市民活動家・研究者(前千葉県議会議員)

◆ 川本幸立のブログ

国内でのBSL4施設稼働は、エボラ出血熱などの早期診断、侵入防止とは直接の関係はなく、バイオハザード(生物災害)の危険が増すだけ〜原発と同様、安全神話(HEPAフィルタ、キャビネット)に依拠し、施設の立地・欠陥を無視
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    私が所属しているバイオハザード予防市民センター(略称:バイオ市民センター)の取り組みの紹介です。

    エボラ出血熱騒動で、全マスメディア、日本学術会議、長崎大学らが設置、稼働を強く求め、アベも国会で設置するとの答弁をしたBSL4施設ですが、今やBSL4施設の設置は「国策」と化している観があります。

    こうした権力とマスメディア、学者らの同盟(共犯)関係により、異論が排除される中、80年代前半から、国立感染研武蔵村山庁舎のBSL4施設の稼働に、武蔵村山市では市、議会が一体となって反対し阻止してきましたが、昨年11月、塩崎厚労大臣と市長が「稼働に向けて協議する」ことで合意しました。
    (バイオ市民センターでは昨年12月14日(投票日)に武蔵村山市でシンポを地元の方と協力して開催しました)

    これに対して、バイオ市民センターは昨年8月に日本学術会議に意見書を提出し、昨年12月14日(選挙の投票日)には、武蔵村山市で地元の方々と協力してシンポジウムを開催しました。そして、今月は、厚労大臣と国立感染研所長、武蔵村山市長あての要望書を提出しました。

    以下の文書をバイオ市民センターのHPにアップしていますのでご覧ください。
    ・武蔵村山市長あて要望書(2015年2月12日)
    ・厚労大臣、国立感染研所長あて「「国立感染研村山庁舎BSL4施設を稼働しないこと」を求める要望書(2015年2月2日)
    ・日本学術会議の「BSL4施設の必要性について」に対する意見書(2014年8月28日)」

    なお、国立感染研(村山庁舎、戸山庁舎)の安全管理の実態については、情報公開法に基づき、一昨年から昨年にかけて30件近い「行政文書開示請求」を行い、入手した約4千枚の文書内容を分析、検討しました。
    その一部を会報に報告しましたので、以下に貼り付けます。

    ■バイオハザード予防市民センター会報第83号(2014/1/21発行)から
    〜国立感染症研究所(戸山庁舎・村山庁舎)開示文書検討報告

     
    感染研は、HEPAフィルタ、バイオハザード対策キャビネットについて
    「責任ある管理」を行っているか?

    川本幸立(幹事、建築技術者・電気管理技術者)
     
    はじめに

    2001年4月に情報公開法が施行されて約13年となります。当時、私たちは同法施行と同時に国立感染症研究所戸山庁舎に安全管理の実態を示す多数の文書の開示請求を行い、膨大な量の公開文書を分析し、戸山庁舎で日常行われていた杜撰な管理の実態について、裁判等を通じて明らかにしてきました。
    昨年2013年5月に、感染研戸山庁舎・村山庁舎の安全管理の最新の実態を把握しようと、文書開示請求をし、同年6月に以下の文書の写しの交付を受けました。

    表1:2013年6月、国立感染症研究所開示文書一覧
    No. 開示文書名 枚数他
    • H24年度P2実験室バイオハザード対策用クラス競ャビネット点検報告書(戸山・村山)
    • BSL2実験室安全キャビネット定期点検業務仕様書
    680
    H24年度P3実験室バイオハザード対策用キャビネット点検報告書(戸山) 318
    H24年度P3フィルタ交換作業報告書(戸山) 285
    H2412月(P3)点検報告書(戸山) 326
    H24年度保守点検報告書(村山6号棟(P3))の給気HEPAフィルタ,キャビネット 437
    H24年度保守点検報告書(村山9号棟(P3))の一次側HEPAフィルタ,排水処理設備、安全キャビネット 628
    感染研病原体等安全管理規程第28条2によるH21~23年度の事故記録(戸山・村山) 65
    感染研病原体等安全管理規程第29条によるH20~24年度の報告記録 存在せず
    バイオリスク管理委員会のH20~24年度議事録 14
    10 高度封じ込め施設運営委員会H23年度議事録 2
    11 バイオリスク管理運営委員会H20年度議事録 5
    12 病原体等取扱安全監視委員会H20~23年度議事録 89
    13 各委員会規程 8
    14 感染研病原体等安全管理規程第42条に基づく報告H20~24年度 存在せず
    15 H24年度設備保守管理日誌(戸山) 365
    16 H24年度設備保守管理日誌(村山) 365

    すでに新井代表幹事が当会報81号(2013年10月1日)で、表1のNo.7の「事故記録」を分析検討した結果を報告していますので、本報告は「開示文書検討報告◆廚箸靴董表1のNo.1~6について特にHEPAフィルタ、バイオハザード対策キャビネットの安全管理の最新の実態について分析した結果を中心に報告させていただきます。
    なお、残りの開示文書(No.9〜13、15~16)については次号で報告を予定しています。

    1.334台のバイオハザード対策用クラス競ャビネットの管理実態は?
    〜技術基準(JIS)に適合していない?!(表1の文書No.1・2・5・6から)


    2007年に施行された感染症法第56条24では、特定病原体を所持するものは技術基準(JIS K 3800:2009「バイオハザード対策用クラス競ャビネット」)に適合するよう維持しなければならない、とされています。つまりJIS に基づき、バイオハザード対策用クラス競ャビネット(以下「クラス競ャビネット」という)は年1回以上の現場検査(密閉度試験、HEPAフィルタ透過率試験、気流バランス試験など)の実施が義務付けられています。

    クラス競ャビネットは、病原体を外部に漏出せず、実験者感染を防止する第1次のバリアーと位置付けられます。そのためには”存饗里100%捕捉するHEPAフィルタの性能、▲ャビネットの密閉度、A位務口部の微妙な気流バランスの確保、き 銑を確認するための適切な現場検査、ヅ切な実験操作、θ鷯鏤(地震、火災、停電など)対応・対策、が不可欠です。

    感染研は、実験差し止め訴訟の「裁判書証」で、「バイオハザードの最も一般的なものは実験室感染であり、安全キャビネット(川本注:正式名称「バイオハザード対策キャビネット」)が導入された1970年代後半から実験者、周辺者を含めて全く発生していない。施設から排出された病原微生物を含むエーロゾルが直接外部に拡散する事態が生じることはほとんど知られていない。HEPAフィルタと安全キャビネットの設置により、周辺住民への感染の可能性はほとんど皆無に等しい。実験室内での感染を防止することが基本的な要件だ」と述べていました。
    であれば、感染研は、HEPAフィルタ、クラス競ャビネットの性能を現場で厳しく点検する意義は百も承知の筈です。

    今回の開示文書によれば2012年時点で、感染研の戸山庁舎のP3実験室には26台、P2実験室には149台設置され、村山庁舎のP3実験室には11台、P2実験室には148台が設置されており、戸山・村山の2庁舎をあわせると334台(その他ハンセン研に15台程度)設置されています。

    1−1.HEPAフィルタの性能の点検が杜撰きわまりない?!

    HEPAフィルタは0.3μmの単分散粒子を99.97%以上捕集する効率を持ちます。しかし、この99.97%の効率は、「610×610mm角のフィルタで、直径約6mm(6000μm)の穴があいていても検査に合格する」(JIS K 3800:2009規格の「解説」)ものです。これでは病原体は容易にフィルタをすり抜けてしまいます。そこで、大きな穴が開いていないことを確認するためにJISでは原則として「走査試験」の実施が定められています。

    戸山庁舎、村山庁舎にある334台の「クラス競ャビネット」が、すべてJISで定める現場検査を合格した「適合品」なのかということを開示文書を元にチェックしました。
    その結果は次の通りです。

        報告書には準拠すべき法令や技術基準が記載されていない。つまり何に基づいて適合・不適合を判断したのか不明である。
        HEPAフィルタに大きな穴が開いていないことを確認するための走査試験について、詳細要件(漏れを検出する管の吸引口をフィルタ表面から25mm以内に保ち、移動速度は5cm/秒以下で検出管と走査域が重なるように、ろ材全面、フィルタ継ぎ目、及びフィルタの枠について走査する。その場合、フィルタからの気流と検出管の吸引速度が等しいこと。)を遵守したのか不明である。
        とりわけ、610×610mm角のHEPAフィルタの走査時間に要する時間は吸引量25.3l/分の検出管では計算上5分とされるが、報告書に記載の走査時間は2分が最も多いことから検査そのものが不十分であったことが推察される。
        上流側のエアロゾル供給量は0.3〜0.5μmにおいて1000万個/分以上が望ましいとされるが、実際は60〜80万個/分しかなく相当な誤差を考慮する必要がある。

    以上より、技術基準に不適合な手法で点検が実施されたものと推察されることから、HEPAフィルタの性能(HEPAフィルタのすべての箇所における最大透過率が0.01%を超えない)について未確認状態にあると言えます。

    1−2.P2実験室の5台に一台は不良品(不合格・基準値範囲外のもの)

    P2施設内設置のクラス競ャビネットについて、報告書(表1のNo.1)によれば、戸山庁舎30台、村山庁舎35台が不良品(不合格あるいは基準をはずれているもの)です。つまり両庁舎のP2施設内に設置されているクラス競ャビネットの約5台に一台が不良品です。
    詳細は以下の通りです。
    【戸山庁舎】
    ・ウイルス第二部2台、・細菌一部5台、・寄生動物部2台、
    ・感染病理部6台(内、不合格1台⇒流入開口部風速不足で、3年連続で不合格)、
    ・免疫部2台、・生物活性物質部3台、・細胞化学部4台、・昆虫医科学部2台、
    ・動物管理室1台、・エイズ研究センター2台、・バイオセーフティ管理室1台、
    【村山庁舎】
    ・ウイルス2部1台、・血液安全性研究部2台、
    ・ウイルス第3部5台(内、1台不合格⇒開口部風速・排気風量)、
    ・細菌第二部3台、病原体ゲノム解析研究センター1台(不合格⇒開口部風速・排気風量)、
    ・動物管理室5台(HEPAの迅速な交換・総合的なメンテ要求されている、内、1台不合格⇒製造後24年経過)、
    ・エイズ研究センター3台不合格(開口部風速・排気風量不足)
    ・村山研修5台、・感染病理室2台不合格(開口部風速・排気風量不足)、
    ・感染症情報センター2台、
    ・共通検定室2台(開口部風量オーバー⇒本来「不合格」にすべきでは)、
    ・インフルエンザウイルス研究センター3台(内、1台不合格⇒開口部風速・排気風量不足)、
    ・3号棟BSL3実験室1台(開口部風速・排気風量超過)、

    2.P3実験室の給排気用のHEPAフィルタの現場試験について
    (表1の文書No.3から)


    戸山庁舎のP3施設の給排気用のHEPAフィルタは2012年度は13室で交換され、交換後に、現場で性能試験が行われました。

    その報告書(表1のNo.3)によれば、
        クラス競ャビネットのHEPAフィルタについてJISが求めているような技術基準がないことから、走査試験は実施されていない。
         二次側で大きなサイズ(0.5〜3μm)の粒子をカウントしているにもかかわらず、何の根拠も示さず、「一次的にカウントされる再現性のないカウントは、計測器自身の電気ノイズ、サンプリングチューブ回路などから偶発的に剥離した塵によるものでリークではない」と断定して無視している。走査試験を未実施ということは大きな穴の有無のチェックをしていないことになり、フィルタをすり抜けてきた可能性を否定できない。
         検出口の配置等(HEPAフィルタやダクト面からの距離など)詳細が不明である。
    ことが指摘されます。

