになる。そして、貧しい農民と漁民らが原発に就職したし、あげくの果てに、原子力発電所事故が起これば特攻隊として投入されることにさえなった。首都圏または大都市圏vs農村・漁村周辺地域という対比的関係を形成することになる。そして、都市と農漁村という収奪的関係を形成することになる。原発が設置・稼動する地域は、中央政府の補助金によって財政充当がなされることとなり、地域の自活力を喪失させ、地域の経済力を支える内包的な自らの産業基盤を持てなくなる。こうして生産された電気は、都市と産業地域で使うことになる。2次世界大戦後、冷戦と体制間競争の手段となった核兵器の廃絶と、大量生産と大量消費を可能にすることに寄与してきた原子力発電を中止し、21世紀には平和な地球のための持続可能な発展方式への転換が必要だ。
                      原発依存は、石油依存文明の危機からの転換とともに、人類の新しい挑戦となっている。文明的な転換が必要だという主張が大きくなっている。石油に依存する都市産業社会は、派手で豊かな繁栄と、便利な生活が普遍化しているが、その「繁栄」は先進一部国家の特権集団だけに付加集中してきたし、その少数者は金融資本主義の発展とともに「1%勢力」となり、その危機とともに「99%」からの挑戦を受けている。

                    7.韓日関係の新しい局面
                      2011年8月、韓国憲法裁判所で「日本軍『慰安婦』と原爆被害者問題解決に向けて、国家の努力不足は違憲」という判決が下され、外交通商部は日本と交渉することを要求されており、李明博大統領も野田総理との韓日首脳会談で「慰安婦」問題解決を促すほどになった。1000回の挺身隊水曜集会を記念して日本大使館前に少女の像も建設されたことは、清算がなされていない過去の歴史によって現代の困難がもたらされるという事実を確認している。一方、盧武鉉政府下で進行された、韓日会談文書全面公開を契機に、1965年韓日協定の再検討(源泉無効)を要求する運動も登場している。経済成長を基盤とする中国の急激な浮上の中で、米国、日本、韓国(南韓)を一方の軸に、中国とロシア、北朝鮮(北韓)をもう一方の軸として対立し、新冷戦的な秩序が東北アジアに形成されているという憂慮が大きくなっている。東アジアは長い間、歴史と文化、相互交流の伝統を共有してきたが、時には戦争と植民地支配で綴られた時期もあった。そこで、歴史問題が困難に陥らず、経済的利害関係や国家の利己主義を越えて、東アジア共同の平和な未来を構想し、実践できるようにしなければならない。脱核のための市民連帯は、新しい東アジア平和共同体を形成するのに重要な方案となるだろう。

                    8.脱核連帯を通した東アジア平和の可能性
                      原子力発電所は、個別企業次元では推進が難しい超大型事業であり、強力な権力集団あるいは巨大な政治・経済・軍事複合体(核カルテル)によって推進されてきた。核発電(原発)と核兵器に依存する危険な社会を克服するためには、核カルテルの解体を含んだ持続可能な発展を企図できる民主的で平和的な政治権力の登場が重要だ。そういう政治権力の登場は、市民の覚醒と組織化された政治参与を通じて実現することができる。
                      韓国は2012年4月の国会議員総選挙、12月の大統領選挙が予定されており、政治的な激変が生じると予想される。これまで李明博政府下で進行されてきた、各種の土建政策が挑戦を受け、財閥と検察改革を要求する国民的要求が巨大な流れを形成している。福島事故以後、日本全域で起こっている大衆的な脱原発・脱核運動は、新しいだけでなく大きな流れを形成することになると期待される。日本だけでなく、原発に依存している東アジア諸国家の市民たちの連帯と、さらに選挙など民主的な政治的意思決定の過程を通して、国家的次元の脱核政策へと転換されなければならない。チュニジアのジャスミン革命の火種が北アフリカと中東地域に波及し、民主主義と人権が実現される方向に進む事例を生き生きと見せている。最近、中国広東省の農村地域でも、地方政府権力者らの横暴に対して戦った農民たちが勝利をおさめ、周辺地域に広がっている。あらゆる戦争を体験したヨーロッパの様々な国々が、ヨーロッパ連合(EU)という経済的・政治的統合体を形成することができた経験を教訓にしなければならない。難しい過程はあるが、現在の人類の集団的進歩の一つの姿が、ヨーロッパ連合を通じて成し遂げていることを見てとれる。そして、米国とヨーロッパの支配を受けたラテンアメリカでの、国家連合の摸索のための試みにも、やはり関心を持たなければならない。