    3.国立感染研は、業者に現場試験を投げし、試験内容についても無知
    〜質問状に対する感染研の回答(2013年12月26日)から


    あまりにもずさんな報告書でしたので、現場検査の詳細を確認するために感染研の戸山庁舎に出向き、直接担当者に質問状(2013年11月29日付)を手渡しました。その回答(同年12月26日付)が昨年末に届きました。質問と回答を比較表にしてみましたので表2を参照ください。

    表2の感染研の回答をご覧になればわかる通り、無回答に等しいもので、感染研が現場検査の内容に無知で、検査業者に丸投げで何ら関与していない実態が推察できるものです。
    感染研にはバイオリスク管理委員会、高度封じ込め施設運営委員会、病原体等取扱安全監視委員会などの委員会がありますが、議事録をみてもこうした報告書内容について真摯に検討したあとはみられません。そもそも、キャビネットやHEPAフィルタの安全管理について自らの責任と認識しているのか、また専門的知見を有しているのか非常に疑わしく思われます。本来、実験者は自ら使用する設備、器具の安全性についての専門家であることが求められますが、そうした「責任ある管理」を感染研は研究者に求めていないようです。

    まとめ

    以上を踏まえて、私の感想などを簡単に記します。

    (1)2001年の開示文書で、当時、感染研戸山庁舎においてP3施設に設置したキャビネットのHEPAフィルタの走査試験で上流側に試験エアロゾルを供給することなく実施していたことが判明しました。また、2005年の調査でも、他の施設でも一次側の試験エアロゾル量の不足、検査条件の不明瞭が目につきました。(「バイオハザード対策の社会システム構築のための提言活動」報告書、バイオ市民センター、2005年)
    感染症法で技術基準(JIS)の遵守が定められたにも関わらず、相変わらず法を無視した杜撰な管理が今現在も日本全国の研究所で行われているだろうことが、今回の感染研の開示文書からも推察されます。つまり責任を負うべき当事者による「責任ある管理」の不在という相も変らぬ実態です。これではP4施設云々は少なくとも時期尚早です。

    (2)感染研には十数年以上昔のクラス競ャビネットが多数あるようです。
    次の指摘に感染研はどうこたえるのでしょうか?
    「ここで注意して欲しいのは、それぞれの時期に制作されたキャビネットは、それぞれの時期の仕様書に基づいて制作、認定されているので、古いキャビネットを新しい基準に照らして検査することはできない」(「ウイルス学分野のバイオハザード対策、キャビネットを中心として」(「ウイルス第56巻、第2号、日野茂男」)

    (3)技術基準(JIS)がいい加減なことです。JISには「走査試験によってHEPAフィルタのすべての箇所における最大透過率が0.01%を超えないこと」という規定がある一方、「走査試験のできない構造のキャビネットは、0.005%以下とする」との「例外」規定を設けています。つまり、大きな穴のチェックを行う必要がないとする規定です。なぜ0.005%なのかについて何の説明もありません。「安全よりも研究」を優先するということでしょう。そもそも、「最大透過率が0.01%を超えないこと」という規定自体も、HEPAフィルタに直径0.25mm(250μm)の穴の存在を許容するものです。

    (4)HEPAフィルタ、排気、「責任ある管理」に関する提案として、
    ・前項の例外規定を削除すること、
    ・実験室の給排気系統に設置されるHEPAフィルタも走査試験の対象とすること
    ・キャビネットの排気は直接屋外に排気することは許さず、実験室内に排気することとする。
    ・技術基準を遵守しない研究所は実験の実施を認めないこととする。
    ・厳格な安全監査のための「第三者機関」を設置するなお、新たな法を整備する。
    (2005年の当センターの法試案参照)
    以上



     
    Posted by : 川本幸立 | 活動記録 | 19:46 | - | - | - | - |
    「憲法前文・九条の軍事・経済戦略」で、「憎悪と暴力の連鎖」を断ち切ろう!〜なぜ米政府の責任を問わないのか?!人質事件と閣議決定
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      「イスラム国」による2人の日本人の「人質事件と安倍外交」について知人に送信した1月27日、2月4日の私のメールの一部を以下に貼り付けます。

      【2015年1月27日メール】

      1.今回の事態は、安倍政権にとって、昨年7月1日の「閣議決定」の中の、「多くの日本人が海外で活躍し、テロなどの緊急事態に巻きもまれる可能性がある中で、当該領域国の受け入れ同意がある場合には、武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある」を合理化するもので、今後の自衛隊法改定など法整備のためには非常に都合のいいものだと理解しているものと思われます。集団的自衛権発動の3要件の「見直し」に利用されそうです。

      2.また「閣議決定」で何度も出てくる「他国」には、米国のみならずオーストラリア、イスラエル、インド、フィリピンを意図していると指摘されています。
      オーストラリアとはすでに日豪安全保障共同宣言や防衛装備日豪物品役務相互協定(ACSA)で準同盟関係にあり、イスラエル、インドとは今年、同様のものを締結しようとしているそうです。(「これまで自衛隊は人を殺さなかった」小西誠、「人権と教育」60号
      米国のみならず集団的自衛権を行使できる「密接な関係にある他国」を米国の支援のもと増やそうということのようです。イスラエルが入っているのが気になります・・

      3.外務省幹部が「ひらたく言えば、積極的平和主義というのは、外交への軍事の活用だ」と語った(「朝日」7月14日)そうですが、軍事力をバックにして経済的覇権・利権を確保する方針を明確にしたと言えます。

      4.ちょうど今読んでいる「日本の安全保障はここが間違っている!」(田岡俊次著、朝日新聞出版、2014年12月)の「第1章 集団的自衛権を再検討する」の最初の項が「日本は『イスラム国』打倒に自衛隊を派遣するのか?!」です。

      同書では、
      (1)2014年7月1日に閣議決定した際に公表した集団的自衛権発動の3要件(〔接な関係にある他国に武力攻撃が発生し、我が国の存立や国民の生命、自由などの権利が脅かされる明白な危険がある、他に適当な手段がない場合、I要最小限度の実力の行使)に照らすと、「イスラム国」との戦いに自衛隊の派遣はできないのは明らかである。

      (2)しかし、2014年9月23日に航空攻撃開始した翌日、米政府は、「イラクはシリアからくる『イスラム国』の深刻な事態に直面している。『イスラム国』などのテロ集団はイラクだけではなく米国の脅威でもある」とし、「これは自衛権の行使だ」と主張する文書を国連事務総長に提出した。
      つまり、テロ集団の存在が米国への脅威で、それに対する攻撃は自衛権行使だ、というのが米国の立場である。

      (3)米国が航空攻撃だけでは『イスラム国』打倒は困難と覚り、地上部隊も派遣する状況になれば、「米国が脅威にさらされているのだから、同盟国の日本は集団的自衛権を行使して共同行動をとるべきだ」と日本にせまり、日本政府が3要件を理由に拒否すると、「日本は集団的自衛権を行使すると言いながら何もしないのか」などと居丈高になりかねない。

      (4)上記の3要件は閣議決定に過ぎない。日米地位協定では出す必要のない在日米軍の維持費(=「思いやり予算」)を日本が負担(4800億円)するなど、あらゆる局面で米国追随の姿勢を示し、筋の通らない譲歩を重ね、理屈に合わない要求に屈してきたことを考えれば、米国からの強い要請があれば政府が解釈を見直す可能は十分ある。

      (5)安倍の私的機関である安保法制懇の座長代理で主導的役割を演じている北岡伸一国際大学学長は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との憲法の規定は「日本が当事者である国際紛争」と解釈を変更すべきだ、と述べ、他国の国際紛争なら日本の武力行使が認められるように解釈し、多国籍軍に参加できるようにすることを主張している。

      とあり、3要件の見直しの流れが強いことが理解できます。

      5.こうした動きに抗するには、なぜ「イスラム国」が跋扈する事態になったのかを分析することが不可欠ですが、(前掲書には、米国の軍産複合体という視点は希薄ですが、)
      (1)    シリア内戦で形勢の悪い反政府軍(「自由シリア軍」、イスラム過激派ら)を支援する米政府は、「アサド政権打倒のため「イスラム国」(ISIS)に武器を供与してきた」「CIAがヨルダンの秘密基地でISISを訓練している」ことが報じられてきたこと
      (2)その結果、ISISはシリア政府軍だけでなく、自由シリア軍とも戦いシリア東部と北部の一部を支配しシリア東部の油田を占領、14年1月にはイラクに侵入し北部、南部の都市を占拠し首都バクダットを脅かす存在になったこと、
      (3)こうしてイラクに勢力を拡大するISISを放置できず、米国は8月からイラク領内の拠点などを航空爆撃し、9月23日にシリア北部ラッカのISIS本部、製油所などに巡航ミサイル「トマホーク」と航空機による攻撃を加え、その際、オバマ大統領は「この戦争は何年もかかる」と述べ各国に参戦を求めたこと。
      (4)この9月23日の攻撃直後にシリア外務省は「テロと戦う国際的努力を支持する」ことを表明したこと。米政府にとって、「敵」と「味方」が逆転したことにより、ISISへの攻撃では米軍による空からの攻撃とシリア政府軍による地上戦で対応するのが有効と考えられるが、「アサドは自国民を多数殺した暴虐な独裁者」というイメージを流布してきた手前今さらできないし、第一、イスラエルは米国とシリアが手を組むことを断じて許さないこと。

      (5)戦争、特に内戦では謀略が付き物で、偽情報が飛び交うから、米国のようにまず、「善玉」「悪玉」を決め、一方の言い分だけを聞いてそれを補強するための証拠を集めようとする情報分析姿勢は極めて危うい。シリアでも米国が「味方」にしていたISISを攻撃することになったのは、元々敵を味方と見誤っていたためで、米国の国益上アサド政権を敵視して反政府勢力を助ける必要はなく、内戦を静観していればすむ話だったろう。米国の情報分析には大きな欠陥があり、誤算を重ねてきたことを計算に入れて判断しないと大失敗の可能性がある。

      などが指摘されています。

      こうしてみると「イスラム国」をめぐる今のような事態を招いたのは米国そのものでしょう。
      それを隠して「自衛権」行使を強要し、人々に死を強要するのはとんでもないことです。
      「憲法九条の安全保障」を「軍事戦略」の柱とする政府を樹立しかないですね。
      (参考:「憲法九条の軍事戦略」松竹伸幸著、平凡社新書、2013年)


      【2015年2月4日メール】

      アベアベ詐欺・詭弁男の出鱈目さ、破廉恥さに怒りが治まりません。
      憲法違反の選挙で多数派を占め「首相」の座を掠め取ったこの詐欺男を何としても首相の座からひきずりおろしたいものです。

      中東で「イスラム国」を刺激する発言を行いながら、人質の処刑が行われたと報道されると国会で平気で「九条改憲と自衛隊法改「正」で海外での邦人救出を」を声高に言う。
      人質を見捨て、原発事故被害者の「棄民」化を進めている男の頭の中には、「海外派兵」、「戦争国家化(=中国包囲の妄想)」、「99%から1%の多国籍企業・富者に富の移転」しかない。
      そもそも、狭い国土に多数の原発を抱え(電源供給が止まれば破滅的状況(メルトダウン)になる、都市構造も脆弱な日本は、どんな立派な「国防軍」をつくろうと「武力行使」では勝算はありません。