                    終わりに
                      韓国と日本の市民運動は、地球化の地方化と、知識情報化社会が同時的に進行している21世紀に見合った、多様な市民運動を展開している。一次的には、該当国家と地域を中心に進行するが、挺対協の示威をはじめとする歴史清算のための連帯、そして今後の「まち作り」、特にその中でも社会・経済的基盤を強化することが可能な市民運動レベルで共同して接近しつつある。韓国の場合、協同組合基本法の制定、協同組合の拡大と社会的経済の活性化などを摸索し推進している。そして、地域での市民力量の強化を支援する韓日市民の自治ネットワークの必要性が増大している。特に2012年は、全世界的に政治的変化が大々的に推進することが可能な選挙の年だ。地球的次元での民主主義と人権、脱核平和を実現できるかどうかの次元での市民連帯と協力が切実だ。そうした中で、1月14-15日に開催される横浜脱原発世界会議に続き、3月23-24日「韓国のヒロシマ」として知られる陜川(ハプチョン)で開催される「非核・平和大会」は、こうした歴史的流れと市民運動の発展により、韓日市民連帯からさらに飛び出し、東アジア脱核平和市民運動創出のひとつの契機となるであろう。
                    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 15:30 | - | - | - | - |
                    大震災で問われる下水処理(公共下水道・浄化槽など)のあり方
                    0
                        30日夜はNPO法人千葉まちづくりサポートセンターの交流会である「露天風呂」に参加しました。第49回目にあたる今回のテーマは「生活排水処理の主役は浄化槽」です。

                       講師の方の事前の案内には、
                      「これまで生活排水処理の主役は下水道で、浄化槽は下水道が来るまでのつなぎ役でした。しかし、平成13年度からは新設の浄化槽は、合併処理浄化槽以外は設置できなくなり、水質も下水道と遜色ない状況です。都市部など人口集中地域は下水道、閑散地域は浄化槽という役割分担を明確にすることにより生活排水処理を促進することが可能です。しかし、市町村の計画はいまだ下水道が主体です。このたびの東日本大震災において習志野市、仙台市などは下水処理場が大きな被害を受け、いまだに仮排水の状況です。復興の主役は浄化槽です。仮設住宅などで大活躍しています。浄化槽は製造、設置、保守点検、清掃、法定検査など一連の工程が適切に実施されて始めて、良好な水質が確保されます。今回は、浄化槽の現状と課題について報告します。」
                      とあります。

                       H17年度の国土交通白書では、既存の公共施設を維持管理するだけでも近い将来、従来の税収入だけでは補えず借金をしなければならないとしていますが、地方財政に重くのしかかっているものの一つが下水道事業ですが、このことは一般市民には周知されていません
                       その実態をH20年10月20日付けの毎日新聞は「全国3633事業、下水道残高31兆円 過剰投資重荷に」と報じました。私はその記事を示しながら2年前の県議会決算審査特別委員会で浄化槽を所掌する環境生活部に対し質疑を行いました。(下記参照)

                       今回の大震災でも広域に集めて一箇所で集中的に処理する公共下水道が使えなくなった時の日常生活や財政的な負担の大きさが明らかになりました。大地震動の時代、平常時、非常時における「集中と分散」の哲学が問われています。

                       「露天風呂」報告では「長野県下條村では、公共下水道や農業集落排水の事業計画では、その事業費が約45億円かかる予定でしたが、合併処理浄化槽により整備を行った結果、事業費は約6億円となりました。国庫補助金等により、村は後年度負担なしで、約2億円の支出で829基を整備(約24万円/基)することができました」という事例が行われました。

                       公共下水道、浄化槽、農業集落排水設備について、設置時の税負担(国、地方自治体)と個人負担、維持管理更新時の税負担と個人負担、震災時の対応、環境面への影響について情報をすべてオープンにした議論が求められます。と同時に、土木、農業、環境の3つの管轄にまたがりバラバラに行われているものを総合的に取り組むことが不可欠です。