      「イスラム国」問題の根源には軍産複合体国家=アメリカが詭弁を弄して引き起こしたイラク戦争があります。日本が進むべき道は、憲法9条を軍事・経済戦略の柱とすることで、米国を説得し、対米従属から脱し、核の廃絶、武器輸出の禁止、エネルギー・食糧の安全保障の確立による貧困・格差の是正、
      災害救援(自衛隊を災害救援組織に)に世界で主導的な役割を果たすことです。

      さて、知人から知らされた弁護士・伊藤和子さんの
      「イスラム国による日本人人質事件 今私たちができること、考えるべきこと」

      は必読です。是非ご一読を

       
      Posted by : 川本幸立 | 憲法 | 09:01 | - | - | - | - |
      衆院選挙結果について〜民意を反映しない「小選挙区選挙」の弊害
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        今回の選挙結果について昨日、今朝の「東京新聞」朝刊の選挙記事をもとに大ざっぱに整理してみました。

        ―葦〜の結果については、「一票の格差」が最大2.13倍という一票の価値が不平等な憲法違反の状態で行われた選挙であること。さっそく弁護士グループが295すべての小選挙区の選挙無効を求めて高裁に提訴した。

          投票率は小選挙区52.66%と戦後最低で、8県で50%に届かなかった。比例代表も52.65%で、前回より%以上低い。

        獲得議席は自民290(公示前比5減)、公明354増)、次世代217減)、維新411減)、民主7311増)、共産2113増)、生活23減)、社民(増減なし)。
        自民以上のネオナチ政党で、ネット右翼から頼られ、戦前復古を目指す「次世代」(爺世代とヤユされていた)の「一人負け」で今年2月の東京都知事選で60万票を集めた田母神俊雄も惨敗した。
        一方、共産の増が目につく。自公の数は公示前と変化なし。

        得票数は
        比例区(定数180) 小選挙区(定数295
        自民 1766万(33%、68議席) 2546万(48%、222議席)
        民主 978万(18%、35議席) 1192万(23%、38議席)
        維新 838万(16%、30議席) 432万(8%、11議席)
        公明 731万(14%、26議席) 77万(1%、9議席)
        次世代 141万(3%、0議席) 95万(2%、2議席)
        共産 606万(11%、20議席) 704万(13%、議席)
        生活 103万(2%、0議席) 51万(1%、2議席)
        社民 131万(2%、1議席) 42万(1%、1議席)

        ・自民党の得票率は5割に達しておらず、全有権者の中での支持率は小選挙区ベースでは0.5266×0.4825%、つまり4人に一人しか支持されていない。これで「公約支持」されたとは言いがたい。
        ・自民は小選挙区48%の得票で75%の議席を手にし、民主は小選挙区23%の得票で13%の議席しか手にしていない。死票が多く、民意が反映されない小選挙区の弊害が明確である。
        ・比例区の得票率で全議席を割り振ると概算は、自民は157議席、民主86議席、維新76議席、公明67議席、次世代14議席、共産52議席、生活10議席、社民10議席となる。
        ・小選挙区を中選挙区へ選挙制度の改善が不可欠である。

        ゾ播世箸覆辰寝歛蝓
        ・オキナワ辺野古への米軍基地増強問題では、沖縄県のつの小選挙区すべてで自民候補が敗北。
        ・「9条改憲」では、慎重・反対が15017424
        (公明・民主・維新・共産・社民・生活)
        賛成が31429224減(自民・次世代)
        ・「原発再稼働」では、慎重・反対が11913920
        (民主・維新・共産・社民・生活)
        賛成が34532720減(自民・公明・次世代)
        で、辺野古は「ノー」が沖縄の民意であること、「改憲」派は減り、「脱原発」は増えた。

        さらに、これをい糧耄秡挙の得票率ベースでみると、
        ・「9条改憲」では、慎重・反対が301、賛成が171となり、慎重・反対が多数となる
        ・「原発再稼働」では、慎重・反対が234、賛成が238となり、ほぼ互角となる。

        ともかく、まず民意を反映しない選挙制度の弊害が厳しく糾弾されるべきです。

         
        Posted by : 川本幸立 | 国政選挙 | 16:57 | - | - | - | - |
        日本政府・国民の「不道徳・反道徳」が問われている! 〜原発再稼働で軽蔑される日本政府・国民
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          ●「道徳」(人のふみ行うべき道)に反する原発再稼働、アベノミクス、戦争国家化

          「道徳」という言葉を辞書(広辞苑第四版)で引くと、「/佑里佞濆圓Δ戮道。ある社会で、その成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為の善悪を判断する基準として一般に承認されている規範の総体。法律のような外面的強制力を伴うものではなく、個人の内面的な原理。今日では、自然や文化財や技術品など、事物に対する人間のあるべき態度もこれに含まれる」とされ、「道徳教育」については「子どもに一定の行動様式や態度を身につけさせ、一定の価値を志向させ、理想を自覚させる教育」とあります。

          「基本的人権の尊重」と「平和主義」を普遍原則(多数意見でも奪われない普遍的価値)と位置付ける日本国憲法の前文の後半には「政治道徳」という言葉がでてきます。
          「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」とあります。

          日本国憲法を踏まえると、「道徳」(人のふみ行うべき道)として最も尊重されるのが「基本的人権」と「平和」であり、「人権教育」「平和教育」こそが「道徳教育」になります。

          憲法は、主権者である国民から統治者への命令であり、憲法は国民(99条で定める尊重養護義務者を除く)をしばるものではないといいますが、憲法前文の最後の一文「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」と、憲法12条の「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」は、国民に求められる「道徳」が明記されていると思います。

          この道徳に照らせば、原発再稼働、アベノミクス、集団的自衛権、秘密保護法などは反道徳=「命よりカネ」「他者の命より自分の生活」の最たるものと言えます。

          ●海外から軽蔑される日本政府、国民

          長女が10月からイタリアで生活していますが、日本の原発再稼働の動きについてイタリアの20代の友人から次のように言われたそうです。
          「日本人は、人生よりも仕事を大切にする、
          人生よりもお金を大切にするのでしょう。
          そしてリアルな世界よりもテレビが好きなんでしょう。
          だからテレビの言うことを信じるでしょう。
          原発がやめられないのは、人生や子どもの命よりもお金が大切なんでしょう。
          日本政府が真実を語らないのは皆が知っているし、イタリアも原発事故以降は日本の食材を輸入していない。私は知っているよ。
          多くの日本人は真実を知らないし、語らずに仕事とお金のために生きている。
          私はそんなのは好きじゃない。
          そして、あなたはふつうの日本人女性とは違うのでしょう、
          真実をみようとして生きているしあなたは大多数の日本人のなかではマイノリティかもしれないけれど正しい。あなたのピアノの音を聴けばわかる、あなたは真実を言い続けていかないといけないね。」
          また何人もの人々から次のようなことを言われたそうです。
          「日本にはブラックマフィアがいて(政府のこと)
          お金のために原発がやめられないのは世界中の皆が知っている」。

          ●「アイヒマン」化している技術者、国民
          〜「良心」「思考能力」「自律的な判断力」の不在こそ道徳の欠如の要因


          12月6日、都内でプラント技術者の会主催の「日中韓技術者交流会」が開催されました。李奉珍元ソウル大教授・元韓国精密機械工学会会長、明日香寿川東北大学教授、筒井哲郎・プラント技術者の会・原子力市民委員会からの報告と20名余の参加者による活発な意見交換が行われました。

          明日香教授からは「脱原発・脱温暖化の最前線〜経済から考える脱原発社会のデザイン」では、_甲伐修聾業推進のための陰謀」論に根拠がないこと、日本政府による石炭火力発電輸出は世界の流れと逆行していること、F本でも原発があってもなくても電気代やGDP影響に大差がないこと、じ業は国全体としてのリスクやコストがベネフィットを大幅に上回る、それだけで原発は不要と言いうること、イ気蕕法脱温暖化を可能とする代替発電技術は存在し、コストは大差なくベネフィットが大きいこと、について詳細に報告されました。

          参加者の一人から「原発関係の技術者(約2万人)から、ほとんど原発再稼働について異論がだされないという現状は何なんだろうか?」という疑問が出されました。
          私は反射的に「技術者のアイヒマン化ではないか?」と発言しました。
          アイヒマンとは、ナチのユダヤ人大虐殺に重要な役割を果たしたとされる元SS将校のルドルフ・アイヒマンのことで、1960年にアルゼンチンでイスラエル特務機関によって逮捕・拉致され、イェルサレムの法廷で裁判にかけられました。その裁判を傍聴したハンナ・アレント(政治思想家)が傍聴記「イェルサレムのアイヒマン」で、アイヒマンを「実定法や権力者の命令に忠実なだけの真面目な小市民、平凡な小役人」として描き、問題は「恐るべき残虐行為を前にしてもそのような権力の服従になんの疑問も持ちえなかった彼の「良心」の欠如、思考能力の欠如、自律的な判断力の不在にある」としました。(「アレンと〜公共性の復権」川崎修著、講談社)

          「良心」「思考能力」「自律的な判断力」の不在は原発関係の技術者のみならず、原子力共同体(マフィア)、日本政府・国民にも共通するように思います。
          道徳の欠如とは「良心」「思考能力」「自律的な判断力」の不在を要因とします。

           
          Posted by : 川本幸立 | 国政選挙 | 10:45 | - | - | - | - |
          有権者は、「アベアベ詐欺」集団に、まだ騙されたいのか?! 〜99%の人々から生活費までも吸い上げ、多国籍企業とそれに連なる1%の富裕層に富が流れる無節操な窮民化政策〜
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            1か月前の11月7日朝、土気駅前で通勤通学の方々に手渡した「とけ九条の会」ニュース第51号(下記参照)の表紙の見出しは「アベノミクスの失敗」「貿易赤字国に転落、家計も賃金も所得も減少」「景気回復実感なし 85%」でした。

            今回の衆院選の一大争点が「アベノミクス」だそうです。しかし、「アベノミクス」には、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の大幅増に不可欠な肝心の「富の再分配」の仕組みはありません。

            ●安倍政権の本当の狙いは何か?

            内橋克人さんは、
            「日本は政府も企業も節度を失ってしまった」
            「原発や武器の輸出は国内市場を活性化させることにはつながらない。その意味では『虚の経済』にすぎない」
            「むしろ政権の本音は貧困層を広げる点にあるのではないか」
            「国民が日々の生活に困窮すればするほど、深く政治や経済政策について考える余裕がなくなり、政府にとってくみしやすくなるからだ」

            「長きにわたる経済の停滞により、ただでさえ貧困層は増えている。そうした中で、株価などうわべの数字を信じ込む人たちが多くなっているのではないか。また『不安を持つとお上を頼る』という日本人の国民性も影響している」
            と指摘しています。(「東京新聞」11月8日朝刊〜こちら特報部)

            ●アベノミクスも消費税も「多国籍企業などに富を集中させること」が目的

            消費税は、「消費税増税⇒中小企業経営悪化、格差・貧困の深刻化⇒生活のレベルダウン⇒景気悪化⇒財政出動⇒財政悪化⇒消費増税⇒・・」の悪循環を繰り返すだけで、「社会的弱者が辛うじて得ていた生活費までをも吸い上げ、社会全体で産みだした富を多国籍企業やそこに連なる富裕層に集中させていくシステム」に他なりません。

            税源については、0.3%の大企業や高額所得者に減税となる租税特別措置(648項目)の内、5%を見直すだけで約28兆円の税収増となることが試算(不公平税制をただす会/財源資産研究会試算)されています。また、所得税や法人税収入を1985年水準に戻せば19.7兆円の増収になります。(「これから世界はどうなるか〜米国衰退と日本」孫崎享著、ちくま新書)
            消費税増税などは必要ありません。

            4月の5%から8%の消費税増税(増税分5兆円)は、「社会保障の充実」「膨らむ借金(国地方の借金残高千億円、政府の利払い年間10兆円)の解消」を口実に強行されましたが、実態は選挙で自民党を支援した業界団体への大盤振る舞いとなる公共事業や防衛費に転用されているようです。

            ●GDP下方修正とアベノミクスの失敗〜速報時に数字を粉飾?

            昨日、内閣府は7〜9月期の国内総生産(GDP)を年率換算で前年比1.9%減に下方修正(11月17日発表の速報値は「1.6%減」)する改定額を発表しました。
            修正の主なもの(前期比増減率%)は、設備投資0.2減⇒0.4減、住宅投資6.7減⇒6.8減、公共投資2.2増⇒1.4増、輸入0.8増⇒0.7増、です。

            この値は、「速報値が出た後に発表された法人企業統計で設備投資が前年比3.1%増と好調だったため、改定値が上方修正されると予測した」民間のシンクタンク予測値(9社平均0.6%減)と大きく異なりました。なぜ見誤ったのかについて、「BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は『政府は基礎統計も計算方法も充分に示しておらず、なぜ間違ったかも検証できない』と指摘している」と報じられています。(「東京新聞」12月9日朝刊)

            この記事を読んで、政府・官僚による情報操作はいとも簡単にできるなと思っていたら、植草一秀氏が最新のメルマガ(第1027号)で次のように指摘しています。
            「改定値が下方修正されたのは、もともと、速報値段階で設備投資計数が過大推計されていたためであると考えられる。
            11月17日発表の速報値では、本来、実質GDP成長率がさらに大きなマイナスを記録したはずなのである。
            それを隠蔽して過大推計した。
            その結果、本来上昇修正されるはずの12月8日の改定値で、逆に下方修正されたのである。
            11月17日に、より大幅なマイナス成長数値が発表されていれば、アベノミクスの失敗がより鮮明になる。
            そこで、これを粉飾する過大推計が提示されたのではないだろうか。」

            今朝の東京新聞は、大企業の設備投資が進まないのは、円高・円安に影響されない経営=「海外への工場移転と現地生産」が定着していること。結局、円安は進んだが輸出が減少、残ったのは輸入物価上昇という円安の副作用だけだった、とし、人材不足と資材高で公共事業が景気対策に直結する構図は、もはや機能不全に陥っていると評しています。


            【とけ九条の会ニュース第51号 2014年11月7日発行から】
            アベノミクスの失敗〜貿易赤字国に転落、家計も賃金も所得も減少


            ■景気回復実感なし85%

            10月中旬の世論調査によれば、安倍政権の経済政策(アベノミクス)で、「景気回復を実感していない」が85%、内閣不支持率が40%。不支持の理由で「アベノミクスに期待が持てない」が33%(前回24%)に急拡大しています。(共同通信による10/18-19の全国電話世論調査)

            その背景には、勤労者家計の所得が1年間で、消費増税による影響を除いても5%程度実質減少していることが挙げられます。現在の景気停滞の原因はアベノミクスの下、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が落ち込んでいること、そして今後も賃金上昇が見込めないことです。

            ■日銀による「円安誘導」「株価上昇」がもたらしたもの

            10月31日、日銀は世の中に1年間に出回るお金の量を現在の約60〜70兆円から約80兆円に増やす「追加金融緩和」を決めました。これを受けて約7年ぶりに平均株価は1万6千円台を回復し、外国為替市場でも一時、1法112円台と一気に円安ドル高が進みました。

                「円安誘導」で、貿易赤字国(2014年赤字見通し10数兆円)への転落と景気悪化

            円安になれば輸出量は増えるはずですが、すでに大企業の生産拠点は海外に移されていることから輸出量は増えず、逆に輸入する原材料(食品・雑貨・化石燃料など)などの値段上昇が国内景気に悪影響をもたらしています。政府は原発停止による化石燃料代が問題と指摘していますが、石油や天然ガスの輸入量は原発事故前の2010年も、昨年も2億5千万キロリットルと横ばいです。
            中小企業にとっては原材料の輸入価格の高騰が経営を圧迫しています。
            日商会頭は円安の高水準について「不利益企業が増えた」「中小企業の立場からは100円ぐらいが望ましい」とし、円安で業績を伸ばす大手自動車メーカーですら、個人消費の低迷で「車の販売にも影響がでる」と懸念しています。

                「株価上昇」の儲けは海外投資と金融商品へ

            アベノミクスで平均株価が9割以上あがりましたが、国内の小売販売額は1%しか伸びていません。株価上昇で資産が増えても、海外投資と金融商品の購買に使われ、国内消費にはプラスになりません。つまり、大多数の国民や中小企業には恩恵の実感はありません。
            (*週刊金曜日2014.10.31藻谷浩介氏のアベノミクス批判・横田一より)

            ■130兆円の年金積立金の運用で、株式への比率倍増を決定

            一方、安倍政権は公的年金(厚生年金+国民年金)の積立金約130兆円を運用する場合、国内外の株式に投資する割合を現行の24%から50%に高めることを決めました。株価の下落による損失などリスクが高いこと、運用で株式を1%増やすと約1兆円が株式市場に流れ込むことになり「株価操作」となりかねません。

            ■アベノミクスも消費税も「多国籍企業などに富を集中させること」が目的

            消費税について、「社会的弱者が辛うじて得ていた生活費までをも吸い上げ、社会全体で産みだした富を多国籍企業やそこに連なる富裕層に集中させていくシステム」と斉藤貴男氏(「消費税のカラクリ」講談社現代新書)は喝破しています。アベノミクスは「富を多国籍企業やそこに連なる富裕層に集中させていく」経済政策に他なりません。

             
            Posted by : 川本幸立 | 国政選挙 | 18:40 | - | - | - | - |
            「住民の安全の確保」を放棄した市議会、県議会、知事、政府 〜川内原発再稼働に鹿児島県知事が同意表明
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              「安全は、事故の前に止まること」
              「止まらないシステムは安全ではない」
              「安全は確認して改めて「安全」と認められる」
              「安全が確認できないとき(不安)、危険とみなす」
              「停止リスクで真のリスクマネジメント」
              「人間は自分の命を守る義務がある」
              「“安全確認型”が国際(グローバル)基準、しかし日本は世界に通用しない“危険検出型”」
              「シンドラーエレベータ事故 便利のために安全装置を無効にする日本」
              「混迷する日本のモノづくり、設計の一般原則の欠如 日本製だけが国際規格を無視」
              「モノづくりに、安全が教えられてこなかった」
              ・・・・。
              5日の千葉大での明治大学の杉本旭教授(安全学)の講義は「目からうろこ」でした。

              ●日本社会の構造―「安全のためにカネ儲けできないことは認めない」

              今日の朝刊「東京新聞」一面見出しは、「川内再稼働 知事が同意」「避難・設備・火山 不安残し」「事故の責任、国に」と、九州電力川内原発1、2号機の再稼働について、鹿児島県の伊藤知事が「安全性が確認された」として再稼働に同意したことを伝えています。

              伊藤知事は記者会見で「資源が限られた日本で、今の国民生活のレベルを守り、産業の活性化を図るにはどうするか。安全性がある程度約束されるなら、当分の間は原発の活用はやむを得ない」と述べ、規制委を「産業技術の最高の人たち」と表現し、事故が起きた場合の最終的な責任は「国にある」とした上で同意に踏み切りました。

              事故の前に止められない原発は「危険」そのものであり、「国が責任を負う」ということは、「国が原発を止める」こと以外にありません。
              東京電力福島第一原発事故の処理は「制御不能状態」であり何万もの人々が今も故郷を追われたままです。東京や千葉が「無人の街」になるという「最悪のシナリオ」に至らなかったのは偶然の出来事のおかげでした。未だ、事故の全容も事故原因も未解明のままです。
              一方、公表された「吉田調書」から福島事故は“accident”ではなく“injury”(=防ぐことの可能な事故)であったことがより明確になりました。
              にも関らず、未だ誰も事故の責任も問われないまま、ツケは被害者、住民、環境へとしっかりまわされています。
              そもそも地方自治体、首長の一番の任務は住民の生命、安全の確保ですが、伊藤知事はいとも簡単に自らの任務を放棄し、コアチャッチャーがないなど安全思想が欠落した日本の原発の売り込みに熱心な安倍政権に委ねてしまいました。

              また、原子力規制委員会は安全に責任を負う「認証機関」ではなく、単に審査書が(不十分きわまる)規制基準に適合するかどうかを判断する組織です。田中俊一委員長も適合の判断が「安全を保証するものではない」と明言しています。
              火山噴火の危険性については、「巨大噴火の予知は不可能」であることが火山噴火予知連絡会の見解であり、神戸大学の巽教授(マグマ学)らは、御嶽山噴火の10万倍にあたる百万立法前幣紊痢峙霏腑ルデラ噴火」が今後100年間に起きる確率を約1%とする試算をまとめました。火山、地震など、日本に原発を設けることそのものが無謀そのものであることがより明確になりました。ところが、これら指摘に対し、規制委員会は火山噴火に関する無知をさらけ出し、田中委員長は、記者会見で逆切れするという醜態をみせました。規制委員会委員の面々は、審査に不可欠な「安全学」についての知見も乏しいのは明らかですが、それぞれの「専門分野の知識」と「審査で問われる知識」がマッチングしているのかどうか検証が必要です。
              伊藤知事は規制委を「産業技術の最高の人たち」と評したその根拠を示すべきです。

              さて、死亡者40人、負傷者200人を出した2011年7月の中国温州市鉄道衝突脱線事故で、事故車両を穴に埋めて2日後に運転再開したことを杉本教授の資料では、「安全のために遅れるのは認めない 中国の安全の構造(?)」としています。
              日本では中国をタタく材料として使われたようですが、川内再稼働表明に至る経過を総括すると「安全のためにカネ儲けできないことは認めない 強欲が支配する日本の構造」といえるでしょう。

              ●愚かな政府、知事、県議会、市議会をつくった責任は有権者の責任

              過去の公害事件、自然災害事件を振り返って思うことは、自分自身や家族の生命、健康に関わることは決して国・政府、自治体、役人、有力者、専門家に委ねてはならない、自分で情報を集め、最後は自分の頭で考え判断するしかない、ということです。
              しかし、こうした問題を深く考えず、平気で「お上」に委ねて「心の平安」を保とうという人々が多数を占めるようです。

              安倍自民党、伊藤知事、再稼働を容認する県議会、市議会を選んだのは有権者一人一人です。生命や健康よりカネ儲けを優先する「愚かな地方自治体・議会、政府」をつくってしまったのは、有権者の責任です。市民が市民を問いただして「責任ある主権者として公共を担う」市民社会をつくりあげるしか方法はないでしょう。

               
              Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 17:18 | - | - | - | - |
              わずか55年で日本を破滅に追い込んだ「明治憲法」体制
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                昨日23日は雨の中、「とけ・九条の会」「誉田九条の会」の7回目の平和バスツアーで安房鴨川を訪ねました。昨年は東京・あきる野市の五日市憲法草案(全文204条、内、国民の権利及び基本的人権条文150条)発祥の地を訪ね、明治の自由民権運動(政治運動+文化運動)で先人たちが獲得を目指した国民の権利(基本的人権)への強い思いが、現憲法にしっかり息づいていることを学びました。今回のツアーの目的の一つは、房総の自由民権運動を学ぶことでした。