                      【参考】 千葉県の生活排水対策、浄化槽設置について
                      〜09年度決算審査質疑から(2010年10月22日)

                      1.21年度末における浄化槽の設置基数、今後の計画、検査について

                      【川本】
                      21年度末における浄化槽の設置基数、これは単独処理、通常型合併処理、高度処理型合併処理それぞれと、今後の設置計画。21年度における法定検査結果、受検促進対策の効果はどうだったのか。

                      【矢沢水質保全課長】
                      21年度末における浄化槽設置基数は、単独処理浄化槽は41万6,462基、合併処理浄化槽は、19万7,166基です。この合併処理浄化槽のうち、窒素、リンなどの除去効率が高い、高度処理型合併処理浄化槽は、数として10万738基です。
                      今後の設置計画ですが、千葉県の場合、市町村が設置を行う合併処理浄化槽設置促進事業に対して、県が市町村に補助を出していますが、22年度ですが、その補助金を対象として、1,793基の合併処理浄化槽の設置補助を予定しております。
                      法定検査の中には設置して初めて受ける法律による第7条の7条検査というものと、毎年1回検査を受ける法律の第11条に基づく11条検査の2種類があります。2つ合わせて21年度においては、4万900基の検査を行っており、97.9%が適正、又は、概ね適正の結果が出ております。
                      法定検査の受検促進対策としては、補助金を交付する浄化槽については、補助金申請の際に7条の検査の費用を納付していただくということと、11条検査の受検に係る誓約書を添付していただくという条件をつけています。
                      それから、毎年受ける11条検査ですが、従来よりもより簡便な方法で、外観検査だけでなくて、(不明)利用を分析して、外環検査の方を省略するという簡易な検査、BOD検査というものですが、これを導入するとともに、受検料の引き下げを行っております。
                      それから、21年度からになりますが、県下、11ヶ所で浄化槽の使用者に対する講習会を開催しています。また、啓発用パンフレットを作成して、各種各社、各所に配布しています。この結果は、先ほど21年度の検査数を申し上げましたが、平成20年度が3万7,319基の検査でした。21年度は先ほど申し上げましたが、4万900基ということで3,581基の増加検査の基数で増えています。

                      【矢沢水質保全課長】
                      浄化槽に関する答弁で数字に誤りがございました。申し訳ございません。先ほど、高度処理型合併処理浄化槽の基数を10万738基と回答いたしましたが、正式には、2万2,449基でございます。訂正させていただきます。

                      【川本】
                      浄化槽の法定検査、数は増えているが、受検率はどうなのかというところを教えてください。

                      【矢沢水質保全課長】
                      浄化槽の法廷検査の受検率について、7条検査について、20年度が44.5%、21年度は57.2%。11条検査は、20年度は5.5%から、21年度は5.9%と上昇しております。

                      2.流域下水道計画との調整について

                      【川本】
                      10月20日の毎日新聞の記事にあるように、下水道のあり方というのは、相当地方自治体の財政に大きな影響を及ぼす、そういう意味で、県の流域下水道計画を必要に応じて高度処理型合併処理浄化槽などに変えていくということも必要だと思うが、そこら辺で流域下水道計画について市町村との調整はどうなのか。

                      【矢沢水質保全課長】
                      合併浄化槽の対象といたしましては、基本的には下水道事業計画区域以外を対象としていますが、下水道計画区域であっても下水道整備が7年以上見込まれない地域については、補助の対象としております。どの地区を下水道にして、どの地区を合併処理浄化槽による個別処理区域にするかというのは、それぞれの市町村が費用比較や地域特性等を踏まえて、計画として汚水処理施設整備計画を策定しているが、合併浄化槽の性能もよくなっておりますので、合併浄化槽のメリットについては、市町村においては十分認識して承知しているのではと認識はしております。

                      【川本】―――要望
                      10月20日の毎日新聞にもあったような流域下水道の規模の大きなものでは、相当維持費がかかる。そして、一般会計からの持ち出しが多いという中で、市町村の下水道計画のあり方を 今、国交省なども含めて検討に入っているということなので、県としても流域下水道にこだわるのではなく、きちんと支援をしていただきたい。

                      Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 19:25 | - | - | - | - |
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