                自由民権運動を徹底的に弾圧してできた明治憲法の制定過程、特質、日本にもたらしたものをまず考えてみましょう。

                ●明治憲法【その1】〜プロシア憲法を模範としてごく少数で秘密裏に起草された

                明治政府は1882(明治15)年、専制君主制の憲法をつくる方針の下、憲法調査のため、伊藤博文らをヨーロッパに派遣しました。
                プロシア憲法から伊藤は、ゞο太ではなく立憲君主制を、君主の権限は憲法・国会によって制限されないこと、の「2つの原則」を学び、さらに9餡颪慮限を制限し、た邑△砲弔い得限しうる憲法の立案という、自由民権家が求める憲法とは真逆の憲法をめざしました。
                伊藤は岩倉具視宛ての手紙で、「実に英米仏の自由過激論者の著述のみを金科玉条の如く誤信し、殆んど国家を傾けんとするの勢は今日わが国の現情御座候へども、これを挽回するの道理と手段とを得候」と書いています。
                伊藤は1886年〜87年にかけて、井上毅、伊東巳代治、金子堅太郎らと私邸・別荘にこもり、草案(明治憲法の原案)を作成し、1888(明治21)年に設置された枢密院で憲法、付属法令が審議されました。1889(明治22)年2月11日、天皇は憲法発布の勅語を発し、「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」(第一条)、「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」(第二条)とし、軍隊の統帥・編制、緊急命令・宣戦・講和・条約締結・戒厳布告、司法、法律の裁可・公布・執行、議会の招集・開会・閉会・停会などを天皇の大権とする「大日本帝国憲法」(=明治憲法)を宣言しました。民権家が求めた基本的人権は徹底的に排除されました。
                憲法の起草、審議はすべて完全な秘密とされ、憲法論議を禁止するために伊藤は1886年12月、保安条例を公布し、枢密院の会議では議案はもちろん、顧問官のメモも院外に持ち出すことを禁止するという措置をとりました。
                (日本歴史展望第11巻 「明治国家の明暗」旺文社、1982年)
                明治憲法は文字通り、英米仏からは学ばず、プロシア憲法を模倣してドイツ人の助言者を含むごく少数で秘密裏に起草された作文でした。

                ●明治憲法【その2】〜日本の伝統とは無縁の宗教=「国家神道」を利用した天皇の「神格化=絶対化」

                稲垣久和氏は、明治憲法がヨーロッパ諸国の憲法と異なる点として、「大げさなことに皇祖(天照大神から神武天皇に至る神話にもとづく天皇の祖先)・皇宗(神武天皇以降の歴代天皇)の神霊に告げる形式で始まる」こと、「国家主権者である君主を神話構造の中に置いて神格化するという政治と宗教を直結させる構造」を指摘しています。
                「ヨーロッパでは絶対主義国家の時代でもたとえ形式的にしろ、神⇒王⇒民という順序があった、王権は神から委託されたという「王権神授」という考え方が成立した。ヨーロッパでは1789年のフランス革命などの市民革命を経て近代国民国家が成立し、王権神授説という国家主権論から国民主権論への転換を成し遂げたが、明治維新ではその歴史的認識はまったく生かされなかった」
                「幕末から明治維新期にかけて、「天皇を神にする」ような一部の国学者の偏狭な思想が、倒幕のエネルギーに利用された。それに影響された明治政府は、神仏分離、廃仏毀釈の政策をとり、仏もまた民俗的な神々も政治の力で一掃してしまった。その神仏不在の場所に、今度は天皇という新たな神を位置づけた。これが国家神道という政治宗教である
                「この新しい神道は、対外的には徳川幕府に代わる薩長政府の政治支配を確立させ、対外的には全国民の力を天皇という一点に集中させた。この独特な「滅私奉公イデオロギー」により日本を西洋諸国並みの「近代国家」に仕立てようとした」(「靖国神社「解放」論」稲垣久和著、光文社)

                「天皇神話」に基づく「滅私奉公イデオロギー」で国民を洗脳し、政治支配の確立を意図した明治政府が、ヨーロッパの市民革命に学び国民主権論・人権論を唱える自由民権運動を徹底的に弾圧した理由がよくわかります。
                その点で、明治憲法は、靖国神社、教育勅語(1890年)と切り離して考えることはできませんし、明治維新及び明治憲法発布までの20年間の批判的な検討も必要だと思います。

                ●明治憲法【その3】〜わずか55年で日本を破滅に導いた

                その後、天皇の軍隊の統帥・編制、緊急命令・宣戦などの統治大権を定めた明治憲法下の1937年〜45年の8年間の戦争だけで、アジア諸国で約2300万人の犠牲者を出しました。

                厚労省の公式発表によれば、日中戦争の発端となった1937年7月7日の盧溝橋事件から45年8月15日までの日本人戦没者数は、310万人。40年当時の日本の人口は約7311万人なので、日本人の24人に一人が亡くなったことになります。
                内訳は、軍人・軍属が230万人で、そのうち「外地」での死者が210万人。民間人は「外地」30万人に、空襲や原爆による「戦災死没者」が50万人。沖縄戦の犠牲者は、軍人、民間人ともなぜか「外地」にカウントされているといいます。
                厚労省は死因別や負傷者数のデータは把握しておらず、故・藤原彰一橋大教授の試算によると230万人軍人・軍属の死者中、約6割の140万前後が病死を含む広い意味での餓死者ということです。(2010年8月10日「毎日」朝刊の「発信箱」)

                なお、太平洋戦争開戦の目的に「大東亜共栄圏の確立」を挙げて美化する傾向があるようですが、「米英に対する宣戦の詔書」原案を練り上げた陸軍省軍務局軍務課高級課員の石井秋穂氏は、「大東亜戦争の目的は日本の自存自衛体制の確立にあった。それ以外の目的はなにひとつ意図していないし、ここにも書かれてはいない」とし、東亜の解放や大東亜共栄圏確立などは開戦の目的ではなかったと明言していたそうです。(「「特攻」と日本人」保阪正康著、講談社現代新書、2005年)

                さて、日本が受諾したポツダム宣言によれば、戦前の日本は、「無分別ナル打算ニ依リ日本帝國ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍國主義的助言者」「無責任ナル軍國主義」「日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者」に支配される国であると糾弾されています。
                この「無責任ナル軍國主義」国家体制(戦前レジーム)をつくりだしたのが明治憲法そのものです。
                民権家を弾圧した政治権力は今度はアジア諸国で大規模に多くの人々の命を奪い、悲惨な状況に追い込みました。

                「・・・日本の民権家たちは、過酷な弾圧のもと茅屋(ぼうおく)の暗い炉辺に集い、自力で難解な法律書を読み抜き、逐条討論を重ねながら自由と人権を保障する憲法草案をつくり上げていたのである。あれから100年、歴史の審判はどのように下ったか。大日本帝国憲法は施行後わずか55年で命脈が尽きた。民衆憲法案は土蔵のすみに埋もれていたが、敗戦直後、民間草案の中によみがえり、現日本国憲法の中に生きてその光を放っている」(前掲著、日本歴史展望第11巻 「明治国家の明暗」、18頁)

                今、明治憲法下の55年の歴史を改ざんし「戦前レジーム」の復活を目指す安倍が目指しているのは「我儘ナル軍國主義者が跋扈する国」に他なりません。
                21世紀に自由民権運動を再興する意義はこの点にあります。

                ●房総の自由民権運動

                23日は、2012年に開館した房総自由民権資料館と民権活動家の原亀太郎墓碑(千枚田)と安田薫墓碑(大山不動尊)を訪ねました。

                「「民権館」創業の経過」によれば、開館に先立ち、1987年〜2002年にかけて10回の自由民権資料展が開催され、1998年にはWEB資料館が開設されています。
                資料館では元高校教師の佐久間館長のお話を伺い豊富な展示資料を鑑賞しました。ちょうど私たちが訪ねたことで入館者400人を達成したとのことで400人目にあたる方が、館長から著書とサツマイモを贈呈されました。
                収集した文書約1000点、書籍10000冊を収蔵していますが、民権家がむさぼり読んだという当時のスペンサーの「社会平権論」、ルソーの「民約論」、ミルの「自由之理」の翻訳本などを手に取ってみました。

                芝山町の桜井静が1879年に、全国の地方議員や有志に「国会開設懇請願案」を送付し運動に火をつけたり、憲法構想の「大日本国会法草案」(全文51条)を起草するなど、千葉は全国の先頭にたって民権運動を担ってきましたが、この鴨川の大山地区(千葉の最高峰・愛宕山の北側)は拠点の一つでした。昨秋、長女に連れられて加藤登紀子さんの農場の収穫祭に参加するためこの地域に来ましたが、まさか大山千枚田のこの地域が民権運動の拠点だとは考えも及びませんでした。(佐久間館長の著作の「房総の自由民権」を読んでいたハズですが・・)
                 
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                房総自由民権資料館
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                大山千枚田から原亀太郎墓碑を望む
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                Posted by : 川本幸立 | 憲法 | 17:08 | - | - | - | - |
                 千葉県に部分不開示決定に関して異議申し立ての意見陳述をおこなう  〜野田市産廃処分場に係る県の立入調査結果報告、パトロール報告などの文書開示請求
                0
                  木曽の御嶽が昨日27日噴火しました。噴火発生時は警戒レベル1で、気象庁は「噴火の予測は困難だった」としています。
                  以前登った、浅間山の登山口でも、登山者への注意看板で、以前の噴火は前兆なしに起こったものがあり、予測不可能な噴火が起こる可能性は常にあるとし、「自己責任」で登山して欲しい、と明記されていました。
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                  鹿児島の九電川内原発の再稼働に当たり、原子力規制委員会は今月、噴火の影響は小さいとして新規制基準に適合しているとしました。今回の噴火は、それに対する自然の側からの警鐘です。

                  さて、県議在職中に取り組み、白黒つかなかった課題の内、野田市にある工業団地内の産廃中間処分場周辺の健康被害の問題があります。この問題について9月25日午後、千葉県本庁舎内の会議室で、約20分ほど、千葉県に部分不開示決定に関して異議申し立ての意見陳述を行いました。
                  昨年7月23日に提出した異議申立書で、意見陳述の申し出をしていましたが、1年2か月たってようやく実現したことになります。
                  以下に意見陳述した内容を報告します。

                  【意見陳述書】(2014年9月25日) 川本 幸立(千葉市緑区在住)

                  (*当日準備した原稿を踏まえて再編集したものであり、一部、当日の陳述内容と異なる部分もある。)

                  私は、建築技術者として化学プラントメーカーに約18年間勤務し、中央制御室、危険物倉庫・分析室・工業系クリーンルームなど多種多様な建築物の設計とりわけ空調・換気などの設備設計に関わってきた経歴を持ちます。また本公害事件については県議会議員在職中に現地調査、議会質問などで深くかかわった経緯がある。

                  これらを踏まえて、本件の文書開示請求者として、千葉県知事の廃第333号及び694号の行政文書部分開示決定通知書2項の「非公開情報に係る部分」に関する不開示決定を取り消す決定を求める。
                   (但し、「法人代表者印の印影」、「個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報」については除外する)
                  以下、2013年7月23日付の私自身の「部分不開示決定に関する異議申立書」について補足意見を述べさせていただきます。

                  ●不服申し立ての経緯

                  本件に関係する事業者つまり野田市工業団地内で操業している産業廃棄物中間処分場(柏廃材処理センター野田工場)は、2007年4月に操業を開始したものの、排ガス中の塩化水素濃度の基準超過が判明し、稼働を停止し、その後、千葉県の改善勧告が行われ、「千葉県廃棄物処理施設設置等専門委員会」において審議されたが、県未承認のまま事業者が勝手に稼働を再開した経緯がある。

                  その後、事業所の周辺地域住民から被害の訴えが相次ぎ、悪臭と共に、大気汚染物質のため洗濯物が干せない、金属類がさびやすい、化学物質過敏症に類する症状がみられるなどの訴えがあり、健康影響の広がりが危惧されていた。

                  2009年9月の野田市の調査の結果、のど48%、目40%、鼻36%の症状と咳・痰34%、息苦しさ20%、頭痛19%、吐き気8%など体調不具合な市民が多発していることが明らかになった。そして多くの住民から産廃110番などを通じて苦情が寄せられた。

                  その主原因の一つとしてVOC(揮発性有機化合物)の可能性が指摘されている。VOCは東京都新宿区と杉並区、町田市でプラスチック主体の雑廃棄物を積み換えるごみ中継所周辺での健康被害、いわゆる「杉並」病の原因物質として注目されたものである。当時の東京都の委託分析では、3種類のイソシアネートが検出された。イソシアネートはどれでも、ごく低濃度に一時的に曝露しても、免疫メカニズムの後遺症として、過敏症を生ずるものである。

                  本件では、2010年夏、2011年冬の2回VOC分析が実施された。その2回の結果をあわせると131種のVOCが検出され、その中には酸化するとイソシアネートの一種、メチルイソシアネートになる、メチルイソニトリルがあった。メチルイソシアネートとは、世界最大の化学物質公害と言われるインド・ボパール事件の原因物質である。
                  その他、1種のケテンや5種のニトリルなど劇物・毒物として著しく有害なものも検出されたことが報告されている。

                  これらの検出調査から、当該事業所の破砕選別棟での作業による機械的化学反応(メカノケミカル反応)とずさんな保管管理による影響の可能性、VOC化合物を無機化合物に変質できていないという不適切な焼却(燃焼温度管理)の可能性が推察された。

                  当該事業所に対して、県は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第19条規定による立ち入り調査を行い、現場の維持管理状況を確認し、その結果を庁内で報告し、必要に応じ事業者に対し指導事項票を交付してきた。また、住民からの産廃110番などの受電で現場の監視・パトロールを実施し、その記録書兼報告書を作成してきた。
                  しかし、これらの文書が住民に開示されることはなかった。

                  当該施設の管理の実態、周辺住民からの産廃110番時の施設の状況、トラブルの要因、県職員の対応と事業者への指導内容、それに対する事業者の改善状況などは、健康被害などとの因果関係を含め生命、健康に関わる重要な情報であり、住民として最も関心のある情報である。

                  ●廃第333号について(2013年5月)〜不開示理由の根拠

                  開示請求の結果、パトロール記録書兼報告書、立入調査報告書、立入検査票、運転状況確認票、復命書が開示されたが、その実態は、

                  ・パトロール記録書兼報告書は、「○時○分に通報あり現場確認」という記載を除き、その他は不開示。
                  ・立入調査報告書は、日時、立入場所、立入者の記載以外は、不開示。
                  ・立入検査票は、立入検査結果、総合評価(適・不適)、各項目毎の評価が不開示、
                  ・指導事項票は肝心の「指導・指示事項」が不開示、写真も非開示、運転状況確認票も不開示
                  といういわゆる「黒塗り」の文書開示であった。

                  これでは、当該施設の管理の実態、周辺住民からの産廃110番時の施設の状況、トラブルの要因、県職員の対応と事業者への指導内容、それに対する事業者の改善状況など、健康被害などとの因果関係を含め生命、健康に関わる重要な情報が一つも提供されないことになる。

                  県によれば、不開示の理由は、千葉県情報公開条例第8条第3号イ、第5号及び第6号に該当というもの。
                  つまり、公にすることにより、
                  ・当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
                  ・率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、
                  ・不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ
                  ・特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
                  ・当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
                  に該当するというものだった。

                  しかし、県は不開示の具体的根拠理由を何ら示さないばかりか、これらの情報が異議申立人が開示を求める根拠としている、第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当するかどうかの具体的な検討・判断を一切していない。これは明らかに、職務怠慢に他ならない。

                  ●廃第694号について(2014年7月)〜一部開示情報を検討する

                  今年7月になって、不開示情報の一部が開示された。不開示決定後の時間の経過の中で、この間すでに公になった情報については開示することにしたという旨の口頭説明を受けた。

                  この7月に一部、開示された情報は、
                  ・「パトロール記録書兼報告書」の主要な文(但し、一部不開示)
                  ・「立入検査票」の検査結果の一部、総合評価の一部、各項目毎の評価
                  でした。

                  しかし、
                  ・事業所内で撮影した写真
                  ・肝心の「指導事項票」の指導・指示事項
                  ・「立入調査報告書」の一部
                  ・「立入検査票」の一部
                  は不開示のままだった。

                  そこで、まずこの一部開示された情報について検討した。
                  ・さきほど挙げた2つのポイント、つまり廃棄物の保管・管理の実態、燃焼温度管理の実態の面から検討結果を指摘します。
                  まず、破砕選別棟や保管庫での空気の漏出防止(換気設備など陰圧状況、ドラム缶の密閉など廃棄物の保管状況、出入り口の閉鎖)などの状況がどうなっているかということですが、
                  廃棄物の管理・保管の実態では、
                  保管庫のシャッターが一部開状態を含めて頻繁に開状況放置が報告されている
                  作業も頻繁にシャッターを開閉して実施せざるをえないこと。
                  保管庫シャッター故障(シャッター開状況)の放置、
                  保管庫内で処理したばかりのドラム缶が口を開けたまま保管、ドラム缶から強い溶剤臭
                  屋外保管場所以外での廃棄物保管(廃洗剤、廃ウェスなど入った)
                  屋外で廃洗剤を缶からドラム缶への移し替え作業の実施を現認した
                  場内での異臭⇒改善の必要有と指摘
                  ばいじん保管庫からばいじんの漏出
                  H22.6.2 火災通報で現場確認。保管庫の中で、爆発音確認。


                  燃焼温度管理では、基準を満足しない800度未満の状態が頻繁
                  炉内温度:H23.9 675℃、697℃、
                  H24.5.3 708℃
                  ⇒「新たな廃材を入れた際、一時的に温度が下がる」ことが明記
                  二次燃焼室温度:H23.2.9 792℃、795℃
                  H22.7.13 731℃
                  H23.9 751℃、791℃

                  ・また「現認」(=現場確認)事項では、
                  ばいじん測定口が腐食により塞がり、ばい煙測定ができなかった。塩化水素濃度及びばい煙濃度故障、パソコントラブルにより、炉の温度、CO等の記録が6日間記録されていなかった⇒保守管理が不十分
                  H22.4.24 建屋上部に粉じんがただよっていた。
                  H22.6.5 計器の建物の中は堆積物が多く堆積しており、かなりの異臭があった。
                  H22.6.17 建物の中の堆積物はかなりの異臭があった。
                  H23.2.9 バグフィルタから煙突への煙道において、上記の漏えいを確認した。周囲でHCLと思われる刺激臭を感じた。
                  H23.6.16 焼却前の状態で倉庫に保管されている廃棄物に強度の異臭が認められた。
                  H24.6.24 4件の産廃110番で現場急行、現場近くの国道16号を走行中に若干の異臭、200m離れた場所ではかなりの異臭が感じられた(パトロール記録書・報告書)

                  つまり、廃第694号で一部開示となった情報を検討した結果、

                      開示された情報は、第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」に該当する情報にほかならないこと

                      事業者の破砕選別棟や保管庫での空気の漏出防止(換気設備など陰圧状況、ドラム缶の密閉など廃棄物の保管状況、出入り口の閉鎖)状況、焼却設備の燃焼管理がきわめて杜撰であること。さらに火災事故の発生、計器類・シャッターの保守管理のずさんさが頻繁で、事業者としてのコンプライアンスへの姿勢、周辺環境・住民への配慮の姿勢、つまり事業者としての根本姿勢に疑問を抱かせるものであること。

                      これらの情報を当初、千葉県情報公開条例第8条第3号イ、第5号及び第6号の規定を元に不開示の理由とした県の判断が不当であること。また例えこれらの規定に該当するとしても頻繁な不祥事、事故が多発する事業場に関しては、比較衡量の結果、当然第8条第2号ロ、第3号の、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」として間違いなく公開されるべきものであること。

                      未だ不開示とされている、県から事業者への具体的な指導内容である「指導事項票」の全面開示、及び事業所内の管理状況並びに不適切な実態を示す写真すべての全面開示が一層求められること。

                  が誰の目にも明らかになった。
                  是非、全面公開し、県として的確な指導を行ってきたことを、県民に明らかにしていただきたい。

                  なお、非開示写真の「撮影内容」覧の記述からいくつか指摘すれば、
                  H24.1.31に「撮影内容」として「セメンダインのような臭いのする紛体」の説明のある写真、H24.3.8「灰出し室前面⇒あいじん等が流出」とある写真、H24.3.14「測定口1開けた際は酸臭がかなりあった」、「測定口1に付着していた物質」の写真、H24.11.29「有機溶剤臭のする液体(破砕選別棟の床)、H22.6.2[現場の状況(この倉庫の中で爆発音あり)]「現場の状況(12:40火災発生、13:38鎮火)、H22.6.9「赤コンテナは、許可証に記載されていない」「ばいじん保管庫、内部から埃(ほこり)状のものがでていた」、H22.6.28「保管庫内から洗浄水が流出していた」、H22.7.13「熱交換器上部。白煙が認められた」
                  などがある。
                  これらは開示されるべきである。

                  また、「運転状況確認票」の記載について一言申し述べたい。
                  「確認票」によれば、炉内温度、二次燃焼室温度で「基準値800℃以上」とし、測定値が800℃以上あれば問題なしとしているようであるが、「炉内の温度分布があるなかで最も低い個所が800℃以上」を意味するとすれば炉内の温度分布の実態を把握することなしに判断はできないはずである。測定ポイントが800℃あれば問題なしとする根拠を伺いたい。
                  次に、異臭については、たびたび現認されているが、異臭の原因物質の特定がなされていない。少なくとも記載がない。現認後にどのような分析など要因追求がなされたのか伺いたい。
                  さらに保管庫の密閉状況、減圧状況を確認しているが、具体的にどのような測定具あるいは数値上の計算を行ったのか?保管庫の排気量、開口部・すきま面積などから簡易な計算により「減圧状況」の概要が把握できます。問題なしとした場合の根拠を伺いたい。

                  ●不開示情報は、生命・健康に関わる情報であり、著作者人格権は不開示の理由にはならない〜大阪府高槻市のJT(日本たばこ)医薬総合研究所の建築確認申請図書(設備関係)の情報公開訴訟」(以下「JT裁判」という)の確定判決から

                  最後に、私が建築技術者として、情報公開に関わる住民訴訟に関与し、その結果、勝訴した大阪府高槻市のJT(日本たばこ)医薬総合研究所の建築確認申請図書(設備関係)の情報公開訴訟」(以下「JT裁判」という)の確定判決内容を紹介したいと思います。

                  原告は高槻市の住民で高槻市情報公開条例に基づき公開を求めたが高槻市は不開示決定をし、異議申し立てた審査会でも請求を棄却する決定を下され、そこで、裁判に至ったが、2005年に原告勝訴が確定し500枚以上の設計図書が全面公開となった。

                  裁判の争点は、当該設計図書が、々眥仍埔霾鷂開条例第6条第1項第2号の「法人に関する情報」の「公開することにより、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当する不開示情報にあたるのか、△修良坡示情報にあたるにしても「但書ア、人の生命、身体又は健康を害するおそれのある事業活動にある情報」に該当し、不開示情報から除外されるのか、「但書ア」に該当しても著作権あるいは著作者人格権(公表権)の法による権利を条例により制限することになり、第6条第2項「実施機関は、法令又は条例の規定により公開することができない情報については、公開しないものとする」に照らして許されるか、というものであった。

                  確定判決となった大阪高裁判決の趣旨は、
                  当該設計図書は、
                  「公開することにより 当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当すること。
                  Jt研究所が行っている遺伝子組み換え実験等の事業活動は、「人の生命、身体又は健康に害するおそれのある事業活動」であり、「但書ア」に該当するとし、そして「おそれのある事業活動」とは、「その活動によって、人の生命、身体又は健康を害する可能性があり、特別な安全対策なしには社会的に存立が許されない事業活動」であると規定した。
                  また、著作者人格権についてはそれを認めた上で、公開によりJTらが被る不利益の程度は、公開によって回避しうる被害に比べはるかに小さいと認めるのが相当であるとし、
                  著作者人格権を根拠に当該文書の公開を拒むことは権利の乱用であり、高槻市の条例第6条第二項は適用されない
                  とした。


                  県情報公開条例は、前文で「地方自治の本旨」(=住民の意思で事柄を決めること)にのっとった県政運営を基本とすること、そのために県民の「知る権利」を尊重することをうたっている。そして原則公開とし、原則公開の適用除外項目については同条例第8条に規定があるが、第8条第2号ロ、第3号で、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」については、たとえ不開示情報に該当しても公開するものとしている。

                  この確定判決の趣旨を本件に適用すれば、
                  そもそも当該施設の事業活動は厳格な燃焼条件、フィルターの設置など特別な安全対策なしには社会的に存立が許されない事業活動であり、そのことから「人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれのある事業活動」と言える。

                  当該廃棄物処理施設について頻繁に立入調査が行われているのは、当該施設周辺で多数の健康被害を訴える声や産廃110番通報が寄せられるなど、公害源と公害因子の特定、根絶対策をとることが県に緊急に要請されているからであり、かつ過去に当該施設を発生源とした公害問題が起こった経緯があるからである。
                  すなはち、当該事業活動により人の生命、健康、生活又は財産を害する現実的な可能性があると認められる。

                  非公開部分が公開されることにより、当該事業所の安全管理の実態を住民も知ることとなり、それにより事業者も徹底した安全施策の実行が求められることとなることが期待される。その際、著作者人格権は障害とはならない。

                  なお、今回開示を求めている産廃関係の写真を含めた情報は、少なくとも奈良県、福岡県などは個人情報などを除外して公開されていると聞き及びます。

                  以上、全面開示を求めて意見陳述をおわります。

                   
                  Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 10:48 | - | - | - | - |
                  「偶然の出来事」なければ、千葉市全域も「無人の街」になっていた 〜東電「吉田調書」から読み取るべきこと
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                    1977年9月27日、横浜市緑区(現青葉区)に米海軍厚木基地を飛び立った米軍ファントム戦闘機が墜落し、巻き添えの母子3人が死亡する事故が起きました。本日は、この悲惨な事故から37年となります。パラシュートで脱出したパイロットらは日米地位協定で不起訴となり、米軍の賠償も認められませんでした。
                    ちょうど、事故多発の米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが各地に飛来していることから墜落事故の危険は37年前と変わることはありません。

                    昨日26日朝の土気駅での「とけ・九条の会」の活動で、私はこのことに触れながら、政府が、木更津をオスプレイ整備拠点として検討していることから千葉県も他人事ではないこと、さらに26日「東京新聞」朝刊が、「オスプレイ整備拠点として防衛省から木更津市に説明があったこと、防衛省幹部は市長に対し、『米軍が行う整備の国際入札に、日本企業が参加してもらいたい、落札したら木更津駐屯地に誘致したい』と説明した」と報じていることを取り上げ、住民の安全より、軍需産業の拡大と金儲けを優先させるものであり、オスプレイ配置、整備拠点ノー!の声を挙げようと訴えました。

                    米国の「核の傘」に依存し、「核廃絶」政策を排除してきた歴代の政権、その中でも、人類の手におえない原発の輸出や再稼働を推進し、「武器輸出三原則」を放棄して破壊と殺人を目的とする武器の輸出や軍需産業に、カネ儲けや地域経済をゆだねる路線まっしぐらの安倍政権です。その先にあるのは、核が拡散し、国家・民族の対立が煽られ肝心な情報が切断され人々が相互に監視する社会、その一方で、途方もない格差と貧困の中で、軍隊に「希望」をゆだねざるを得ない若者を作り出す社会に他なりません。

                    ちょうど、25日夜7時半からのNHKのクローズアップ現代では、子どもの「食の貧困」を特集していました。一日の食費が300円台、まともな食事は学校給食だけ、生きるエネルギー喪失の危機にある多くの子ども達の実態に改めて驚かされました。2012年度の子どもの貧困率(18歳未満の貧しい子供の割合)が16.6%と最高となり、40人学級で換算すると一クラスで6人〜7人が貧困状態にあるといいます。
                    私たち主権者が取り組むべきことは、要は「若者が幸せな社会」をつくること、であると強く感じます。私も何か具体的に実践したいと思います。

                    【とけ・九条の会ニュース第50号から】
                    「我々のイメージは東日本崩壊ですよ」 〜東電「吉田調書」から読み取る

                    9月11日、政府は東電福島第一原発事故をめぐる政府事故調査・検証委員会が実施した故・吉田昌郎元所長(2010年6月〜所長、昨年7月死去)ら19人の聴取結果書(調書)を公開しました。

                    この「吉田調書」によれば、1,3号機が水素爆発し、2号機が打つ手なしの状況が続き、核燃料の膨大な放射性物質が全て流出する最大の危機を迎える中、吉田氏は「本当に死んだと思った」「最悪の事故ですから(旧ソ連の)チェルノブイリ級ではなくて、チャイナシンドロームの状況になってしまう」「我々のイメージは東日本崩壊ですよ」と振り返っています。
                    この2号機の危機は、地下の圧力抑制室が損傷して圧力が抜けるという偶然の出来事で注水ができるようになり最悪の状況(千葉市域も住めない地域となる)は避けられました。

                    ●慢心と「カネ」の出し惜しみ〜08年試算15m津波への備えも訓練もなし

                    また、2008年に東電が三陸沖地震で福島第一に「15.7m」の津波が来る可能性があるとの試算をし、国との勉強会で津波による全電源喪失の危険性があると報告したにもかかわらず対策を講じなかった理由について、当時、原子力設備管理部長だった吉田氏は「当然のことながら一番重要なのはお金。対策費用の概略をずっと(社内幹部に)説明していた」と、対策費用の出し惜しみをしていたこと、そして3.11前に事前の備えも訓練もなかったことについては、「やはり(津波は)来ないと思っていたからだ」「スイッチを押せばその通りに動いてくれるという前提でのマネジメント。オールジャパンどこでもそうだと思う」と答えています。人類の手に負えない原発の再稼働を画策すること自体が誤りであることを、「吉田調書」から読み取る必要があるでしょう。

                    ●政府が、木更津を墜落事故多発のオスプレイ整備拠点として検討

                    米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に所属する垂直離着陸輸送機オスプレイの定期整備拠点として陸上自衛隊木更津駐屯地(木更津市)を政府内で検討していることが報道されています。オスプレイは、開発段階の1991年〜2000年で4回の墜落事故を起こし30人が死亡、実戦配備後もアフガニスタン、モロッコ、米フロリダ州で事故が相次ぎ、構造的欠陥が指摘されています

                    ●経済同友会専務理事が「貧困徴兵制」を提案?!

                    文科省は8月末、大学生の経済支援に関する報告書をまとめました。
                    その中で文科省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」で、メンバーの経済同友会専務理事の前原金一氏が、「奨学金返還の延滞者に防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか」と発言していたことが報道されています。(「東京」9月3日朝刊)

                    ところで、米国の兵士の数は約140万(他に州兵40数万、予備役120万)です。「志願制」とはいうもののその実態は「貧困徴兵制」と呼ばれています。
                    学歴社会の米国で仕事を得るには大学卒業資格は必須です。格差社会の底辺から、「大学へ行くため」「技術を身につけるため」「医療保健のため」若者たちは軍隊を選ぶのです。
                    軍隊では人殺しの為、「命令には、疑問を持たずに、直ちに、正確に従う」人格づくりが行われます。米国では国民の100人に1人、300万人がホームレスだといわれますが、その内の3人に1人は帰還兵といいます。

                    米軍、帰還兵を取材した映画監督の藤本幸久氏は次のように指摘します。
                    「取材してわかったのは、途方もない格差社会であり、途方もなく貧乏で救いのない人たちがいないと、戦争をできる軍隊はつくれないということです。」「軍隊に希望を感じてくれるような、格差社会の底辺の若者をたくさん生み出さなければ、憲法だけ改正して軍隊を作っても機能しない、と思っている人たちがいるんじゃないか」
                    「要するに若者が幸せにならないとだめなんです。今の若者たちの苦難を何とかしなければ、戦争をなくしていくことにはならない」(「アメリカ取材リポート」発行:影山あさ子事務所)

                    ●朝日新聞「吉田証言」誤報を
                    「慰安婦はねつ造」にすり替えて、世界から孤立する安倍政権とメディア


                    「慰安婦」とは、日本軍が設置した軍人軍属専用の慰安所で性的「慰安」を強制された女性で、植民地下の朝鮮半島や台湾のみならず、中国、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、ビルマ、タイ、カンボジア、グアム、南西諸島に及び、その数は、5万とも10万とも言われています。

                    そもそも「慰安婦」問題がクローズアップされたのは、91年8月の元「慰安婦」金学順さんの名乗り出と提訴・証言、中央大学の吉見義明教授らによる軍関与を示す資料(陸軍、米国、豪)の発見でした。93年の「河野談話」は、これらを踏まえ、軍の要請と関与、本人たちが意思に反して集められたこと、軍慰安所での強制を認め、歴代内閣は「河野談話」を継承してきました。河野談話後も、東京裁判記録、米国、中国、オランダのBC級戦犯裁判記録、オランダ政府による公文書調査など、「慰安婦」の強制連行を示す公文書が数々発見されてきました。

                    さて、朝日新聞が8月5,6日朝刊で、91年頃の「慰安婦」問題の自社の報道で、済州島で「慰安婦狩り」をしたと主張していた吉田清治氏の証言に依拠した報道について「裏付け得られず虚偽と判断」したことなどを認めました。これを利用して安倍政権や読売、産経らは「河野談話の、慰安婦が強制連行されたとの主張の根幹はもはや崩れた」と「慰安婦はねつ造」だと詭弁を弄しています。そもそも、前出の吉見教授を含め、研究者の間では「吉田証言は証拠として採用できない」とい立場が一般的でした。河野談話「作成過程」検討チームが6月に発表した「報告書」も「吉田証言」を無視しているように、吉田証言の誤りは「河野談話」に影響を与えるものではありません。

                    8月29日、国連人種差別撤廃委員会は、日本政府による実態の認識や被害者への謝罪、補償が不十分であることに懸念を表明し、慰安婦問題を否定する試みの糾弾、を求めました。このままでは安倍政権、メディアは世界から孤立してしまうのは間違いありません。

                     
                    Posted by : 川本幸立 | 東北・関東大震災と原発問題 | 10:42 | - | - | - | - |
                    国際社会では民衆扇動罪で罰されるヘイトスピーチと「慰安婦のウソ」報道 〜歴史的事実を偽る安倍政権と読売、産経、文春、新潮らの犯罪
                    0
                      ヘイトスピーチと「慰安婦」問題を放置する安倍政権を、国際社会が厳しく批判しています。

                      7月24日には国連人権規約委員会が日本政府に対し、ヘイトスピーチの街宣活動の禁止と犯罪者の
                      処罰を、「慰安婦」問題」では「公式謝罪と国家責任を認めること」や教科書への十分な記述など教育
                      の重要性を勧告しました。
                      その根拠として、差別される側が、刑法や民法で十分に保護されていないこと、あるいは元「慰安
                      婦」への人権侵害が続いていることが指摘されました。

                      8月29日には、国連人種差別撤廃委員会が、ヘイトスピーチについて集会やインターネット上など
                      メディアにおける人種差別を煽る行為に対する捜査や訴追が不十分と指摘し、
                          街宣活動での差別行為への断固とした対応
                          ヘイトスピーチに関わった個人や組織の訴追
                          ヘイトスピーチや憎悪を広めた政治家や公務員の処罰
                      などを勧告しました。
                      「慰安婦」問題については、日本政府による実態の認識や被害者への謝罪、補償が不十分であることに懸念を表明し、
                          元「慰安婦」の人権侵害調査、侵害に関与した責任者の処罰
                          元「慰安婦」に対する真摯な謝罪、全ての被害者とその家族への十分な補償
                          慰安婦問題を否定する試みの糾弾
                      を求めました。(「東京」8月30日朝刊など)

                      2つの勧告について、日本弁護士連合会から会長声明がだされていますので参照ください。
                      ・(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140801.html
                      ・(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140905_3.html

                      ●朝日新聞「吉田証言は虚偽」報告を「慰安婦のウソ」にすり替える右派メディアの犯罪

                      「慰安婦」問題であ、「週刊金曜日」の奮闘が目立ちます。同誌の3本の記事(*)から、「朝日」
                      報告とそれに対する右派メディア報道の誤り、「ねつ造」を整理してみましょう。

                      朝日新聞は8月5,6日朝刊で、過去の「慰安婦」問題の自社の報道で、〆兔E腓如岼岼舵惻蹐蝓
                      をしたと主張していた吉田清治氏の証言に依拠した報道(詳しい報道は91年の2回、93年以降はな
                      し)について「裏付け得られず虚偽と判断」したこと、△發箸發抜愀犬里覆ぐ岼舵悗塙場などに動
                      員された女子挺身隊とを混同する誤用があったこと、を認めました。ところが、「産経」「読売」など
                      はこのことから、「H5年の河野談話の、慰安婦が強制連行されたとの主張の根幹はもはや崩れた」と
                      主張しています。

                      「読売」はわざわざ「慰安婦報道検証 読売新聞はどう伝えたか」を大見出しにしたチラシを我が
                      家を含む各戸に配布していますが、読売自身が92年8月15日付夕刊で「吉田証言」を報じていたこ
                      とに触れてはいません。さらに、87年8月14日付読売で「従軍慰安婦」について「特に昭和17年
                      以降『女子挺身隊』の名のもとに、日韓併合で無理やり日本人扱いをされていた朝鮮半島の娘たちが
                      多数強制的に挑発されて戦場に送り込まれた」と報道していましたが、そのことについても触れては
                      いません。
                      要するに「慰安婦=女子挺身隊」という認識は、「慰安婦」問題の調査が十分に行われていなかった時
                      期の「漠然ともたれていた認識」を反映したものにすぎません。「慰安婦=女子挺身隊」でなくてそれ
                      がどうしたの?!というレベルの問題です。

                      そもそも「慰安婦」問題の節目となった報道は、91年8月の元「慰安婦」金学順さんの名乗り出と
                      提訴、中央大学の吉見義明教授による軍関与を示す資料の発見であり、「吉田証言」とは無関係です。
                      また、河野談話は「慰安婦」の強制連行について言及していませんし、河野談話「作成過程」検討チ
                      ームが6月に発表した「報告書」も「吉田証言」を無視しています。一方、河野談話後、研究、調査
                      により日本軍占領地における「慰安婦」の強制連行を示す証拠が発掘されています。

                      つまり「産経」「読売」らメディアこそが、「慰安婦は性奴隷ではなく売春婦」と主張したいがために、
                          「吉田証言と河野談話との不当な結び付け」、
                          「強制連行」という論点の過大視、
                          現に存在する「強制連行」の証拠の無視や過小評価、
                          「強制連行」概念の不当な歪曲
                      という4つの誤りを犯す「ねつ造」報道を行っていることになります。

                      朝日新聞報道と同じ8月6日、国連のナビ・ピレイ人権高等弁務官が「慰安婦」問題に関して表明
                      した日本への「深い遺憾の意」が報じられました。安倍政権、産経、読売らが国際社会での日本の評
                      価を辱める役割をしています。
                      つまり、安倍政権の閣僚、日本の右派メディアらは、国連の委員会が求める処罰の対象者に他なり
                      ません。

                      *「週刊金曜日」の以下の記事参照
                      1.「右派の『慰安婦』問題歪曲の卑劣」能川元一、2014.7.4
                      2.「吉見義明中央大教授に聞く〜右派紙の思惑が外れた『河野談話』検証」2014.7.25
                      3.「右派紙の『慰安婦報道批判』のデマ」能川元一、2014.8.22.

                      ●司法が認定した日本軍「慰安婦」

                      「慰安婦」問題に関する一次資料は、敗戦時の隠滅で大半が失われ、また戦後当局の隠ぺいにより
                      公表されていないのが実情である、といいます。
                      とはいうものの、政府調査より先行した民間調査により軍の関与を示す明確な資料が次々と発見され
                      ました。(「従軍慰安婦資料集」(吉見義明・編集・解説、大月書店、1992年)に詳しい)

                      そして、91年8月の金学順さんの提訴を含め、日本軍「慰安婦」問題で2010年3月まで10件の
                      裁判で判決が確定されました。10件すべて損害賠償は最高裁で棄却されましたが、内、8件で加害と
                      被害の事実が司法により認定されています。(事実認定なしの2件は、被害を否定したのではなく、
                      事実認定をしなかったもの)

                      そこでは、各控訴人らの被害事実(証拠及び弁論)を踏まえ、内閣外政審議室発表「いわゆる従軍
                      慰安婦問題の実態について
                      」の内容
                      がほぼ認定されています。その概要は以下の内容です。

                      ・旧日本軍においては、昭和7年(1932年)もいわゆる上海事変も後ころから、醜業を目的とする
                      軍事慰安所(以下単に「慰安所」という。)が設置され、そのころから終戦時まで、長期に、かつ広範
                      な地域にわたり、慰安所が設置され、数多くの軍隊慰安所が配置された。

                      ・当時の政府部内資料によれば各地における慰安所の開設の理由は、旧日本軍占領地域内で旧日本軍
                      人が住民に対し強姦などの不法な行為を行うことを防止し、これらの不法な行為によって反日感情が
                      醸成されることを防止する必要性があることなどとされていた。

                      ・軍隊慰安婦の募集は、旧日本軍当局の要請を受けた経営者の依頼により、斡旋業者がこれにあたっ
                      ていたが、戦争の拡大と共に軍隊慰安婦の確保の必要性が高まり、業者らは甘言を弄し、あるいは詐
                      欺脅迫により本人たちの意思に反して集めることが多く、さらに、官憲がこれに加担するなどの事例
                      も見られた。

                      ・旧日本軍は、業者と軍隊慰安婦の輸送について、特別に軍属に準じて渡航許可を与え、また、日本
                      国政府は軍隊慰安婦に身分証明書の発給を行っていた。

                      ・慰安所の多くは、旧日本軍の開設関与の下に民間業者より経営されていたが、一部地域においては
                      旧日本軍により直接経営されていた例もあった。民間業者の経営については、旧日本軍が慰安所の施
                      設を整備したり、慰安所の利用時間、利用料金、利用に際しての注意事項等を定めた慰安所規定を定
                      め、軍医による衛生管理が行われるなど、旧日本軍による慰安所の設置、運営、維持及び管理への直
                      接関与があった。また、軍隊慰安婦は、戦地では常時旧日本軍の管理下に置かれ、旧日本軍とともに
                      行動させられた。

                      ・戦線の拡大の後、敗走という混乱した状況の下で、旧日本軍がともに行動していた軍隊慰安婦を現
                      地に置き去りにした事例もあった。

                      各控訴人らの被害事実については、「司法が認定した日本軍『慰安婦』」(坪川宏子・大森典子、かも
                      がわブックレット、2011年)に詳しい。

                      また、日本陸軍による当時のオランダ領インドネシア占領下で、オランダ人女性に対する強制売春
                      事件に関するオランダ軍バタビア(現ジャカルタ)臨時軍法会議の調書は一次資料として貴重です。
                      「『慰安婦』強制連行」(梶村太一郎他、金曜日、2008年)を参照ください。

                      ●人格論、マイノリティの表現の自由を保障する為に、刑法にヘイトスピーチ処罰規定を設け、
                      「慰安婦のウソ」処罰法の制定を〜国連勧告に正面から答えるために


                      国連勧告を受け、自民党はヘイトスピーチの規制策を検討するプロジェクトチーム(PT)を立ち上
                      げたとのことですが、あろうことか市民による国会周辺の反原発など街頭活動の規制をたくらんでい
                      るといいます。高市早苗氏はヘイトスピーチについて「表現の自由との関係も考慮しつつ、啓発活動
                      の充実や法的規制の必要性も含め検討する」との方針を示しています。(「東京」9/2朝刊)

                      市民の街宣活動の規制は問題外として、自民党の対応の問題点として、「慰安婦」問題をヘイトスピー
                      チと切り離して考えていること、「人間の尊厳」「人格権」という視点が皆無だということです。

                      前田朗・東京造形大学教授(刑事人権論・戦争犯罪論)は、ヘイトスピーチについて
                          人間の尊厳、人格権(憲法13条)に対する侵害であり、大きな被害を生み出す。
                      憲法は人格権が表現の自由(21条)よりも優先する。
                          法の下の平等や差別の禁止(14条)に抵触する。
                          ヘイトスピーチの処罰と表現の自由とは矛盾しない。
                          表現の自由を守るためにヘイトスピーチを処罰すべき。民主主義を守るためにもヘイトスピーチの規制が不可欠
                          マイノリティの表現の自由を保障すべき。ヘイトスピーチの処罰は国際人権法の要請である。
                      と指摘し、欧州諸国では、表現の自由を守り、民主主義を守るために、基本法である刑法の中にヘイ
                      トスピーチ処罰規定を置いているのが通例としています。

                      ドイツでは「アウシュビッツの嘘」を処罰する法律もヘイトスピーチ法であり、「アウシュビッツに
                      ガス室はなかった」と発言すれば民衆扇動罪で処罰されること、フランス、スイス、リヒテンシュタ
                      イン、スペインでもヘイトスピーチを犯罪としているとのことです。

                      その上で、前田氏は欧州の「アウシュビッツの嘘」立法と同様に、「慰安婦のウソ」処罰法の制定の
                      意義を指摘します。たとえ日本政府が立法化しなくとも、東アジア各国が立法化すれば、安倍首相の
                      ように「慰安婦のウソ」発言を行った人物は身柄拘束を恐れて東アジア「漫遊」旅行もできなくなる
                      そうです。もっとも、現職の首相である間は1961年の外交関係に関するウィーン条約によって身体
                      拘束や裁判からは免れるということですが・・。
                      (「増補新版・ヘイト・クライム〜憎悪犯罪が日本を壊す」前田朗著、三一書房、2013年、ほか)

                      ともかく、刑法にヘイトスピーチ処罰規定を設け、「慰安婦のウソ」処罰法を制定することが国連勧告
                      及び日本国憲法にしっかり応える道のようです。
                       
                      Posted by : 川本幸立 | 国政 | 13:41 | - | - | - | - |
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